英語の常識No.E34

発音は教わっても上達しないって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:59文献 2件

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判定:ウソ

86の報告をまとめたメタ分析で、発音の指導には大きな効果がありました。長く続け、直してもらうほど効果は大きくなります。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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86。これは、外国語の発音を教えると上達するのかを確かめた研究報告の数です。2015年、リー、ジャン、プロンスキーの3人は、これらをすべて集めて、ひとつにまとめました。

発音については、「耳のいい人はうまくなるけれど、そうでない人は教わってもむだ」と考える人が少なくありません。中学で発音記号を習ったのに、今もカタカナ英語のまま、という人なら、なおさらそう感じるかもしれません。86の報告は、この思いこみにどう答えたのでしょうか。

86の報告が示したこと

3人は、見つけた研究を一つひとつ読み、どんな教え方か、どう測ったか、どんな結果だったかを記録していきました。そして、発音指導の効果を「効果量」という数字にそろえて計算しました。効果量は、差の大きさを表す数で、0.8前後が「大きい」の目安とされます。

結果は、全体としてはっきり大きな効果でした。同じ人の指導の前と後を比べると、効果量は0.89。指導を受けた人と受けなかった人を比べると、0.80でした。

発音は、教われば伸びる。86の報告をまとめると、そう言えるだけの数字が出てきたのです。

効果が大きくなる3つの条件

3人は、どんな指導で効果が大きくなるのかも調べています。はっきりした違いが出た条件は、3つありました。

ひとつめは、指導の期間が長いこと。発音は、何回かの授業で急に変わるものではないようです。ふたつめは、フィードバック、つまり「いまの音は違う」「ここをこう直す」と教えてもらえること。自分では正しく言えているつもりでも、実際には違っていることはよくあります。

みっつめは、測り方です。単語のリストを読み上げるときのように、発音に注意を向けられるテストで測ったほうが、効果は大きく出ていました。言いかえると、自由におしゃべりする場面では、同じだけ伸びているとは限りません。練習した発音を会話の中でも使えるようになるには、もう一段の練習が必要だと考えたほうがよさそうです。

めざすのは「通じる発音」

では、何をめざして練習すればいいのでしょうか。2012年、サイトウは、発音指導の15の研究をまとめた論文の中で、ひとつの流れを紹介しています。

研究者のあいだで、ある声が強まっている、というのです。ネイティブそっくりの発音ではなく、「相手にわかってもらえる発音」を教えるための研究をもっと進めよう、という声です。母語のなまりがある程度残っていても、相手に通じるための最低限の条件を満たせばよい、という考え方です。どの発音のちがいが通じやすさを大きく左右するのかを調べ、教える順番を決めようとする研究も増えてきました。

L と R の区別で言えば、まず目標は、ネイティブと同じ響きにすることではありません。相手が、あなたの L と R を取り違えずに聞き取れることです。

録音して、直してもらう

原田英語のおすすめは、自分の発音を録音して聞き返し、先生や英語の得意な友だちに、どこが違うかを教えてもらうことです。口や舌の動かし方を知ったうえで、直してもらいながら、数週間、数か月と続けます。

発音は、生まれつきの耳のよさだけで決まるものではありません。教わって、直してもらって、続ければ伸びる技能です。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Lee J., Jang J., Plonsky L. (2015). The Effectiveness of Second Language Pronunciation Instruction: A Meta-Analysis. Applied Linguistics, 36, 345-366.

  2. Saito K. (2012). Effects of Instruction on L2 Pronunciation Development: A Synthesis of 15 Quasi-Experimental Intervention Studies. TESOL Quarterly, 46(4), 842-854.

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