英語の常識No.E32
会話中の間違いは、訂正しない方がいいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
教室での口頭の訂正には、確かで長続きする効果がありました。とくに、学習者に自分で言い直させる訂正がよく効きました。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)
0:00 / 3:40
たとえば英語の授業で、生徒がきのうの出来事を話しているとします。ところが動詞が、went ではなく go のままです。先生には、いくつかの選び方があります。
何も言わずに、話を続けさせる。「went ね」と、正しい形をさりげなく言い直してあげる。あるいは、「きのうのことだから?」と問いかけて、生徒自身に言い直させる。
間違いをいちいち直すと、話す気持ちがしぼんでしまうのではないか。そう心配する人もいます。けれども、研究の答えは、「直したほうがいい」でした。そして、直し方によって効き目が違うこともわかってきました。
18時間あまりの授業を書き起こす
1997年、ライスターとランタは、小学校の4つの教室で、先生が生徒の間違いにどう反応しているかを調べました。教科の授業をフランス語で受ける、イマージョンと呼ばれる教室です。教科の授業14回とフランス語の授業13回、合わせて18.3時間分のやりとりを、すべて文字に書き起こしました。
先生たちの訂正は、6つの種類に分けられました。その中で、先生たちが圧倒的によく使っていたのは、正しい形を言い直してあげる「リキャスト」でした。ところがリキャストは、生徒が自分で間違いを直すことに、ほとんどつながっていませんでした。
生徒が自分で直すことにつながったのは、ほかの4つでした。答えを引き出す問いかけ、文法の手がかりを与えるひと言、「もう一度言って」と聞き返すこと、間違えた部分をそのままくり返すこと、です。
827人分の結果から
では、訂正は実際に英語の力を伸ばすのでしょうか。2010年、ライスターとサイトウは、教室で行われた15の研究、827人分の結果をまとめて分析しました。
結果、口頭での訂正には、はっきりした効果があり、その効果は時間がたっても続いていました。効果は、自由に答えたり話したりするテストで、いちばんはっきり表れていました。
また、正しい形を言ってあげるリキャストよりも、学習者自身に言い直しを促す「プロンプト」のほうが、効果は大きくなりました。年齢の低い学習者ほど、訂正の効果が大きい傾向もありました。その言語が日常で話されている国の教室か、そうでない国の教室かによる違いは、見られませんでした。
言い直すのは、自分の口で
2つの研究を合わせると、ひとつの流れが見えてきます。先生がよく使うのは、正しい形を言ってあげる直し方です。けれども、よく効くのは、学習者が自分で考えて言い直す直し方でした。
学ぶ側にできることもあります。間違いを直されたら、聞き流さずに、正しい形でもう一度その文を言ってみる。先生や友だちと練習するときは、「すぐ答えを言わずに、ヒントをください」と頼んでおくのも、ひとつの方法です。
原田英語のおすすめは、直されたその場で、自分の口で言い直す習慣をつけることです。直された瞬間は少し恥ずかしくても、自分で言い直した一文は、ただ聞いた一文より残りやすいようです。
参考文献
Lyster R., Saito K. (2010). ORAL FEEDBACK IN CLASSROOM SLA. Studies in Second Language Acquisition, 32, 265-302.
doi.org/10.1017/S0272263109990520✓ 実在と内容を確認済み
Lyster R., Ranta L. (1997). Corrective feedback and learner uptake: Negotiation of form in communicative classrooms. Studies in Second Language Acquisition, 19(1), 37-66.
doi.org/10.1017/S0272263197001034✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





