教科別の常識No.K12

数学の文章題は、図や絵をかいて考えると解きやすくなるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:25文献 3件

「数学の文章題は、図や絵をかいて考えると解きやすくなる」のイメージイラスト

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

数の関係を表す図は、文章題の助けになります。でも、物の見た目を思い描く絵は、むしろ正答の少なさと結びついていました。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果図を使って学ぶ授業で、数学の成績が上がった(効果量0.50)

今日からできるやり方

  1. 線分図や表で、数の関係だけをかく
  2. 人や物の見た目は描かず、線や記号で表す
  3. 図に、わかっている数とわからない数を書き込む

日本とニュージーランドの生徒に、同じ文章題を解いてもらう。2007年、植阪らは、そんな比較をしました。日本の生徒は291人、ニュージーランドの生徒は323人です。

問題は、文字式を使う文章題でした。結果を比べると、ニュージーランドの生徒のほうが、自分で図をかいて解くことが多く、得点も高めでした。

文章題では図をかきなさい。そう言われたことのある人は、多いでしょう。それなのに、なぜかかないのでしょうか。そして、図をかけば本当に解きやすくなるのでしょうか。

図を使って学ぶと、伸びる

まず、図そのものの効果を見てみます。2024年、シェーンヘアらは、図やグラフなど目に見える形で数学を学ぶ授業の研究を、41本まとめました。参加者は合わせて1万562人です。

図を使う授業には、全体で中くらいの効果がありました。効果量で0.50です。その効果は、年齢や数学の分野を問わず見られ、時間がたっても残っていました。

ただし、研究のやり方によって差もありました。くじで分けていない研究や、ふだんどおりの授業と比べた研究ほど、効果は大きめに出ていました。また、タブレットなどの機器を使っても、紙に図をかく場合より効果が高いわけではありませんでした。

上手な絵ほど、解けない

では、どんな図でもかけばよいのでしょうか。1999年、ヘガティとコジェフニコフは、ここに大事な区別を持ちこみました。

2人は、問題を解く人の頭の中に浮かぶ図を、2種類に分けました。ひとつは、問題の中の数量の関係だけを表す、図式的な図。もうひとつは、出てくる物の見た目を思い描く、絵のような図です。参加者には問題を解いてもらい、どのように解いたかを答えてもらいました。

図式的な図を使った人ほど、正しく解けていました。いっぽう、絵のような図を思い描く人ほど、正答は少なかったのです。この研究は結びつきを見たもので、原因までは言えません。それでも、図の種類によって結果が大きく分かれることを示しています。

線を2本、引いてみる

たとえば「兄は弟より300円多く持っていて、2人あわせて1500円です」という問題で考えてみます。兄弟の顔や財布をていねいに描いても、答えには近づきません。2本の線を並べて、長さの差が300円、合計が1500円と書きこむ。こうした線分図なら、合計から300円を引いて2で割ればよいことが、目で見えてきます。

図は、先生だけのものではない

最初の植阪らの研究に戻ります。図をあまり使わない生徒には、共通点がありました。図をかくことに自信がない。図をかくのは難しいと感じている。そして、図は先生が説明に使うもので、自分が使うものではないと考えている。こうした生徒ほど、自分では図をかいていませんでした。

先生が黒板にかく図を見ているだけでは、図は自分の道具になりません。下手でかまわないので、自分の手でかいてみることが、最初の一歩です。

文章題を読んだら、まず数の関係だけを線や記号で表しましょう。人や物の絵は描かなくてかまいません。わかっている数と、求めたい数を書きこみます。きれいな絵より、関係が一目でわかる線のほうが、答えへの近道になります。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Schoenherr J., Strohmaier A., Schukajlow S. (2024). Learning with visualizations helps: A meta-analysis of visualization interventions in mathematics education. Educational Research Review, 45, 100639.

  2. Hegarty M., Kozhevnikov M. (1999). Types of visual–spatial representations and mathematical problem solving. Journal of Educational Psychology, 91, 684-689.

  3. Uesaka Y., Manalo E., Ichikawa S. (2007). What kinds of perceptions and daily learning behaviors promote students' use of diagrams in mathematics problem solving? Learning and Instruction, 17, 322-335.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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