超絶勉強ハックNo.H16
お楽しみを「やるべきことの間だけ」に限ると、続けやすくなる(運動での研究)って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
続きが気になる小説を、ジムでだけ聞く。このセットで運動は増えましたが、勉強ではまだ試されていません。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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論文での効果ジムでだけ小説を聞けるようにすると、通う回数が最初は51%増えた
今日からできるやり方
- 勉強中だけ許すお楽しみを1つ決める
- それ以外の時間は、そのお楽しみを封印する
- 集中を邪魔しない物(好きな飲み物など)を選ぶ
- 効果が薄れたら、お楽しみを入れ替える
論文の題名に、人気小説の名前が入ることがあります。2014年に経営学の専門誌に載った論文の題は、訳すと「ジムで『ハンガー・ゲーム』を人質にとる」。物騒な題ですが、中身はおだやかな、運動を続けるための実験です。
書いたのは、アメリカの研究者ミルクマンらです。人には、すぐに楽しいけれど、やりすぎると少し後ろめたくなるものがあります。続きが気になる小説などです。反対に、今はつらいけれど、あとで得をするものもあります。運動がそうです。ミルクマンらは、この2つをひとまとめにしてしまえばいいと考えました。名づけて「誘惑の抱き合わせ」です。
ねらいは、2つの困りごとを一度に片づけることでした。楽しみについふけりすぎること、そして、やるべきことを先のばしにすること。小説がジムでしか聞けなければ、家で聞きすぎることはなくなり、ジムへ行く理由もできます。
小説の続きは、ジムで
参加者は、くじで3つのグループに分けられました。1つ目のグループは、ページをめくる手が止まらないような小説の朗読を、ジムでしか聞けないようにしました。2つ目のグループは、「朗読はジムでだけ聞くといい」と勧められただけで、どこで聞くかは自由です。3つ目は、比べるためのグループでした。
最初のうち、ジムに通う回数は、3つ目のグループより、1つ目で51%、2つ目で29%多くなりました。お楽しみをジムに閉じこめたほうが、効き目は大きかったのです。
効き目は、だんだん薄れる
ただし、この差は長くは続きませんでした。時間がたつにつれて効果は小さくなり、特に感謝祭の休暇のあとに落ちこみました。感謝祭は、アメリカで11月にある大きな休みです。
それでも、参加者はこのしくみを手放したがりませんでした。実験が終わったあと、61%の人が、お金を払ってでも「ジムでしか聞けない」状態を続けることを選んだのです。著者らはこれを、自分をしばるしくみを求める人が多いしるしだと見ています。
6792人で確かめ直す
2020年、カージオスらは、規模を大きくして確かめました。彼らはこのやり方を、目の前の楽しみを重く見すぎる人のくせへの対策だと考えています。あとでしか得をしない行動に、今すぐの楽しみをくっつけるからです。そこで、やり方を教えるだけで、人は自分で使いこなせるのかを調べました。
4週間の運動プログラムの参加者6792人を、3つに分けます。朗読を配ったうえで「運動しながら聞くといい」と勧めるグループ、朗読を配るだけのグループ、どちらもないグループです。
朗読と勧めの両方を受けたグループは、週に1回以上運動する確率が10〜14%高くなりました。この差は、プログラムの最中だけでなく、終わってから17週後まで続きました。
いっぽうで、朗読を配るだけのグループと比べると、勧めの上乗せは小さめでした。著者らの説明はこうです。運動プログラムで朗読をただでもらえば、言われなくても「運動しながら聞けばいいのか」と気づく人が多いのだろう、と。
勉強に置きかえるなら
どちらの研究も、対象は運動です。勉強で同じ効果が出るかは、まだ確かめられていません。とはいえ、しくみは借りられます。
気をつけたいのは、お楽しみの選び方です。ジムで小説を聞いても、体を動かすじゃまにはなりません。でも、勉強しながら小説を聞けば、頭の取り合いになります。勉強と組み合わせるなら、集中をうばわないものにしましょう。たとえば、好きな飲み物や、少しいいノート。机に向かっている間だけ許される、小さなぜいたくです。
原田英語のおすすめは、効き目が薄れてきたら、お楽しみを入れ替えることです。ジムの実験でも、効果はずっと同じではありませんでした。机に座る理由をひとつ、自分で用意してみてください。
参考文献
Milkman K., Minson J., Volpp K. (2014). Holding the Hunger Games Hostage at the Gym: An Evaluation of Temptation Bundling. Management Science, 60, 283-299.
doi.org/10.1287/mnsc.2013.1784✓ 実在と内容を確認済み
Kirgios E., Mandel G., Park Y., Milkman K., Gromet D., Kay J. et al. (2020). Teaching temptation bundling to boost exercise: A field experiment. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 161, 20-35.
doi.org/10.1016/j.obhdp.2020.09.003✓ 実在と内容を確認済み
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