数字でわかるNo.N17
大人の英語の黙読スピードは、平均で1分間に約238語って、ホント?

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判定:ホント
よく言われる「1分間に300語」は多すぎました。190の研究をまとめると、大人の黙読の平均は、ノンフィクションで1分間に238語です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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「やさしい文章を黙読したとき、小学1年生のバーバラは1分間に39.6語、大学4年生のWさんは369語の速さだった」。
1922年、研究者のバズウェルは、目の動きを調べた本を、こんな一文で書き始めました。そして1959年には、大学生の平均はおよそ1分間に300語だ、とまとめています。バズウェルは、学校が本気で取り組めば、理解を落とさずに、もっと速く読めるようになると信じていた人でした。
大人はふつう、1分間に300語くらい読む。この数字は、その後も心理学の教科書や論文で、何度もくり返されてきました。ところが、2019年にベルギーのブライスバールトが、それまでの研究をまとめ直したところ、もっと小さな数字が出てきました。
「300語」は、どこから来たのか
ブライスバールトは、まず300語という数字の出どころをたどりました。
そのひとつが、目の動きの研究で有名なレイナーが、1978年の論文で示した表です。この表の読み手10人は、レイナーが以前に調べた、マサチューセッツ工科大学の学部生10人とよく一致していました。入学のハードルがとても高い大学の学生です。同じころ、レイナーが共著者になった別の研究では、人数がずっと多く、読む速さは1分間に190〜265語でした。
ほかにも、読書には「ギア」があり、ふつうの読書は300語だと考えた研究者もいました。こうした説が重なって、300語が「ふつうの速さ」として広まっていったようです。
190の研究、1万8573人
ブライスバールトが集めたのは、大人の英語の黙読の速さを測った190の研究、合わせて1万8573人分のデータです。
その結果、英語を母語とする大人の黙読の平均は、ノンフィクションで1分間に238語、小説などのフィクションで260語でした。ノンフィクションのほうが遅いのは、長い単語が多いからだと説明されています。声に出して読む音読の平均は、77の研究、5965人分のデータから、1分間に183語でした。
ノンフィクションの黙読では、ほとんどの大人が1分間に175〜300語の間に入ります。ブライスバールトは、目標を300語に置くのは多くの人にとって現実的ではなく、がっかりする結果を招きやすいと書いています。
同じ条件で読んでも、速い人と遅い人の差は安定して見られました。その差がどこから来るのかは、まだよくわかっていません。
また、この速さは、人が聞いて理解できる速さの上限とも合っていました。読むことだけが、とくべつに速いわけではないようです。
日本人の大学生は、どれくらいか
ここまでの数字は、英語を母語とする18〜60歳の大人の話です。外国語として英語を読む人は、もっと遅くなります。
ブライスバールトは、日本の大学生の研究も紹介しています。中学と高校で6年間英語を学んだ学生たちに、やさしい英文を読んでもらい、内容の問題に答えてもらいました。問題の75%以上に正解できた学生の読む速さは、1分間に139語。それ以外の学生は61語でした。この学生たちは、聞き取りで最も理解しやすい速さも、読む速さとほぼ同じでした。
英語がそれなりにできるオランダ人でも、英語で小説を読むと、母語より17%遅くなったという研究もあります。外国語を読むときの目の動きは、母語を読む子どもの目の動きとよく似ていました。ブライスバールトは、これを、単語に出会ってきた量が少ないことが遅さの主な理由だ、という考えと合うものだとしています。
自分の速さを測ってみる
原田英語のおすすめは、一度、自分の読む速さを測ってみることです。やさしい英文を読み、かかった時間と語数から、1分間に何語かを計算します。内容がわかっていることも確かめましょう。
目標は、まず1分間に150語前後。そこから、たくさん読んで単語に出会う量を増やし、ネイティブの平均の240語に近づけていきます。300語に届かなくても、気にする必要はありません。ネイティブの多くも、そこまでは読んでいないのですから。
参考文献
Brysbaert M. (2019). How many words do we read per minute? A review and meta-analysis of reading rate. Journal of Memory and Language, 109, 104047.
doi.org/10.1016/j.jml.2019.104047✓ 実在と内容を確認済み
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