勉強法の常識No.S15
マルチタスクが得意な人は効率がいいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
いつも「ながら」をしている人ほど、関係のない情報に気を取られやすい、という結果が出ています。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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イヤホンで動画を流しながら、友だちのメッセージに返事をして、その合間に英単語帳をめくる。こんな勉強のしかたに、心当たりはないでしょうか。
いつもいくつものことを同時にこなしている人は、そのぶん、同時にこなす力が鍛えられているはずだ。そう考えたくなります。
2009年、オフィールらは、この考えを確かめる実験をしました。
「ながら」に慣れた人ほど、気が散る
研究チームはまず、ふだんどれくらい複数のメディアを同時に使っているかを測る指標を作りました。その指標で、日ごろからよく同時に使う「ヘビー・マルチタスカー」と、あまり同時に使わない人のグループを選び出しました。
そして2つのグループに、注意を向けたり、じゃまなものを無視したりする力を調べる課題をしてもらいました。
結果は、予想とは逆でした。ヘビー・マルチタスカーのほうが、まわりにある関係のない刺激に気を取られやすく、頭の中にある関係のない記憶にもじゃまされやすかったのです。
さらに、課題を切りかえる力を調べるテストでも、ヘビー・マルチタスカーのほうが成績が悪くなりました。切りかえは、いつもやっているはずのことです。研究チームは、いらない情報を締め出す力が弱いためだろうと考えています。
どちらが先かは、わからない
この研究には、気をつけたい点があります。ふだんの習慣と課題の成績の関係を調べたもので、マルチタスクを続けさせて変化を見た実験ではありません。そのため、マルチタスクをくり返すから気が散りやすくなるのか、もともと気が散りやすい人がマルチタスクをしがちなのかは、区別できません。
それでも、「ながら」に慣れた人は効率がいい、という考えを支える結果でなかったことは確かです。
「デジタルネイティブ」という思いこみ
2017年、カーシュナーとデ・ブライケレは、教育の現場に広まっている2つの思いこみを取り上げました。
ひとつは「デジタルネイティブ」です。生まれたときからデジタルの機器に囲まれて育った世代は、それだけで情報をじょうずにあつかえる、という考えです。2人は研究を示しながら、そういう人がいるわけではないと論じています。
もうひとつは、その世代は複数の情報を同時に処理できる、つまりマルチタスクができる、という考えです。2人はこの能力もないとし、マルチタスクができる前提で授業を組み立てると、学習を助けるどころか妨げてしまうと述べています。
通知を切って、ひとつずつ
勉強中にメッセージが届いて返事をし、また単語帳に戻る。そのたびに、注意は単語帳から離れます。
原田英語のおすすめは、時間を区切って、ひとつのことだけをする時間を作ることです。たとえば25分間は、スマホの通知を切って、単語帳だけに向かう。終わったら5分休んで、メッセージに返事をする。
同時にやったつもりの1時間より、ひとつずつ片づけた1時間のほうが、あとに残るものは多いはずです。
参考文献
Ophir E., Nass C., Wagner A. (2009). Cognitive control in media multitaskers. Proceedings of the National Academy of Sciences, 106, 15583-15587.
doi.org/10.1073/pnas.0903620106✓ 実在と内容を確認済み
Kirschner P., De Bruyckere P. (2017). The myths of the digital native and the multitasker. Teaching and Teacher Education, 67, 135-142.
doi.org/10.1016/j.tate.2017.06.001✓ 実在と内容を確認済み
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