教科別の常識No.K12
数学の文章題は、図や絵をかいて考えると解きやすくなるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
数の関係を表す図は、文章題の助けになります。でも、物の見た目を思い描く絵は、むしろ正答の少なさと結びついていました。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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論文での効果図を使って学ぶ授業で、数学の成績が上がった(効果量0.50)
今日からできるやり方
- 線分図や表で、数の関係だけをかく
- 人や物の見た目は描かず、線や記号で表す
- 図に、わかっている数とわからない数を書き込む
日本とニュージーランドの生徒に、同じ文章題を解いてもらう。2007年、植阪らは、そんな比較をしました。日本の生徒は291人、ニュージーランドの生徒は323人です。
問題は、文字式を使う文章題でした。結果を比べると、ニュージーランドの生徒のほうが、自分で図をかいて解くことが多く、得点も高めでした。
文章題では図をかきなさい。そう言われたことのある人は、多いでしょう。それなのに、なぜかかないのでしょうか。そして、図をかけば本当に解きやすくなるのでしょうか。
図を使って学ぶと、伸びる
まず、図そのものの効果を見てみます。2024年、シェーンヘアらは、図やグラフなど目に見える形で数学を学ぶ授業の研究を、41本まとめました。参加者は合わせて1万562人です。
図を使う授業には、全体で中くらいの効果がありました。効果量で0.50です。その効果は、年齢や数学の分野を問わず見られ、時間がたっても残っていました。
ただし、研究のやり方によって差もありました。くじで分けていない研究や、ふだんどおりの授業と比べた研究ほど、効果は大きめに出ていました。また、タブレットなどの機器を使っても、紙に図をかく場合より効果が高いわけではありませんでした。
上手な絵ほど、解けない
では、どんな図でもかけばよいのでしょうか。1999年、ヘガティとコジェフニコフは、ここに大事な区別を持ちこみました。
2人は、問題を解く人の頭の中に浮かぶ図を、2種類に分けました。ひとつは、問題の中の数量の関係だけを表す、図式的な図。もうひとつは、出てくる物の見た目を思い描く、絵のような図です。参加者には問題を解いてもらい、どのように解いたかを答えてもらいました。
図式的な図を使った人ほど、正しく解けていました。いっぽう、絵のような図を思い描く人ほど、正答は少なかったのです。この研究は結びつきを見たもので、原因までは言えません。それでも、図の種類によって結果が大きく分かれることを示しています。
線を2本、引いてみる
たとえば「兄は弟より300円多く持っていて、2人あわせて1500円です」という問題で考えてみます。兄弟の顔や財布をていねいに描いても、答えには近づきません。2本の線を並べて、長さの差が300円、合計が1500円と書きこむ。こうした線分図なら、合計から300円を引いて2で割ればよいことが、目で見えてきます。
図は、先生だけのものではない
最初の植阪らの研究に戻ります。図をあまり使わない生徒には、共通点がありました。図をかくことに自信がない。図をかくのは難しいと感じている。そして、図は先生が説明に使うもので、自分が使うものではないと考えている。こうした生徒ほど、自分では図をかいていませんでした。
先生が黒板にかく図を見ているだけでは、図は自分の道具になりません。下手でかまわないので、自分の手でかいてみることが、最初の一歩です。
文章題を読んだら、まず数の関係だけを線や記号で表しましょう。人や物の絵は描かなくてかまいません。わかっている数と、求めたい数を書きこみます。きれいな絵より、関係が一目でわかる線のほうが、答えへの近道になります。
参考文献
Schoenherr J., Strohmaier A., Schukajlow S. (2024). Learning with visualizations helps: A meta-analysis of visualization interventions in mathematics education. Educational Research Review, 45, 100639.
doi.org/10.1016/j.edurev.2024.100639✓ 実在と内容を確認済み
Hegarty M., Kozhevnikov M. (1999). Types of visual–spatial representations and mathematical problem solving. Journal of Educational Psychology, 91, 684-689.
doi.org/10.1037/0022-0663.91.4.684✓ 実在と内容を確認済み
Uesaka Y., Manalo E., Ichikawa S. (2007). What kinds of perceptions and daily learning behaviors promote students' use of diagrams in mathematics problem solving? Learning and Instruction, 17, 322-335.
doi.org/10.1016/j.learninstruc.2007.02.006✓ 実在と内容を確認済み
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