有名な勉強法を判定No.P09

単語や漢字は、何回も書けば覚えられるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 5:15文献 3件

「単語や漢字は、何回も書けば覚えられる」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

書くと文字の「形」は覚えやすくなります。でも、読みや意味まで覚えられるとは限らず、写すだけでは逆効果のことも。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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今日からできるやり方

  1. まず見て、読み方と意味を確かめる
  2. 答えを隠し、思い出しながら書く
  3. 書いたら見比べて、違う所を直す
  4. 書く回数より、日をあけて思い出す回数を増やす

漢字を習い始めた日本の小学1年生の、学校のノート。1995年、アメリカの心理学の専門誌に載ったある論文は、その1ページを最初の図として載せています。同じ字が何度も何度も書かれています。図の説明には、こうした書き取りがページを追って続く、とあります。

論文を書いたのは、千葉大学のナカとナオイです。紙に、机の上に、ときには空中に。くり返し書いて覚えるのは、日本人にとっておなじみの暗記法で、別の調査では日本人が最もよく使う記憶法のひとつだったと紹介しています。それなのに、本当に効くのかを確かめた研究は、ほとんどありませんでした。

書いて覚えられたのは、図形だけ

最初の実験では、千葉大学の学生40人が、4種類のものを覚えました。漢字の単語(「目標」など)、ひらがなの単語(「そら」など)、意味のないカタカナの音、そして意味のない図形です。半分は書いて、半分は見て覚えます。そのあと、覚えたものを書き出すテストと、選択肢から選ぶテストを受けました。

書いて覚えた効果が出たのは、図形だけでした。漢字の単語にも、ひらがなの単語にも、カタカナの音にも、効果は見られませんでした。

2つ目の実験では、日本の学生32人と、アメリカのデューク大学の学生32人を比べました。書く効果は、どちらにも同じように現れました。漢字の国で育ったから効く、というわけではなさそうです。3つ目の実験では、書く練習は、書いて再現するテストでは効きましたが、見て選ぶテストでは効きませんでした。書いて覚えた手の動きと目で見た形は、書く場面でこそよみがえりやすい、とナカらは考えています。

アラビア文字で試すと

4つ目の実験は、外国語の文字を習う場面をまねたものです。アラビア語にふれたことのない学生80人が、アラビア文字28字を、カタカナで書いた読み方と一緒に覚えました。指示は「アラビア文字で自分の名前が書けるように覚えてください」。半分の学生は文字を書いて、残りの半分は見て覚えます。

書いて覚えた学生は、文字の形をよく思い出せました。ところが、文字の読み方は、見て覚えた学生のほうがよく思い出せたのです。ナカらは、書くことは文字の形を思い出すのには役立つが、読みには役立たない、とまとめています。

写すほど、意味が抜けることも

外国語の単語でも、結果は分かれています。1987年、トマスとディーターは3つの実験から、外国語の単語を書き写すと、そのつづりの形の記憶が作られやすい、と報告しました。

一方、2006年のバークロフトの実験では、逆の結果が出ています。スペイン語を学ぶ英語話者が、絵と組み合わせたスペイン語の名詞24個を覚えました。12個は書き写しながら、残りの12個は何も書かずに覚えます。すると、スペイン語の単語を自分で答えるテストで、書かなかった単語のほうが成績が良かったのです。直後のテストでも、2日後のテストでも同じでした。

バークロフトは、意味を考えないまま書かされると、書く作業に頭の力を取られ、新しい単語の形を覚える余裕がなくなるのだろう、と考えています。手は動いているのに、頭はお留守、という状態です。

書く回数より、思い出す回数

研究をまとめると、くり返し書くことは、見慣れない文字や形を覚えるのには役立ちそうです。でも、読みや意味まで一緒に覚えられるとは限りません。ただ書き写すだけだと、かえって覚えにくくなる場合もあります。

原田英語のおすすめは、写すのではなく、答えを隠して思い出しながら書くことです。まず見て、読みと意味を確かめる。次に隠して、思い出しながら1回書く。見比べて、違う所を直す。読みは声に出して確かめる。これなら、手が形を覚え、頭が中身を思い出します。

ノートを同じ字で埋めるより、隠して1回書けるかを、日をあけて何度か試してみましょう。

この記事に出てくる用語
追試
同じ実験をもう一度行い、同じ結果が出るかを確かめること。

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参考文献

  1. Naka M., Naoi H. (1995). The effect of repeated writing on memory. Memory & Cognition, 23, 201-212.

  2. Thomas M., Dieter J. (1987). The positive effects of writing practice on integration of foreign words in memory. Journal of Educational Psychology, 79, 249-253.

  3. Barcroft J. (2006). Can writing a new word detract from learning it? More negative effects of forced output during vocabulary learning. Second Language Research, 22, 487-497.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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