英語の常識No.E33

作文の文法を添削しても、正確さは上がらないって、ホント?

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判定:ウソ

「添削は効かない」という有名な主張もありましたが、その後のメタ分析では、添削で文法の正確さが上がりうることが示されました。

ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。

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赤ペンでびっしり直されて返ってきた英作文。直された箇所を数えて、ため息が出ます。それなのに次の作文で、また同じところを間違えてしまう。そんな経験があると、「添削されても、結局うまくならないのでは」と思えてきます。

研究者の中にも、同じことを、もっとはっきり主張した人がいました。

「文法の訂正は、やめるべきだ」

1996年、トラスコットは、ある論文を発表しました。題名を訳すと、「第二言語の作文の授業で、文法を訂正することに反対する理由」。中身も、題名のとおりでした。

トラスコットは、作文の文法の訂正はやめるべきだと主張し、理由を3つ挙げました。1つめは、多くの研究が訂正の効果のなさを示していて、意味のある形で役立つと示した研究はないこと。2つめは、理論の面からも実際の面からも、効かないと予想できること。3つめは、訂正には害もあること。さらに、それまでに出されていた訂正に賛成する意見も、ひとつずつ退けました。

作文を添削するのは、英語の先生の大事な仕事のひとつです。その仕事を「やめるべきだ」と言い切ったのですから、大きな反響を呼びました。

題名で言い返す

1999年、フェリスが反論を発表します。題名は、「第二言語の作文の授業で、文法を訂正することに賛成する理由」。トラスコットの題をひっくり返した題名に、「トラスコットへの応答」という副題がついていました。

トラスコットも黙ってはいません。同じ年に、「『反対する理由』に賛成する理由」という題で、さらに言い返す論文を出しています。題名を並べるだけで、議論の熱が伝わってきます。

この論争をきっかけに、作文の添削を確かめる研究が、次々に行われるようになりました。

21の研究が出した答え

2015年、カンとハンは、それまでの研究の中から21の研究を選び、まとめて分析しました。問いは2つです。作文の添削は、文法の正確さを高めるのか。高めるとしたら、どんな条件で効き目が変わるのか。

答えは、添削によって、第二言語の作文の文法はより正確になりうる、というものでした。ただし、その効き目は、いくつかの条件に左右されていました。学習者の英語力、学んでいる環境、そして書いている作文の種類です。

「効きうる」は、「いつでも必ず効く」とは違います。同じ添削でも、受け取る人や場面によって、効き方が変わるということです。それでも、「添削しても正確さは上がらない」とまでは言えないことが、研究の積み重ねで見えてきました。

赤ペンを、次の1本に生かす

原田英語のおすすめは、添削された作文を、直されたところを見て終わりにしないことです。なぜ間違えたのかを確かめたら、作文をもう一度、全部書き直します。くり返し直される間違いは、ノートに書き出しておき、次の作文を出す前に、その間違いがないか見直します。

赤ペンの跡は、次の1本で同じ間違いをしないための手がかりです。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。

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参考文献

  1. Truscott J. (1996). The Case Against Grammar Correction in L2 Writing Classes. Language Learning, 46, 327-369.

  2. Kang E., Han Z. (2015). The Efficacy of Written Corrective Feedback in Improving L2 Written Accuracy: A Meta‐Analysis. The Modern Language Journal, 99, 1-18.

  3. Ferris D. (1999). The case for grammar correction in L2 writing classes: A response to Truscott (1996). Journal of Second Language Writing, 8(1), 1-11.

  4. Truscott J. (1999). The case for "The Case Against Grammar Correction in L2 Writing Classes": A response to Ferris. Journal of Second Language Writing, 8(2), 111-122.

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