超絶勉強ハックNo.H27

ローズマリーの香りをかぐと、記憶力が上がるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:03文献 2件

「ローズマリーの香りをかぐと、記憶力が上がる」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:まだ決着していない

香りで記憶が良くなるなら手軽ですが、証拠はまだ「一歩目」の段階です。

まだ決着していないとは… 研究結果が割れていて、まだ結論が出ていない常識です。

この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)

0:00 / 4:03

論文での効果ローズマリーの香りの部屋で記憶の総合点が上昇。ただし思い出す速さは低下

今日からできるやり方

  1. 試すなら、勉強部屋で香りを薄く使う
  2. 火を使わないディフューザーなどを選ぶ
  3. 香りが苦手なら無理に使わない
  4. 香りより、問題を解いて思い出す勉強を優先

シェイクスピアの『ハムレット』第4幕。正気を失ったオフィーリアが、兄のレアティーズに花を手渡しながら、こう言います。「ほら、ローズマリー。これは思い出のため」。原文は There's rosemary, that's for remembrance です。

ローズマリーと記憶を結びつける考えは、400年以上前の劇にも顔を出しているのです。では、その香りをかぐだけで、本当に物覚えはよくなるのでしょうか。

144人を、3つの部屋に

2003年、モスらは、144人をくじで3つのグループに分けました。ローズマリーの香りがする小部屋、ラベンダーの香りがする小部屋、香りのない小部屋です。参加者はそれぞれの部屋で、コンピューターを使った記憶や注意のテストを受けました。

香りに期待して結果が変わってしまわないよう、本当の目的はテストが終わるまで伏せられていました。テストの前とあとには、気分も答えてもらっています。

質は上がり、速さは落ちた

ローズマリーの部屋の人たちは、香りのない部屋の人たちより、記憶の総合的な質が高くなりました。少し前に覚えたことを、あとで思い出す力も上がっていました。

そのいっぽうで、思い出すまでの速さは、逆に遅くなっていました。

ラベンダーは、さらに分の悪い結果でした。頭の中に情報をとどめておく作業記憶の成績が下がり、記憶や注意の課題での反応も遅くなりました。リラックスの香りとして人気がありますが、勉強中の香りとしては向かないのかもしれません。

気分にも差が出ました。テストを終えたあと、ローズマリーの部屋の人たちは、ほかの2つの部屋の人たちより、頭がしゃきっとしていると答えました。

血液の中の香り成分

2012年、モスとオリバーは、もう一歩ふみこみました。ローズマリーの香りを流した小部屋で、20人に引き算や、目で見た情報を処理する課題をしてもらい、終わったあとに血液を調べたのです。

調べたのは、ローズマリーの香りの成分の1つ、1,8-シネオールの血液中の濃さです。すると、この成分の濃い人ほど、課題の成績が良い傾向がありました。速さも正確さも、どちらも良くなっていました。

ただし、これは「一緒に見られた」というだけの関係です。成分が成績を上げたのか、別の理由で両方がそろって高くなったのかは、この研究からは区別できません。

試すなら、おまけとして

2つの研究は、どちらも同じ研究者が中心で、人数も多くありません。2003年の研究では思い出す速さが落ち、2012年の研究では成分が濃いほど速かった、というように、結果もまだそろっていません。ほかの研究チームが確かめ直すのを待つ段階です。

ですから、試すとしても、気分転換のおまけくらいに考えておくのが安全です。香りは薄めにし、火を使わない道具を選びましょう。香りが苦手なら、無理に使う必要はありません。

記憶を確実に助ける方法は、ほかにあります。覚えたことを自分にテストすること、そして、よく眠ることです。ローズマリーが本当に「思い出のため」の花なのか、科学の答えはまだ出ていません。

参考文献

  1. Moss M., Cook J., Wesnes K., Duckett P. (2003). Aromas of rosemary and lavender essential oils differentially affect cognition and mood in healthy adults. International Journal of Neuroscience, 113, 15-38.

  2. Moss M., Oliver L. (2012). Plasma 1,8-cineole correlates with cognitive performance following exposure to rosemary essential oil aroma. Therapeutic Advances in Psychopharmacology, 2, 103-113.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

あわせて読みたい関連する常識

20問・約2分あなたの勉強法は、科学的に何点?科学度診断をはじめる → 10問・ランダム出題ウソかホントか、見抜けるか?判定チャレンジに挑戦 →