学校でスマホ禁止にすると成績は上がる? イギリスは「上がった」、スウェーデンは「変化なし」

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学校でスマホを禁止すれば、生徒の心の健康は確実に良くなる
2025年のイギリスの調査では、禁止校と許可校で生徒の心の健康に差は見られなかった。
- 対象
- 英国・スウェーデンの中高生ほか
- 規模
- 数十〜数百校、約1,200人の調査など
- 研究の種類
- 準実験・横断調査・レビュー
- 確かさ
- ★★★☆☆
スマホ禁止で成績が上がったイギリスの研究がある一方、スウェーデンでは効果なし。2025年の英国調査では、禁止校の生徒の心の健康も変わらなかった。
ひとことで言うと学校のスマホ禁止、効く場合もあるけど「万能薬」ではなさそう。
「授業中にスマホを触るな」。今、世界中で学校のスマホ制限が広がっています。ユネスコの2023年の報告書も、教室でのテクノロジーの使い方を見直すよう呼びかけ、大きな話題になりました。
では実際に、スマホを禁止すると成績や心の健康は良くなるのでしょうか。調べてみると、「効いた」研究と「効かなかった」研究がはっきり分かれていました。
01イギリス:禁止で成績アップ、特に苦手な生徒に
スマホに気を取られやすい生徒ほど、禁止の恩恵を受けたのかもしれません。この研究は、各国のスマホ規制の議論で何度も引用されてきました。
02スウェーデン:禁止しても変化なし
ところが、スウェーデンの中学校を調べたKesselさんらの2020年の研究では、スマホ禁止の導入と成績のあいだに、はっきりした関係は見られませんでした。
国が違えば、学校の文化も、禁止のルールの厳しさも、もともとのスマホの使われ方も違います。イギリスの結果が、どこでも同じように再現されるわけではなかったのです。

03心の健康は? 2025年の調査で「差なし」
最近の大きな話題は、10代のメンタルヘルスとの関係です。2025年、イギリスのバーミンガム大学などのGoodyearさんらは、イングランドの30の中学校(12〜15歳の約1,200人)で、スマホの娯楽利用を禁止している学校と、許可している学校を比べました(『The Lancet Regional Health – Europe』誌)。
結果、禁止校の生徒は、学校にいる時間のスマホやSNSの利用時間は短かったものの、平日全体や休日の利用時間、そして心の健康のスコアには、差が見られませんでした。研究チームは、今のような形の禁止ルールだけでは不十分で、もっと工夫が必要だと述べています。
なお同じ研究では、学校の方針とは別に、スマホやSNSの利用時間が長い生徒ほど、心の健康や睡眠、運動などの面で良くない結果と結びついていました。問題は「学校の中」より、放課後や夜の使い方にあるのかもしれません。
04研究をまとめると「効果は小さめ」
ドイツのBöttgerさんとZiererさんは2024年、スマホ禁止の研究を素早く集めて分析する「ラピッドレビュー」を行いました。対象になったのは5つの研究だけで、全体の効果は小さいながらもプラス。成績より、いじめなど人間関係の面での効果の方がはっきりしていました。
ただし、研究数がとても少ないことは、著者ら自身も認めています。
05まとめ
学校のスマホ禁止は、成績の低めの生徒にはプラスになった例がある一方、効果が見られない国や研究もあります。心の健康については、禁止だけでは変わらなかったという結果が出ました。
スマホを「学校から追い出す」だけでなく、1日全体の付き合い方をどうデザインするか。そこが本当の勝負どころなのかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPhone restrictions are spreading in schools around the world, but do they work?
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many schools around the world now ban smartphones. Does this help students? In Britain, one study found that test scores went up after schools banned phones. Students with lower grades were helped the most.
But in Sweden, a ban did not change grades. In 2025, a study in England compared about 1,200 students. Their mental health was the same at schools with and without bans. So a phone ban is not a magic answer.
74 words ・ CEFR A2
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今、世界中の多くの学校がスマートフォンを禁止しています。これは生徒の役に立つのでしょうか。イギリスのある研究では、学校がスマホを禁止した後、テストの点が上がりました。成績が低めの生徒が最も助けられました。
しかしスウェーデンでは、禁止しても成績は変わりませんでした。2025年には、イングランドの研究が約1,200人の生徒を比べました。禁止している学校としていない学校で、生徒の心の健康は同じでした。つまり、スマホ禁止は魔法の答えではないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第2文の問い(スマホ禁止は生徒の役に立つか)について、国ごとの研究を紹介しているので C。
Q2. In which country did a ban not change grades?
But in Sweden, a ban did not change grades. とあるので B。
Q3. In this passage, "ban" means ...
ban は「禁止する」。使うことを許さないという意味なので A。
Phone restrictions are spreading in schools around the world, but do they work? In 2016, two economists studied schools in four British cities that banned phones at different times. After the bans, national exam results improved by about 6 percent of a standard deviation. The biggest gains were among low-achieving students, while top students hardly changed.
However, a 2020 study in Sweden found no clear link between phone bans and grades. Then in 2025, researchers compared about 1,200 students aged 12 to 15 in 30 English secondary schools. Students at schools with bans used their phones less during school, but their total phone use and mental wellbeing were no different. The problem may be how phones are used after school and at night.
123 words ・ CEFR B1
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学校でのスマホ制限は世界中に広がっていますが、効果はあるのでしょうか。2016年、2人の経済学者が、異なる時期にスマホを禁止したイギリスの4都市の学校を調べました。禁止の後、全国試験の成績は標準偏差の約6%改善しました。最も大きく伸びたのは成績が低めの生徒で、成績上位の生徒はほとんど変わりませんでした。
しかし、2020年のスウェーデンの研究では、スマホ禁止と成績の間にはっきりした関係は見つかりませんでした。そして2025年、研究者たちはイングランドの30の中学校で12〜15歳の約1,200人の生徒を比べました。禁止校の生徒は学校にいる間のスマホ利用は少なかったものの、全体の利用時間や心の健康には違いがありませんでした。問題は、放課後や夜のスマホの使い方にあるのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
イギリスでは成績が上がったが、スウェーデンでは効果なし、心の健康も変わらず、と結果が分かれているので D。
Q2. Which students benefited most from the bans in the 2016 study?
The biggest gains were among low-achieving students とあるので C。
Q3. What does the last sentence suggest?
学校内の利用は減っても全体の利用や心の健康は変わらず、問題は放課後や夜の使い方かもしれない、という流れなので B。
In 2016, a study of schools in four British cities took advantage of a useful detail. The schools had banned mobile phones at different times, so researchers could compare results before and after each ban. Exam performance rose by around 6 percent of a standard deviation. Nearly all of the gain came from low-achieving students, and high achievers barely changed.
Since then, as worry about teenagers' screen time has grown, many countries have restricted phones in schools. The evidence has not kept pace. A Swedish study published in 2020 found no clear effect, which may reflect how strictly bans were enforced or differences between countries. A 2024 rapid review reported a small positive effect overall, mostly on social relationships such as bullying, but it drew on only five studies.
Mental health is the other big question. A 2025 study of about 1,200 pupils aged 12 to 15 in 30 English schools found that students at restrictive schools used phones and social media less during the school day but not overall, and mental wellbeing was no different. What did matter was time. Students who spent more hours on phones and social media had worse outcomes, whatever their school's policy.
198 words ・ CEFR B2
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2016年、イギリスの4都市の学校を対象にした研究は、ある好都合な事情を利用しました。学校ごとに携帯電話を禁止した時期が違っていたため、研究者はそれぞれの禁止の前後で結果を比べることができたのです。試験の成績は標準偏差の約6%上がりました。その伸びのほとんどは成績が低めの生徒によるもので、成績上位の生徒はほとんど変わりませんでした。
その後、10代のスクリーンタイムへの懸念が高まるにつれ、多くの国が学校でのスマホを制限してきました。しかし、証拠はそれに追いついていません。2020年に発表されたスウェーデンの研究でははっきりした効果が見つからず、これは禁止がどれだけ厳しく実施されたかや、国による違いを反映しているのかもしれません。2024年のラピッドレビューは、主にいじめなどの人間関係の面で、全体として小さなプラスの効果を報告しましたが、もとにしたのはわずか5つの研究でした。
もう1つの大きな問題は心の健康です。イングランドの30校で12〜15歳の生徒約1,200人を調べた2025年の研究では、制限している学校の生徒は、学校にいる間のスマホとSNSの利用が少なかったものの、全体の利用には差がなく、心の健康にも差はありませんでした。影響していたのは時間でした。スマホやSNSに長い時間を使う生徒ほど、学校の方針にかかわらず、良くない結果が見られたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
英国では成績が上がったが、スウェーデンでは効果がなく、心の健康にも差がなかった。さらに学校の方針にかかわらず利用時間の長さが結果と結びついていたと述べているので A。
Q2. What did the 2025 study find about restrictive schools?
used phones and social media less during the school day but not overall とあるので D。
Q3. Why should the 2024 rapid review be interpreted with caution?
but it drew on only five studies と、研究数の少なさという限界が述べられているので C。
重要単語
- banB2名詞・動詞禁止(する)The school introduced a phone ban last year.
ban A from doing「A が~するのを禁止する」。新聞見出しで prohibit の代わりによく使われる短い語。 - restrictB2動詞制限するMany schools restrict phone use during lessons.
名詞 restriction、形容詞 restrictive(制限的な)。restrict A to B「A を B に限定する」。 - wellbeingB2名詞心身の健康・幸福The policy did not change students' wellbeing.
well-being ともつづる。mental wellbeing「心の健康」は近年の長文で頻出。 - low-achievingC1形容詞成績が低めのLow-achieving students benefited the most.
achieve(達成する)から。反対は high-achieving。名詞形は low achiever / high achiever。 - distractionB2名詞気を散らすものPhones can be a big distraction in class.
動詞 distract A from B「A の注意を B からそらす」。 - policyB1名詞方針・規則We need better school phone policies.
school policy、government policy など組織の方針全般に使う。
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学校でスマホを禁止すると成績が上がる? イギリスの研究では特に成績が低めの生徒で効果が出た一方、スウェーデンでは変化なし。2025年の英国1,200人調査では、禁止校の生徒の心の健康も変わらなかったらしい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Beland & Murphy (2016) Ill Communication: Technology, distraction & student performance, Labour Economicsdoi.org
- Kessel, Hardardottir & Tyrefors (2020) The impact of banning mobile phones in Swedish secondary schools, Economics of Education Reviewdoi.org
- Goodyear et al. (2025) School phone policies and their association with mental wellbeing, phone use, and social media use (SMART Schools): a cross-sectional observational study, The Lancet Regional Health - Europedoi.org
- Böttger & Zierer (2024) To Ban or Not to Ban? A Rapid Review on the Impact of Smartphone Bans in Schools on Social Well-Being and Academic Performance, Education Sciencesdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










