超絶勉強ハックNo.H02
教科書を閉じて自力で思い出す勉強をしておくと、本番で緊張しても忘れにくいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
思い出す練習で覚えたことは、強い緊張の中でも崩れにくい。そんな実験結果が出ています。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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論文での効果ストレス下で、読み直しより成績が上。10研究のまとめでg=0.45
今日からできるやり方
- 教科書を読んだら、閉じて中身を書き出す
- 一問一答は答えを隠して思い出す
- 時間を計った本番形式の演習も混ぜる
- 間違えた所は答えを確かめてもう一度
前の日に覚えたことを、思い出してください。ただし、知らない人たちの前で、ビデオカメラを向けられながら。
2016年、アメリカのタフツ大学のスミスらが行った実験では、参加した学生の半分が、ちょうどそんな目にあいました。
前の日に覚えて、翌日に追いこむ
参加したのは120人の学生です。パソコンの画面に1つずつ出てくる、30個の単語と30枚の絵を覚えました。覚え方は2通りです。何度も画面で見直す「読み直し組」と、画面を見ずに思い出せるだけ書き出す小テストをくり返す「思い出し組」に分かれました。
24時間後、それぞれの組の半分に、強いストレスをかけました。予告なしでその場でスピーチをさせ、計算問題も解かせます。目の前には審査役が2人、ほかの学生が3人、そしてビデオカメラ。そのさなかと20分後に、前の日の記憶をテストしました。残りの半分は、同じ時間、緊張しない作業をしてからテストを受けました。
読み直し組は、ストレスを受けると成績が下がりました。緊張すると覚えたはずのことが出てこなくなる、よく知られた現象です。ところが思い出し組は、ストレスを受けても成績が下がりませんでした。この実験では、ストレスによる記憶成績の低下が見られなかったのです。
著者たちは、ストレスで記憶が引き出せなくなるかどうかは、記憶そのものの強さによるのではないか、と考えています。思い出す練習でしっかり作られた記憶は、緊張くらいでは崩れにくい、という見方です。
1本の研究では、まだ決められない
とはいえ、これは1本の研究です。ストレスの研究者ウルフとクルーゲは、翌年の論評で、ストレスホルモンのコルチゾールを測っていない点を指摘しました。本当に体がストレス反応を起こしていたのか、確かめられないからです。その後に行われた似た実験でも、結果はそろいませんでした。
そこで2025年、ミハイロヴァらは、2006年から2024年までの10の研究、908人分のデータをまとめました。分析の計画を先に公開してから進める、信頼性を高めたやり方です。
結論は、ストレスの下では、思い出す練習で覚えたほうが、読み直しより成績が良い、というものでした。効果量は0.45で、中くらいの大きさです。ただし研究ごとのばらつきは大きく、研究のやり方にも中程度の偏りのおそれがありました。どんな条件なら効きやすいのかも、まだわかっていません。著者たちは、もっと人数の多い研究が必要だとしています。
本番の緊張を、練習のうちに想定する
試験の前日に、ノートを何度も見直して安心する。そうして作った記憶は、本番の緊張で引き出しにくくなるかもしれません。教科書を閉じて、白い紙に書き出す。答えを隠して一問一答を解く。思い出す形で覚えた記憶のほうが、緊張に強い可能性があります。
「絶対に忘れない」とまでは言えません。それでも、同じ時間をかけるなら、見直すより思い出すほうに使いましょう。本番で頭が真っ白になりがちな人なら、なおさらです。
この記事に出てくる用語
- 効果量
- 効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
- 想起練習(思い出す練習)
- 教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。
参考文献
Smith A., Floerke V., Thomas A. (2016). Retrieval practice protects memory against acute stress. Science, 354, 1046-1048.
doi.org/10.1126/science.aah5067✓ 実在と内容を確認済み
Mihaylova M., Zocca M., Kliegel M., Rothen N. (2025). Does Retrieval Practice Protect Memory Against Stress? A Meta-Analysis. Swiss Psychology Open, 5, 6.
doi.org/10.5334/spo.101✓ 実在と内容を確認済み
Wolf O. T., Kluge K. (2017). Commentary: Retrieval practice protects memory against acute stress. Frontiers in Behavioral Neuroscience, 11, 48.
doi.org/10.3389/fnbeh.2017.00048✓ 実在と内容を確認済み
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