教科別の常識No.K15
数学は、ブロックなど手で動かせる教材を使うとよくわかるって、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
ブロックなどを使う授業は、平均すると効果があります。でも、本物そっくりの凝った教材は、かえって正答を減らすことがありました。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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論文での効果55研究・7237人のまとめで、小さめから中くらいの効果
今日からできるやり方
- おはじきや線分図など、見た目が単純な物を使う
- 手で動かしたら、すぐに式と結びつけて書く
- 慣れたら、具体物なしで同じ問題を解いてみる
小学校に入るとき、おはじきや数え棒、時計の模型などが入った「算数セット」を用意した人は多いでしょう。ひとつひとつに名前シールを貼った記憶がある人もいるかもしれません。
数を手で触れる形にすれば、算数はわかりやすくなる。この考えは、学校でも家庭でも広く信じられています。研究は、どこまでそれを支えているのでしょうか。
55の研究のまとめ
2013年、カーボノーらは、ブロックなどの具体物を使う算数・数学の授業を調べた研究を集めました。条件に合ったのは55の研究で、対象は幼稚園から大学までの7237人です。比べた相手は、数字や記号だけで教える授業でした。
全体では、具体物を使う授業に、小さめから中くらいの効果がありました。とくに、学んだことを覚えておく力への効果は、中くらいから大きめでした。
いっぽう、問題を解く力や、学んだことを新しい場面に応用する力、なぜそうなるかを説明する力への効果は、小さめでした。しかも、問題を解く力を調べた研究は9本、説明する力は2本しかなく、まだ確かなことは言えません。効果の大きさは、どう教えたか、どんな方法で研究したかによっても変わっていました。
具体物は、使えば必ず効くわけではない、ということです。
本物そっくりのお金で、正答が減った
使い方によっては、具体物が逆効果になることもあります。2009年、マクニールらは、お金を使う文章題でこれを示しました。
1つめの実験では、小学4年生と6年生229人に、お金の文章題を解いてもらいました。一方の組の子には、問題を解く助けとしてお札と硬貨を配り、もう一方の組には配りませんでした。結果は、お札と硬貨を配られた子のほうが、正しく解けた問題が少なかったのです。
2つめの実験では、小学5年生79人を3つに分けました。本物そっくりの、見た目に凝ったお札と硬貨を使う組。飾りのない、素朴なお札と硬貨を使う組。何も使わない組です。
いちばん間違いが多かったのは、見た目に凝ったお札と硬貨の組でした。ところが、その間違いの中身を見ると、考え方を取り違えた間違いはもっとも少なかったのです。見た目の豊かな教材には、良い面と悪い面の両方があることがわかります。
おもちゃであり、記号でもある
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。2009年、ウタルらは「二重の表現」という考え方で説明しています。
具体物は、それ自体がひとつの物です。同時に、数や量という別のものを表す記号でもあります。見た目がおもしろい物ほど、子どもは物そのものに目を奪われ、それが何を表しているかに注意を向けにくくなります。反対に、物としての特徴に気を取られなければ、具体物と数を結びつけやすくなる、という考えです。
本物そっくりのお札は、つい手に取って眺めたくなります。けれども、問題を解くのに必要なのは、お札の絵柄ではなく、金額という数のほうです。
具体物から、式へ
ですから、具体物を使うなら、見た目が単純な物を選びましょう。おはじきや、線を引いただけの図で十分です。
そして、手で動かしたら、すぐにその動きを式と結びつけて書きます。おはじきを3個と2個に分けたなら、その横に「3+2=5」と書く。慣れてきたら、具体物なしで同じ問題を解いてみます。
具体物は、わかるためのきっかけです。最後は、式だけで解けるところまで移っていくことを目指しましょう。
参考文献
Carbonneau K., Marley S., Selig J. (2013). A meta-analysis of the efficacy of teaching mathematics with concrete manipulatives. Journal of Educational Psychology, 105, 380-400.
doi.org/10.1037/a0031084✓ 実在と内容を確認済み
McNeil N., Uttal D., Jarvin L., Sternberg R. (2009). Should you show me the money? Concrete objects both hurt and help performance on mathematics problems. Learning and Instruction, 19, 171-184.
doi.org/10.1016/j.learninstruc.2008.03.005✓ 実在と内容を確認済み
Uttal D. H., O'Doherty K., Newland R., Hand L. L., DeLoache J. (2009). Dual representation and the linking of concrete and symbolic representations. Child Development Perspectives, 3(3), 156-159.
doi.org/10.1111/j.1750-8606.2009.00097.x✓ 実在と内容を確認済み
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