超絶勉強ハックNo.H10
前に覚えたことをパソコンに「保存」してから次に進むと、新しいことを覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
前の内容を「保存」して外に預けると、次の内容が覚えやすくなる。実験室の結果で、勉強での効果はまだ推測です。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)
0:00 / 3:38
論文での効果前のファイルを保存すると、次の内容をよく覚えられる
今日からできるやり方
- 科目を変える前に、要点をノートに書く
- やり残しは「明日やること」に書き出す
- 書く場所は、必ず見返せる所にする
「変更を保存しますか?」
パソコンで作業を終えるたびに出てくる、おなじみの確認です。アメリカの心理学者ストームとストーンは、この何気ない「保存」が、人の記憶にどう影響するのかを調べ、2015年に発表しました。
保存してから、次のファイルへ
実験では、参加者にパソコン上のファイルを開いて、中身を覚えてもらいます。1つ目のファイルを覚えたら、次のファイルに進みます。このとき、1つ目のファイルを保存してから進むかどうかで、結果を比べました。
保存してから進んだ場合のほうが、2つ目のファイルの中身をよく覚えていました。3つの実験で、この効果が確かめられています。
預け先を信じられないと、効かない
ところが、条件を変えると効果は消えました。1つは、保存がうまくいかないこともある、と思わされた場合です。もう1つは、1つ目のファイルの中身が少なすぎて、2つ目を覚える邪魔にならない場合です。
この2つの例外から、しくみが見えてきます。頭の中に「1つ目も覚えておかなきゃ」が残っていると、それが2つ目を覚える邪魔をします。保存して外に預けたと思えれば、その邪魔が減ります。預け先が信用できなければ、結局は頭の中に抱えたままです。もともと邪魔になるほどの量がなければ、預けても変わりません。
著者たちは、保存とは、記憶の一部を戦略的に外へ降ろす手段だと考えています。
空いた頭は、ほかの作業にも回せる
2019年、ルンゲらは、この効果をあらためて確かめました。そのうえで、もう一歩進めます。単語のリストを覚えたあと、それを保存できた場合は、そのあとに解く、頭をかなり使う計算問題を、より多く解けたのです。
覚えておく必要がなくなった分、限られた頭の力を、目の前の作業に回せたのだろう、と著者たちは考えています。
勉強に使うなら、少し割り引いて
ただし、どちらも実験室での短い課題です。「科目を変える前にノートに要点を書くと、次の科目がはかどる」というのは、ここからの推測です。実際の勉強で直接確かめた研究ではありません。判定が半分ホントなのは、そのためです。
それでも、手軽に試せる工夫です。数学から英語に移る前に、数学のノートの最後に、今日わかったことと、やり残しを2〜3行書きます。「明日はここから」と書いて閉じる。そうして頭の中の数学をいったん降ろしてから、英語を開きます。
預けるなら、あとで必ず見返す場所にしましょう。どこに書いたかわからないメモでは、「保存がうまくいかないかもしれない」状態と変わらないかもしれません。
参考文献
Storm B., Stone S. (2015). Saving-Enhanced Memory: The Benefits of Saving on the Learning and Remembering of New Information. Psychological Science, 26, 182-188.
doi.org/10.1177/0956797614559285✓ 実在と内容を確認済み
Runge Y., Frings C., Tempel T. (2019). Saving-enhanced performance: saving items after study boosts performance in subsequent cognitively demanding tasks. Memory, 27, 1462-1467.
doi.org/10.1080/09658211.2019.1654520✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





