超絶勉強ハックNo.H09

黒板や展示を全体のまま写真に撮るだけだと、記憶に残りにくいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:59文献 3件

「黒板や展示を全体のまま写真に撮るだけだと、記憶に残りにくい」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

全体をなんとなく撮るだけだと、細かいところの記憶が弱くなることがあります。ただ、撮り方と場面しだいで結果は変わります。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果展示全体を撮った物は、見ただけの物より覚えていなかった(Henkel, 2014)

今日からできるやり方

  1. 撮る前に、まず自分の目でじっくり見る
  2. 撮るなら、大事な部分をズームして撮る
  3. 対面授業のスライドは、撮るより要点をメモ

美術館の展示室を、参加者たちが案内役について回っていきます。作品の前で立ち止まるたびに、指示が出ます。この作品は、よく見てください。この作品は、写真を撮ってください。

2014年、アメリカの心理学者ヘンケルが行った実験の一場面です。

撮った作品ほど、覚えていない

あとで記憶をテストすると、写真を撮った作品は、ただ見ただけの作品より、覚えている数が少なくなっていました。作品の細かいところも、展示室のどこにあったかも、撮ったほうがよく覚えていませんでした。「写真撮影による記憶の低下」と呼ばれる現象です。

ただし、別の撮り方も試されました。作品の一部分にズームして撮る方法です。この場合、記憶は下がりませんでした。しかも、ズームしなかった部分の記憶も、ズームした部分と同じくらいしっかりしていました。

ヘンケルは、ズームして撮るときに働く注意や考える作業が、記憶の低下を防いだと考えています。どこを撮るかを選ぶには、作品をよく見なければならないからです。

「カメラが覚えてくれる」からではない

なぜ撮ると忘れるのでしょうか。よく挙がる説明は、「カメラが覚えておいてくれるから、自分では覚えなくなる」というものです。記憶をカメラに預ける、という考え方です。

2018年、ソアレスとストームはこれを確かめました。1つ目の実験では、撮った写真がすぐ消えるアプリ、スナップチャットで撮影してもらいました。2つ目の実験では、撮ったあと自分の手で写真を消してもらいました。どちらも、写真はあとで見られないとわかっています。

それでも記憶の低下は起き、その大きさは、写真を残せる場合と同じくらいでした。カメラに預けたという安心だけでは、説明がつきません。少なくとも、それがおもな原因ではなさそうです。

授業のスライドを撮ると

では、授業のスライドを撮るのはどうでしょうか。2025年、トレゴらは、スライドを使った講義動画で3つの実験をしました。見るだけ、写真を撮る、メモを取る、写真とメモの両方、の4通りを比べます。

参加者が会場に来て受けた1つ目と2つ目の実験では、スライドに書かれた内容について、写真を撮ると記憶が下がりました。ところが、オンラインで受けた3つ目の実験では、逆に写真を撮ったほうが成績が良くなりました。メモを取る効果は、2つ目と3つ目の実験で、会場でもオンラインでも見られました。

撮れば必ず忘れる、とまでは言えません。ただ、対面で講義を受ける場面では、撮るだけでは記憶が弱くなるおそれがあります。それで判定は、半分ホントです。

撮る前に、まず見る

黒板やスライドを撮るなら、全体を1枚撮って安心しないようにしましょう。まず自分の目でじっくり見て、大事な部分を選び、ズームして撮る。要点は、自分の言葉でメモに書く。

シャッターを押すのは、見終わってからです。

参考文献

  1. Henkel L. (2014). Point-and-Shoot Memories: The Influence of Taking Photos on Memory for a Museum Tour. Psychological Science, 25, 396-402.

  2. Soares J., Storm B. (2018). Forget in a flash: A further investigation of the photo-taking-impairment effect. Journal of Applied Research in Memory and Cognition, 7, 154-160.

  3. Trego M., Soares J., Ditta A. (2025). Snap & Write: Examining the Effect of Taking Photos and Notes on Memory for Lecture Content. Behavioral Sciences, 15, 561.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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