EIKEN GRADE PRE-1 / WRITING
英検準1級ライティング
「120語の壁」の越え方
― 120〜150語は「10文」で届く ―
2級に受かった人が準1級で最初にぶつかるのが、この壁です。
「2級の型で書いたら95語で終わった。あと30語、どこから出せばいいの?」
答えははっきりしています。2級の8文に、2文足して10文にする。ただし足す場所が決まっています。この記事では、136語の完成例を全文・和訳・語数つきで公開し、どこに何を足すかを1文単位で示します。
CHAPTER 01
120〜150語は「何文」なのか
まず、ゴールの形を数字で押さえます。
THE ANSWER
120〜150語 = だいたい「10文」
1文あたり平均13〜14語
2級は8文・1文11語でした。準1級は文が2つ増え、1文も2〜3語長くなる。この2段階の変化が「120語の壁」の正体です。文の数だけ増やそうとすると内容が散り、1文だけ長くしようとすると文法が崩れます。両方を同時に動かす必要があります。
10文の内訳は、パラグラフごとに固定されています。
| パラグラフ | 文数 | 語数の目安 |
| 序論 | 2文 | 約25語 |
| 本論① | 3文 | 約40語 |
| 本論② | 3文 | 約40語 |
| 結論 | 2文 | 約30語 |
| 合計 | 10文 | 約135語 |
準1級ライティングの全体像
2024年度のリニューアル以降、準1級のライティングは「英文要約」と「意見論述」の2問です。要約は200語程度の英文を60〜70語に、意見論述は120〜150語。採点はどちらも内容・構成・語彙・文法の4観点で各0〜4点、1問16点、2問で32点満点。これがCSEスコア750点に換算されます。合格ラインの目安は32点中23点前後です。
CHAPTER 02
これが「10文の型」。全文+和訳+語数
TOPICは「企業は従業員の在宅勤務を認めるべきか」、POINTSは Convenience / Cost / Health / Productivity の4つから2つを選ぶ設定です。ここでは Cost と Health を採用しました。合計136語です。
完成例 合計136語
[序論]2文・24語
1. I agree that companies should allow their employees to work from home. (12語)
企業は従業員に在宅勤務を認めるべきだと考えます。
2. I feel this way for two reasons, which I will explain below. (12語)
そう考える理由は2つあり、以下で説明します。
[本論① Cost]3文・40語
3. First, working from home reduces costs for both companies and workers. (11語)
第一に、在宅勤務は企業と労働者の双方の費用を減らします。
4. Companies can rent smaller offices, and employees do not have to pay for daily commuting. (15語)
企業はより小さなオフィスを借りればよく、従業員は毎日の通勤費を払う必要がありません。
5. According to several reports, some firms have cut their office expenses by nearly half. (14語)
いくつかの報告によれば、オフィス費用を半分近く削減した企業もあります。
[本論② Health]3文・40語
6. Second, remote work has a positive effect on employees’ health. (10語)
第二に、リモートワークは従業員の健康に良い影響を与えます。
7. Long commutes on crowded trains cause stress, and they also reduce the time available for sleep and exercise. (18語)
混雑した電車での長い通勤はストレスを生み、睡眠や運動に使える時間も減らします。
8. Workers who stay at home can therefore maintain a healthier daily routine. (12語)
そのため、在宅で働く人はより健康的な生活リズムを保てます。
[結論]2文・32語
9. Of course, some managers argue that face-to-face communication is essential for teamwork. (12語)
もちろん、対面のやりとりがチームワークに不可欠だと主張する管理職もいます。
10. However, considering the reduction in cost and the improvement in health, I firmly believe that companies should adopt this policy. (20語)
しかし、費用の削減と健康の改善を考えれば、企業はこの方針を採用すべきだと強く思います。
2級と同じく、1・2・9・10文目は毎回ほぼ同じ形で使い回せます。この4文で56語が確定します。つまり本番で考えるのは本論の6文、約80語ぶんだけです。
CHAPTER 03
伸びない原因は「本論が2文で終わっている」
95語で止まる答案を分解すると、ほぼ例外なく本論が2文です。「理由を言う文」と「説明する文」で終わっている。準1級では、ここに3文目が要ります。
THE 3-SENTENCE BLOCK
1文目 理由を言う(10〜11語)
2文目 なぜそう言えるかを説明する(15〜18語)
3文目 データか帰結で締める(12〜14語)
3文目に入れるものは2択です。どちらかを選べば必ず書けます。
選択肢A 数字やデータで裏づける
正確な統計を知らなくても構いません。According to several reports や Some studies suggest that で始めれば、断定を避けたまま14語前後が書けます。
According to several reports, some firms have cut their office expenses by nearly half. (14語)
いくつかの報告によれば、オフィス費用を半分近く削減した企業もあります。
選択肢B 結果を1文にまとめて締める
説明した内容から導かれる結論を、therefore や As a result を挟んで書きます。2級で使った「だから?」の質問が、そのまま準1級でも効きます。
Workers who stay at home can therefore maintain a healthier daily routine. (12語)
そのため、在宅で働く人はより健康的な生活リズムを保てます。
本論①と本論②の両方に3文目を足すと、それだけで26語前後増えます。95語だった答案が、これだけで121語になる計算です。
CHAPTER 04
POINTSの選び方で、書ける語数が決まる
準1級では、提示される4つのPOINTSのうち2つを使うことが求められます。2級のように自由に理由を作れません。そして、この選択が語数を左右します。
選ぶ基準は「自分が賛成しやすいか」ではありません。具体例を1つ思いつけるかです。理由は思いついても具体例が出ない観点を選ぶと、本論が2文で止まります。
| 観点 | 書きやすさ | 理由 |
| Cost(費用) | 高い | 数字と結びつけやすく、3文目が作りやすい |
| Health(健康) | 高い | 身近な具体例が出しやすい |
| Convenience(利便性) | 中 | 抽象的になりやすく、説明が薄くなりがち |
| Productivity(生産性) | 低い | 賛否が割れ、根拠を示すのに語数を食う |
もう1つのコツは、なるべく離れた2つを選ぶことです。CostとConvenienceのように近い観点を並べると、本論②が本論①の言いかえになってしまい、内容の評価が伸びません。お金の話と身体の話、というように性質の違う2つを組ませてください。
CHAPTER 05
あと5語だけ足りないときの調整6つ
準1級の微調整は、2級と少し違います。語数が増えると同時に、語彙の評価も上がる書きかえを選ぶのがポイントです。
| やること | 書きかえ例 | 増加 |
| 主語を関係詞でくわしく | workers → workers who live far from the office |
+6 |
| 分詞構文を副詞節に開く | Considering the cost, … → If we consider the cost, … |
+2 |
| 名詞構文を節に開く | because of its convenience → because it is convenient |
+1 |
| 断定をぼかす表現を足す | Remote work reduces stress → Remote work tends to reduce stress |
+2 |
| 結論の合図を格上げする | Therefore, → For the reasons stated above, |
+4 |
| 対象範囲を明示する | companies → companies in urban areas |
+3 |
注意。準1級では短縮形を開く手(don’t → do not)は、そもそも最初から使っていないはずなので増量には使えません。エッセイで短縮形を使うこと自体が語彙・文法の観点で不利になります。増やすなら上の6つを使ってください。
CHAPTER 06
準1級でやると減点される稼ぎ方5つ
NG 1 POINTSの語をそのまま並べる
Cost is important. Health is also important. のような書き方です。観点名を書いただけでは、その観点を「用いた」ことになりません。必ず自分の説明文とセットにしてください。
NG 2 似た観点を2つ選んで内容を重複させる
本論②が本論①の言いかえになると、語数は増えても内容の評価は上がりません。前章のとおり、性質の違う2観点を組ませます。
NG 3 結論で新しい理由を出す
結論の段落は、本論のまとめだけを書く場所です。ここに3つ目の理由を足して語数を稼ぐと、構成の評価が下がります。増やすなら本論の中です。
NG 4 同じ語を繰り返して長くする
準1級は語彙の観点が厳しく見られます。important を3回使うより、significant、crucial、beneficial と変えるほうが確実に有利です。増量と言いかえは同時にやります。
NG 5 150語を大きく超える
書ける人ほど陥りがちです。大きな超過は減点につながる可能性があるうえ、見直し時間も失います。135語前後で着地させるのが最も安全です。
CHAPTER 07
要約(60〜70語)は「4文」で65語に着地させる
要約は意見論述より語数の管理がシビアです。指示文の表記が「目安」から「60語から70語で要約せよ」という形に変わっており、範囲を外すと不利になると考えて対策するのが安全です。
60〜70語 =「4文」
1文あたり16〜17語/狙いは65語
出題される英文は3段落構成で、多くの場合どこか1段落が長くなっています。そこで長い段落だけ2文に分け、残りを1文ずつにすると、自然に4文になります。
| 原文 | 要約側 | 語数 |
| 第1段落(テーマ) | 1文 | 約16語 |
| 第2段落(利点) | 1文 | 約16語 |
| 第3段落(問題点)が長い | 2文に分ける | 約33語 |
| 合計 | 4文 | 約65語 |
語数が合わないときに文を増やしてはいけません。1文の長さで調整します。短くしたいときは具体語をまとめ語に、長くしたいときはまとめ語を具体語に戻す。この往復だけで前後5語は動かせます。
時間配分の目安
筆記90分のうち、ライティング2問に40分。内訳は意見論述25分、要約15分が現実的です。要約を先に片づける人もいますが、配点が同じである以上、書き慣れているほうから始めて確実に得点するのが得策です。
TODAY’S ENGLISH
準1級で語数と語彙を同時に稼ぐ7フレーズ
I feel this way for two reasons, which I will explain below.
そう考える理由は2つあり、以下で説明します。(序論2文目の定番・12語)
According to several reports, …
いくつかの報告によれば〜。(断定を避けて根拠を示す)
Some studies suggest that …
〜を示唆する研究もあります。(同上・より学術的)
… tends to …
〜する傾向がある。(断定を避けつつ2語増える)
Of course, some people argue that …
もちろん〜と主張する人もいます。(結論前の譲歩)
However, considering A and B, …
しかしAとBを考えれば〜。(本論2つを回収する)
For the reasons stated above, I firmly believe that …
上述の理由から、〜と強く考えます。(結論の締め)
CHAPTER 08
よくある質問
Q. POINTSは本当に2つ使わないとダメですか?
準1級では4つのうち2つを用いることが求められています。2級のように任意ではありません。使わないと内容の評価に響くため、必ず2つ選んでください。
Q. 具体的な統計を知らないのに数字を書いていいですか?
正確な数値を断定するのは避け、According to several reports のような前置きを付けて概数で書くのが安全です。採点対象は英語の運用能力であり、事実確認ではありません。
Q. 4パラグラフに分けないとダメですか?
序論・本論・結論の構成が要件になっています。本論を1つの段落にまとめる書き方もありますが、理由ごとに段落を分けた4段落構成のほうが構成の評価は安定します。
Q. 要約と意見論述、どちらを先に解くべきですか?
配点は同じ16点なので、得意なほうから確実に取るのが原則です。ただし要約は時間切れになると壊滅しやすいので、要約が苦手な人ほど先に着手する価値があります。
Q. 2級の型をそのまま使ってはいけませんか?
土台は同じで構いません。違うのは本論が2文から3文になること、POINTSの使用が求められること、語彙の水準が上がることの3点です。この3点だけを上書きしてください。
CONCLUSION
増やす場所は、本論の3文目ただ一か所
・120〜150語は「10文」。1文あたり13〜14語
・序論2文・本論3文・本論3文・結論2文で固定する
・足りない原因は本論の3文目がないこと。データか帰結で締める
・POINTSは「具体例が浮かぶか」で選び、性質の違う2つを組ませる
・要約は4文で65語着地。文を増やさず1文の長さで調整する
準1級で問われているのは、意見の鋭さではありません。1つの理由を3文で支えきれるかどうか、それだけです。次の演習では、自分の本論を数えてみてください。2文で終わっていたら、そこがそのまま30語ぶんの伸びしろです。
本記事は公開されている出題形式および採点観点をもとにした独自の分析と整理です。最新の試験形式、語数、採点基準は必ず英検公式の発表をご確認ください。
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