英語の常識No.E01
日本人はLとRを聞き分けられないって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
「生まれつき無理」ではありません。苦手なのは本当ですが、聞き分けは練習で伸びることが実験で示されています。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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レストランで「rice(ごはん)をください」と言ったつもりが、相手の耳には「lice(シラミ)をください」と聞こえていたら。英語を習う日本人なら、一度は聞かされるLとRの笑い話です。そして多くの人が、こう結論します。「日本人には、そもそも聞き分けられないんだ」と。
ところが、研究の結果は少し違います。
あなたも、赤ちゃんのころは聞いていた
2006年、クールらは、アメリカと日本の赤ちゃんに英語のLとRを聞かせる実験をしました。比べたのは、生後6〜8か月の赤ちゃんと、10〜12か月の赤ちゃんです。
月齢が上がると、アメリカの赤ちゃんは聞き分けがうまくなり、日本の赤ちゃんは逆に下がっていました。
聞き分ける力が最初からないわけではなく、日本語の中で育つうちに、脳が「この違いは気にしなくていい」と学んでいくと考えられます。日本語には、LとRを区別しないと意味が変わる言葉がありません。しかもラ行の音は、英語のLともRとも違う音です。そのため脳は、2つの音をまとめて「ラ行っぽい音」というひとつの箱に入れてしまうと考えられています。
大人になっても、耳は鍛えられる
では、大人はもう手遅れなのでしょうか。1971年の後藤の報告以来、日本人の大人がLとRを苦手とすることは、何度も確かめられてきました。機械で作った音声で聞き分けを訓練する試みもありましたが、本物の人の声で試すと、ほとんど効果が出なかったといいます。
1991年、ローガンらは別のやり方を試しました。ひとりの声、ひとつの単語ではなく、いろいろな人が話す本物の声で、単語のいろいろな位置に出てくるLとRを聞かせたのです。聞いて「LとRのどちらか」を答えることを、くり返します。
訓練の前と後でテストすると、聞き分けの成績は確かに上がっていました。
ただし、この実験の参加者は6人だけで、伸びも「小さいけれど確か」という程度でした。すぐに聞き分けられるようになるわけではありません。それでも、大人の耳でも訓練で変わることは示されました。
ひとりの声だけで練習しない
練習するときは、ひとりの先生の声だけに頼らないようにしましょう。同じ人の声ばかり聞いていると、その人の癖に慣れるだけになりがちです。男性、女性、早口、ゆっくり。いろいろな声で、lightとright、riceとliceを聞き比べましょう。
赤ちゃんのころにひとつにまとめてしまった音も、たくさんの声で聞き比べるうちに、少しずつ区別できるようになっていきます。
参考文献
Goto H. (1971). Auditory perception by normal Japanese adults of the sounds “L” and “R”. Neuropsychologia, 9, 317-323.
doi.org/10.1016/0028-3932(71)90027-3✓ 実在と内容を確認済み
Logan J., Lively S., Pisoni D. (1991). Training Japanese listeners to identify English /r/ and /l/: A first report. The Journal of the Acoustical Society of America, 89, 874-886.
doi.org/10.1121/1.1894649✓ 実在と内容を確認済み
Kuhl P. K., Stevens E., Hayashi A., Deguchi T., Kiritani S., Iverson P. (2006). Infants show a facilitation effect for native language phonetic perception between 6 and 12 months. Developmental Science, 9(2), F13-F21.
doi.org/10.1111/j.1467-7687.2006.00468.x✓ 実在と内容を確認済み
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