「辞任する」は英語で何と言うのでしょうか。アメリカのトランプ大統領は11月6日、ワイルズ首席補佐官が退任し、ミラー次席補佐官が後任になると発表しました。英語のニュースでは、steps down(退任する)という表現がよく使われました。step down と resign の違い、語源、関連する英語まで音声つきで解説します。

「辞任」を英語で言う step down のイメージ。高い台の上の椅子から、かばんを持った人が階段を一段ずつ降りていく毎日英語 第15号|2026年11月7日(土)

step down辞任する・退任する
(高い地位から降りる)
30秒でわかる今日のニュース
  • トランプ米大統領は11月6日(現地時間)、ワイルズ大統領首席補佐官が退任し、ミラー次席補佐官が後任になると発表した。ミラー氏は9日に就任する予定と報じられた。
  • 3日の中間選挙で与党・共和党は上下両院の多数派を失うことが確実になったと報じられている。日本の報道では「大敗の責任を問われたとみられる」との見方も伝えられたが、退任の理由は公式には説明されていない。
  • 米英の報道は、関係者の話として、ワイルズ氏が5日夜に辞意を伝えたと報じた。ワイルズ氏は女性として初めてホワイトハウスの首席補佐官を務め、今後はトランプ氏の政治活動の仕事に移るという。
  • 英語のニュースでは Susie Wiles steps down のような書き方が多く見られた。辞任する・退任する=step down / resign
今日の一文

Days after the Republicans lost the midterm elections, Susie Wiles stepped down as White House chief of staff.

共和党が中間選挙で敗れた数日後、スージー・ワイルズ氏はホワイトハウスの首席補佐官を退任した。
※NPR・AP(PBS)・The Guardian・BBC・時事通信などの報道をもとに原田英語が作成した文です。

step down as ~ は「~(の職)を退く」。as のあとに役職名を置くのが、ニュース英語でよく使われる形です。stepped は過去形で、語尾の発音は「ステップト」。なお、同じ出来事でも、英紙ガーディアンは強制的な交代と捉えて見出しに Trump ousts(トランプ氏が追い出す)という強い動詞を選び、本文では resignation(辞任)とも書きました。NPR や AP は replace(交代させる)を使っています。どの動詞を選ぶかに、書き手の見方が表れるのです。

PART 1

step down と resign の違い

step downステップ・ダウン
🔻高い地位から降りる。大統領・首相・社長・監督など、トップや要職から退くときの句動詞。resign より婉曲的に聞こえることもあり、見出しの定番(自発的とは限らない)。
例:step down as CEO(最高経営責任者を退く)
resignリザイン
📝職を辞める。quit より改まった語で、名詞は resignation。不祥事などで「引責辞任」するときにもよく使う。
例:resign from the company(会社を辞める)

どちらも「辞任する」と訳せますが、step down は「地位から降りる」という動き、resign は「職を辞する」という行為そのものに目が向いた語です。役職によるはっきりした使い分けはなく、首相にも閣僚にも両方使われます。今回のように同じ出来事を両方の語で伝えることも多いです。形の違いにも注意しましょう。resign は resign as ~(~の職を辞する)・resign from ~(~から辞める)、step down は step down as ~・step down from ~ と使います。

💡 日本語の「辞め方」を英語にすると

辞任・辞職・退任 → resign/step down
任期満了で退任 → leave office
(仕事を)辞める → quit(会話で)
更迭・解任・クビ → be dismissed/be fired/be ousted

PART 2

語源:resign は「封を解く・取り消す」

re-元に戻す・逆に
+
signare印を付ける・封をする
=
resign手放す・辞する

resign は、ラテン語の resignare(封を解く・取り消す)がフランス語を経て英語に入った語です。re-(元に戻す・逆に)+ signare(印を付ける・封をする)に由来し、ラテン語では「封を解く・取り消す・返す」などを表しました。そこから「権利や地位を手放す」→「職を辞する」と意味が広がったと説明されます。sign(署名・しるし)や signature(署名)、signal(合図)と同じ仲間です。一方の step down は、文字どおりには「一段降りる」。そこから比喩的に「地位を退く」を表します。

⚠️ resign と re-sign は別の語!

resign(リザイン)=辞任する。re-sign(リー・サイン)=もう一度署名する・再契約する。スポーツニュースの The club re-signed the player. は「クラブがその選手と再契約した」で、辞任とはまったく違う意味です。

PART 3

今回のニュースの英語 読みどころ4つ

まとめて聞いてみましょう。

chief of staff
首席補佐官
staff(職員たち)の chief(長)。ホワイトハウスでは、大統領の日程や面会の管理、政策の調整、職員組織の運営を担う要職です。軍では「参謀長」、会社では社長を支える「CoS(チーフ・オブ・スタッフ)」という役職名にもなります。
deputy chief of staff
次席補佐官
deputy は「副・代理」。deputy mayor(副市長)のように使います。次席補佐官は複数置かれることがあり、後任のミラー氏は、政策担当の次席補佐官からの昇格でした。
quit
(仕事などを)辞める
会話でいちばんよく使う「辞める」。quit my job(仕事を辞める)、quit smoking(たばこをやめる)。過去形も quit のままです。政治家の辞任を伝える見出しで使われることもあります。
oust
追い出す・解任する
本人の意思でなく、権力や決定によって地位から追い出すこと。受け身の be ousted(解任される)や、名詞の ouster(追放・解任)もニュースでよく見ます。

辞表は resignation letter。「辞表を出す」は hand in a resignation letter、submit a resignation letter などと言います。政権の人事の英語では、第14号「レームダックの意味」や、第5号「lawyer と attorney の違い」もあわせてどうぞ。

PART 4

そのまま使える例文6つ(音声つき)

  1. She stepped down as chief of staff.
    彼女は首席補佐官を退任した。

  2. The minister resigned over the scandal.
    その大臣は不祥事の責任を取って辞任した。

  3. He handed in his resignation on Thursday night.
    彼は木曜日の夜に辞表を出した。

  4. I quit my part-time job last month.
    先月、アルバイトを辞めた。

  5. The CEO was ousted by the board.
    その最高経営責任者は取締役会に解任された。

  6. Our coach will step down at the end of the season.
    私たちの監督は、今シーズン限りで退任する。

PART 5

1分クイズで定着チェック

Q1「高い地位から退く」イメージの句動詞は?
💡 step down=段を降りる→地位を退く。step up は「進み出る・強化する」。
Q2書面の「辞表」を英語で言うと?
💡 resign(辞任する)の名詞が resignation。書面の辞表は resignation letter。
Q3resign の語源の意味は?
💡 ラテン語 resignare(封を解く・取り消す)から。sign の仲間。
Q4The club re-signed the player. の意味は?
💡 re-sign(ハイフンつき)=再び署名する・再契約する。
Q5本人の意思でなく「追い出された」と伝えるのに合うのは?
💡 oust=権力や決定で地位から追い出す。be ousted=解任される。
選択肢を押すと答えが出ます
PART 6

毎朝のニュース英語は、ここでチェック

step down や resign は、政治・経済・スポーツのどのニュースにも毎日のように出てくる語です。今日のような時事英語を毎朝まとめて読みたい人は、原田英語の無料サイトへどうぞ。

PART 7

よくある質問

Q. 「辞任」は英語で何と言いますか?
ふつうは resign(リザイン)です。名詞は resignation(辞任)で、書面の「辞表」は resignation letter です。ニュースの見出しでは、トップの地位から退くことを step down(ステップ・ダウン)とも言います。会話で「仕事を辞める」なら quit がよく使われます。
Q. step down と resign の違いは?
resign は、職や地位を辞する行為そのものを表す、quit より改まった語です。step down は「一段降りる」から「地位を退く」を表す句動詞で、トップや要職から退くときによく使われ、resign より婉曲的に聞こえることもあります(自発的とは限りません)。役職によるはっきりした使い分けはなく、同じ出来事を両方の語で伝えることもよくあります。
Q. resign の語源は?
ラテン語の resignare(封を解く・取り消す)がフランス語を経て英語に入った語です。re-(元に戻す・逆に)+ signare(印を付ける)から成り、ラテン語では「封を解く・取り消す・返す」などを表し、そこから「手放す」→「職を辞する」と意味が広がったと説明されます。sign(署名・しるし)の仲間です。
Q. re-sign と resign は同じですか?
違う語です。ハイフンつきの re-sign(リー・サイン)は「もう一度署名する」、スポーツでは「(選手と)再契約する」という意味です。辞任の resign(リザイン)とは発音も意味も違うので、スポーツニュースでは特に注意しましょう。

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参考にした報道