食べ物と頭No.D08
水分が足りないと、頭の働きが落ちるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
33の研究をまとめた分析で、水分が足りないと注意力や判断の力が落ちることが確かめられています。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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論文での効果体重の2%を超える脱水で、認知課題の成績が低下(効果量-0.28)
今日からできるやり方
- のどが渇く前に、こまめにひと口飲む
- 暑い日や運動のあとは、特に意識する
- 持ち込める試験なら、水を用意しておく
体重50kgの人なら、その2%は1kgです。水に直すと、およそ1リットル。500mLのペットボトル2本分の水が、体から出ていった状態です。
この「体重の2%」が、頭の働きの一つの境目になりそうだ、という分析があります。食べ物と頭の関係を調べた研究には、効果がはっきりしないものが多いのですが、水分については、かなりはっきりした答えが出ています。
33の研究を、まとめて見る
2018年、ウィットブロットとミラードスタッフォードは、脱水と頭の働きを調べた33の研究を集め、まとめて分析しました。参加者は合わせて413人で、そこから280の結果が取り出されました。脱水の程度は、体重の1〜6%が減る範囲で、脱水の起こし方は研究ごとにさまざまでした。
全体で見ると、脱水によって、頭の働きを測るテストの成績は下がっていました。効果の大きさを表す「効果量」はマイナス0.21で、小さいけれど、確かな低下です。
どんな働きが落ちやすいかも調べられています。いちばん大きかったのは注意でマイナス0.52、次が手先の動きを合わせる力でマイナス0.40、計画や切り替えなどの力、つまり実行機能がマイナス0.24でした。
一方で、合図にどれだけ速く反応できるかだけを見る課題では、はっきりした差は出ませんでした。脱水で落ちるのは、単純な反応の速さよりも、注意を向け続けたり、考えを切り替えたりする働きのほうだったのです。
2%を超えると、落ち方が大きくなる
さらに、体重が減った割合が大きいほど、成績の落ち方も大きくなっていました。体重の2%以下の脱水では、効果量はマイナス0.14。2%を超えると、マイナス0.28と、およそ2倍になります。
著者らは、研究ごとのばらつきはあるものの、水分の不足が体重の2%を超えると、注意、実行機能、手の動きを合わせる力が落ちる、と結論しています。どれも、問題を解いたり、ノートを取ったりするときに使う力です。
子どもでは、水を一杯飲むだけでも
子どもでも、似た結果が報告されています。
2009年、エドモンズとバーフォードは、7〜9歳の子ども58人を、追加で水を飲むグループと、飲まないグループに、くじ引きのように分けました。水を飲んだ子どもたちは、のどの渇きが少なくなっていました。それだけでなく、並んだ文字から決まった文字を探して消していく課題や、絵の違いを見つけて覚える課題でも、成績が良くなっていました。
同じ年、エドモンズとジェフスは、6〜7歳の23人で調べました。水を飲んだグループでは、のどの渇きが減り、気分も明るくなり、注意や、目でものを探す課題の成績が上がりました。ただし、見た物を覚える課題や、目で見ながら手を動かす課題には、差がありませんでした。
この研究の子どもたちは、運動をしたわけでも、暑い場所にいたわけでも、わざと水を控えたわけでもありません。著者らは、そうしたふだんの軽い水分不足でも、水を一杯飲むと成績が良くなりうる、と述べています。ただし、どちらの研究も人数は少なめです。
足りない状態を作らない
ただし、「水をたくさん飲むほど頭が良くなる」わけではありません。研究が示しているのは、水が足りないと働きが落ちる、ということです。足りている人がさらに飲んでも、上乗せがあるとは限りません。
目安になるのは、のどの渇きです。子どもの2つの研究でも、水を飲んだグループは、まずのどの渇きが減っていました。渇いたまま机に向かい続けるのは、わざわざ不利な条件で勉強しているようなものです。
原田英語のおすすめは、勉強を始める前に、机の上に水を置いておくことです。のどが渇いたと感じる前に、こまめにひと口。暑い日や部活のあとは、特に意識しましょう。持ち込める試験なら、筆記用具と一緒に水もかばんに入れておきます。
集中が続かないと感じたら、気合いを入れ直す前に、まず水をひと口飲んでみてください。
参考文献
Wittbrodt M., Millard-Stafford M. (2018). Dehydration Impairs Cognitive Performance: A Meta-analysis. Medicine & Science in Sports & Exercise, 50, 2360-2368.
doi.org/10.1249/MSS.0000000000001682✓ 実在と内容を確認済み
Edmonds C., Burford D. (2009). Should children drink more water?: The effects of drinking water on cognition in children. Appetite, 52, 776-779.
doi.org/10.1016/j.appet.2009.02.010✓ 実在と内容を確認済み
Edmonds C., Jeffes B. (2009). Does having a drink help you think? 6–7-Year-old children show improvements in cognitive performance from baseline to test after having a drink of water. Appetite, 53, 469-472.
doi.org/10.1016/j.appet.2009.10.002✓ 実在と内容を確認済み
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