勉強法の常識No.S72
マスクをすると、脳に酸素が行きにくくなって、勉強に悪いって、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
ふつうのマスクで、酸素不足になる証拠はありません。ただ、長い時間つけると気分が下がる人はいます。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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新型コロナウイルスの流行で、マスクをつけて授業を受けるのが当たり前だった時期がありました。そのころ、こんな心配をした人もいたのではないでしょうか。マスクをすると息苦しい。脳に酸素が届かなくて、勉強に悪いのでは。
シェインらは2021年の論文で、マスクをつけない理由として、呼吸がうまくできなくなるという心配がよく挙げられる、と書いています。
では、本当にマスクで酸素は減るのでしょうか。そして、頭の働きへの影響はあるのでしょうか。
早歩きをしても、酸素は下がらなかった
シェインらが調べたのは、大人のボランティア50人です。年齢の真ん中は33歳で、32%は何らかの持病をもっていました。
参加者は、6つの場面を10分ずつ体験しました。マスクなし、布マスク、医療用マスクのそれぞれで、静かに座る10分と、早歩きをする10分です。早歩きは、心拍数が1分あたり10回以上上がる速さにしました。それぞれの場面の終わりに、血液中の酸素の割合と、皮膚から測る二酸化炭素の量、心拍数を記録しました。
結果、酸素が大きく下がった人も、二酸化炭素がたまりすぎた人も、ひとりもいませんでした。どちらのマスクでも、座っているときも早歩きのあとも、マスクなしの値と比べて、酸素と二酸化炭素にはっきりした差はありませんでした。
著者らは、ふつうの大人が布マスクや医療用マスクで、病的なほど呼吸が妨げられる危険は、ほぼゼロだと結論しています。
授業のあとのテストも変わらなかった
大人の血液の数字が問題なくても、子どもの頭の働きはどうでしょうか。
2022年、シュレグテンダールらは、ドイツの5〜7年生133人で調べました。子どもたちを、ほぼ交互に、マスクをつける組65人と、マスクを外す組68人に分けます。ふだんどおりの授業を2時間受けたあと、全員がデジタルのテストを受けました。注意力や、頭の切りかえ、短い記憶などを測るテストです。
結果、マスクをつけた組とつけなかった組のあいだに、成績のはっきりした差はありませんでした。著者らは、マスクは注意力や、考えをコントロールする力に大きな影響を与えない、と結論しています。
8時間つけると、気分は下がった
ただし、気分の面は別です。2025年、ナスロラヒらは、大学生42人で、医療用マスクを長時間つけた日の影響を調べました。
同じ学生が、マスクの日とマスクなしの日の両方を、1週間あけて体験します。マスクの日は、少なくとも8時間マスクをつけ、そのまま研究室に来てテストを受けました。
マスクの日、学生たちは、楽しい気分が減り、緊張が高まったと答えました。頭の働きのテストでは、8つのうちの1つ、必要な情報だけに注意を向ける課題で、反応が遅くなりました。この遅れは、主に、マスクをつけることに不安を感じていた人たちによるものでした。
差が出たのは、気分の6つのものさしのうち2つ、頭の働きの8つのテストのうち1つだけです。それでも著者らは、不安を感じやすい人などを対象に、さらに研究が必要だとしています。
気になるなら、気分を整える
3つの研究をまとめると、こうなります。ふつうのマスクで、脳が酸欠になる証拠はありません。授業のあとの子どもの頭の働きにも、はっきりした影響は見つかりませんでした。一方で、長い時間つけると気分が下がる人はいて、とくにマスクに不安を感じる人で影響が出やすいようです。
勉強中にマスクで落ち着かないと感じるなら、原因は酸素より、つけ心地や気分のほうかもしれません。休み時間に人の少ない場所で外して深呼吸をする、肌ざわりのよいマスクに変えるなど、気分が楽になる工夫をしてみましょう。
マスクの心配で集中が乱れているなら、まず「酸素は足りている」と知ることが、いちばんの安心材料になるはずです。
参考文献
Shein S., Whitticar S., Mascho K., Pace E., Speicher R., Deakins K. (2021). The effects of wearing facemasks on oxygenation and ventilation at rest and during physical activity. PLOS ONE, 16, e0247414.
doi.org/10.1371/journal.pone.0247414✓ 実在と内容を確認済み
Schlegtendal A., Eitner L., Falkenstein M., Hoffmann A., Lücke T., Sinningen K., Brinkmann F. (2022). To Mask or Not to Mask—Evaluation of Cognitive Performance in Children Wearing Face Masks during School Lessons (MasKids). Children, 9, 95.
doi.org/10.3390/children9010095✓ 実在と内容を確認済み
Nasrollahi N., Jowett T., Machado L. (2025). Effects of wearing a surgical face mask on cognitive functioning and mood states: a randomised controlled trial in young adults. Cognitive Processing, 26, 189-199.
doi.org/10.1007/s10339-024-01238-5✓ 実在と内容を確認済み
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