教科別の常識No.K13

小学生のとき分数が苦手な子は、その先の数学も苦手になりやすいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:42文献 3件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

小学生のころの分数と割り算の力は、5〜6年後の高校数学の成績を予測していました。ただし、分数が原因だとまでは言い切れません。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果小学生の分数と割り算の力が、5〜6年後の高校数学の成績を予測

今日からできるやり方

  1. 分数の割り算で、なぜひっくり返してかけるのか説明する
  2. 分数を数直線の上に置き、大きさを確かめる
  3. 文字の入った分数で迷ったら、数字で同じ計算を試す

2分の1たす3分の1は、いくつでしょう。

分子どうし、分母どうしを足して「5分の2」と答えると、間違いです。2分の1より小さい答えになってしまうので、おかしいことは大きさを考えればわかります。正しくは、6分の5です。

分数でつまずいた記憶のある人は、少なくないでしょう。そして中学に入ると、方程式や文字式の中に、分数が当たり前のように出てきます。小学校の分数のつまずきは、その先までついてくるのでしょうか。

5〜6年後を予測したもの

2012年、心理学者のシーグラーらは、アメリカとイギリスの大規模なデータを分析しました。国全体を代表するように選ばれた子どもたちを、長く追いかけたデータです。

調べたのは、小学生のときのどんな算数の知識が、高校での数学の成績を予測するか、です。足し算や引き算、掛け算など、算数の力はいろいろあります。その中で、5〜6年後の高校の代数と数学全体の成績を、独自に予測していたのが、分数の知識と割り算の知識でした。

この結びつきは、ほかの算数の知識、知能、ワーキングメモリ、家庭の収入や親の学歴を統計的にそろえても、残っていました。家が裕福だから、もともと頭がいいから、というだけでは説明できなかったのです。

分数が先か、成績が先か

ただ、ここで疑問が残ります。数学が得意な子が、たまたま分数も得意だっただけではないのか。

2012年、ベイリーらは、この点をアメリカの6年生から7年生212人で確かめました。分数の理解と数学の成績を、2つの時点で測り、どちらがどちらを予測するかを比べたのです。

6年生のときの分数の理解は、その後1年間の数学の成績の伸びを予測していました。ところが、逆向きの関係は見られませんでした。6年生のときの数学の成績は、分数の理解の伸びを予測しなかったのです。

追加の調査では、分数の計算の速さと正確さが、整数の計算の速さや知能などとは別に、7年生の数学の成績を予測していました。分数の力が、その後の数学の伸びを部分的に支えている。そう考えられる結果です。

3つの大陸で

これはアメリカやイギリスだけの話でしょうか。2015年、トルベインスやシーグラーらは、アメリカ、中国、ベルギーの6年生と8年生を調べました。教え方の違う3つの国です。

分数の知識の水準そのものは、国によって違いました。それでも、どの国でも、分数の大きさをどれだけつかめているかが、数学全体の成績と結びついていました。この結びつきは、分数の計算ができるかどうかをそろえても、ほとんどの国と学年で残りました。

計算の手順よりも、「その分数がどれくらいの大きさか」がわかっていること。そこに、つまずきを分ける違いがありそうです。

迷子になったら、分数まで戻る

ただし、ここで紹介した研究は、どれも追いかけて観察したものです。分数を鍛えれば、その後の数学が必ず伸びる、とまでは言えません。判定が「半分ホント」なのはそのためです。

それでも、中学や高校の数学で迷子になったときは、分数と割り算まで戻ってみる価値があります。分数を数直線の上に置いて、大きさを確かめてみる。分数の割り算で、なぜひっくり返して掛けるのかを説明してみる。文字の入った分数で迷ったら、具体的な数で同じ計算を試してみる。

戻るのは、恥ずかしいことではありません。土台のひびを直してから進むほうが、結局は早道です。

参考文献

  1. Siegler R., Duncan G., Davis-Kean P., Duckworth K., Claessens A., Engel M., Susperreguy M., Chen M. (2012). Early Predictors of High School Mathematics Achievement. Psychological Science, 23, 691-697.

  2. Bailey D., Hoard M., Nugent L., Geary D. (2012). Competence with fractions predicts gains in mathematics achievement. Journal of Experimental Child Psychology, 113, 447-455.

  3. Torbeyns J., Schneider M., Xin Z., Siegler R. S. (2015). Bridging the gap: Fraction understanding is central to mathematics achievement in students from three different continents. Learning and Instruction, 37, 5-13.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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