数字でわかるNo.N18
人間の短期記憶の容量は、3〜5個程度って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
有名な「7±2」は大まかな目安でした。覚え方の工夫を封じて測ると、限界は3〜5個、平均すると約4個です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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世界の七不思議、七つの海、七つの大罪、音階の7つの音、一週間の七日。
1956年、心理学者のミラーは、有名な論文の最後で、こうした「7」をずらりと並べてみせました。人がすぐに覚えておける数字の数も、だいたい7個。ここには何か深い理由があるのではないか、と読者に思わせておいて、彼はこう締めくくります。たぶん、ただの「たちの悪い、ピタゴラス的な偶然」だろう、と。
ところが世の中に広まったのは、この冷めた結論ではなく、「マジカルナンバー7±2」という数字のほうでした。人の頭には7個前後が入る。そんな話を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
「7」は、ざっくりした数だった
ここで言う短期記憶とは、聞いたばかりの数字や単語を、ほんの少しのあいだ頭に置いておく記憶のことです。
2001年、心理学者のコーワンは、この「7」を見直す長い論文を発表しました。コーワンによると、ミラーの7は正確な限界というより、大まかな見積もりでした。話を印象づけるための言い回し、という面もあったといいます。ミラー自身も、論文の最後では7をただの偶然かもしれないと書いていました。
コーワンは、いろいろな実験のデータを集め直しました。そして、条件をきちんとそろえて測ると、本当の限界は3〜5個だと論じました。中心になる限界は、平均すると約4個です。
数えるのは「まとまり」
では、なぜ測り方によって7になったり4になったりするのでしょうか。
ここで数えている1個は、文字1つや数字1つとは限りません。頭の中でひとまとまりになった単位で、心理学では「チャンク」と呼びます。
たとえば「NHKJRUSA」という8文字を、ばらばらの文字として覚えるのは大変です。でも「NHK」「JR」「USA」と見れば、まとまりは3つだけになります。どれだけまとめられるかは、その人がもともと持っている知識しだいです。
もうひとつの抜け道は、頭の中で何度もくり返して言うことです。これをリハーサルと呼びます。くり返したり、まとめたりできる条件で測ると、1つのまとまりに何個入っているのかがわかりません。そのぶん、容量は大きく見えてしまいます。
そこでコーワンは、こうした工夫が使えない実験を選びました。一度にたくさんの情報が押し寄せて、まとめる余裕がない場合。まとめるのを、実験の手続きでわざと防いだ場合。そうした条件で見えてきた素顔が、約4個という数字でした。
作業台は4つ分しかない
短期記憶は、頭の中の小さな作業台のようなものです。7個置けると思っていた台に、実際は4個ほどしか載りません。
英語の勉強に当てはめると、新しい単語をばらばらに10個並べて覚えようとするのは、台からあふれる量を一度に載せるようなものです。原田英語のおすすめは、小さなグループに分けることと、まとまりで覚えることです。make a decision、take a break のような言い回しは、単語3つではなく1つのまとまりとして覚えます。長い英文を聞くときも、単語1つずつではなく、意味の切れ目ごとに受け取る練習をしましょう。
七つの海は広くても、頭の作業台は4つ分ほど。そのかわり、1つの枠にどれだけ詰めるかは、知識しだいで増やせます。
参考文献
Cowan N. (2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity. Behavioral and Brain Sciences, 24, 87-114.
doi.org/10.1017/s0140525x01003922✓ 実在と内容を確認済み
Miller G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information. Psychological Review, 63(2), 81-97.
doi.org/10.1037/h0043158✓ 実在と内容を確認済み
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