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SNSを1週間やめたら、心のスコアが改善した。でも「やめれば幸せ」とは言い切れない理由

SNSを1週間やめたら、心のスコアが改善した。でも「やめれば幸せ」とは言い切れない理由

読む前に予想してみよう!

SNSを短期間やめると、誰でも必ず気分が良くなることが分かっている

研究カード(どんな研究?)
対象
イギリスの成人ほか
規模
154人(RCT)/約4,700〜5,500人(メタ分析)
研究の種類
ランダム化比較試験・メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

SNSを1週間やめたグループは、使い続けたグループよりウェルビーイングが上がり、不安や落ち込みが減った。ただし研究をまとめると効果は小さく、結果もばらつく。

ひとことで言うとSNSをお休みすると、気持ちが軽くなる人もいる。でも人それぞれ!

もくじ
  1. 154人を「やめる組」と「続ける組」に
  2. やめた組は「心のスコア」が改善
  3. でも「研究をまとめる」と話が変わる
  4. 「禁断症状」が出ることも
  5. 大事なのは「やめる」より「使い方」
  6. まとめ

朝起きてすぐSNS。電車の中でもSNS。寝る前もSNS。

「ちょっと見すぎかも……」と思ったことがある人は多いはず。では、思い切って1週間やめてみたら、どうなるのでしょう?

イギリスで、まさにそれを確かめた実験があります。結果は「やめると良いことがある」。でも、話はそこで終わりませんでした。

01154人を「やめる組」と「続ける組」に

ランダムに分けたことが、この研究の強みです。「もともと元気な人がSNSをやめた」という可能性を減らせるからです。

02やめた組は「心のスコア」が改善

1週間後、SNSをやめたグループは、続けたグループに比べて、

  • ウェルビーイング(心の健やかさ)が高く
  • うつ症状のスコアが低く
  • 不安のスコアも低かった

という結果になりました。

さらに分析すると、うつ症状の改善にはTwitter と TikTok の利用時間の減少が、不安の改善には TikTok の利用時間の減少が一部関わっていたと報告されています。

通知の来ない1週間。見える景色が少し変わるかもしれない
通知の来ない1週間。見える景色が少し変わるかもしれない

03でも「研究をまとめる」と話が変わる

ここからが、科学のおもしろいところです。

SNSをやめたり減らしたりする実験は、これまでにたくさん行われてきました。それらをまとめたメタ分析(多くの研究の結果を集めて全体の傾向を見る方法)を見ると、

  • 32本の論文(約5,500人)をまとめた2025年の分析(Burnell ら)では、SNS制限で心の健やかさが改善する効果はあるが、小さいとされた
  • 10の研究(約4,700人)をまとめた別の2025年の分析(Lemahieu ら)では、気分や生活満足度へのはっきりした効果は見られなかった

つまり、研究によって結果はバラバラ。「SNSをやめれば誰でも幸せになれる」とは言い切れないのです。

04「禁断症状」が出ることも

さらに、オーストリアの研究者による2018年の研究では、SNSを1週間やめた人たちに、

  • SNSを見たいという欲求(渇望)や退屈が増えた
  • 参加者の約6割が、期間中に少なくとも1回はSNSを使ってしまった

といった結果が報告されています。SNSは、私たちの生活や人間関係に深く組み込まれているのです。

05大事なのは「やめる」より「使い方」

研究者の間では、SNSの時間そのものより、

  • 他人と自分を比べて落ち込む使い方
  • 寝る前のダラダラ見で睡眠が削られる使い方

といった使い方の中身が大切ではないか、という指摘があります。

06まとめ

SNSを1週間やめると、心が軽くなる人がいるのは確か。でもその効果は人によって違い、研究全体で見ると小さい、またははっきりしないものです。

「やめるか、やめないか」の二択ではなく、自分にとって心地よい距離感を探してみること。それが、いちばん現実的なデジタルデトックスかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPeople often feel they spend too much time on social media. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

People often feel they spend too much time on social media. In 2022, Jeffrey Lambert and his team at the University of Bath tested what happens after a one-week break. They randomly divided 154 adults into two groups. One group stopped using Facebook, Instagram, Twitter and TikTok for a week, while the other continued as usual. After the week, the break group reported higher well-being and lower scores for depression and anxiety.

However, studies that combine many experiments show a more mixed picture. One analysis found only a small improvement, and another found no clear effect. Another study reported that people who quit felt cravings and boredom, and many used social media at least once during the break.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人はよく、SNSに時間を使いすぎていると感じます。2022年、バース大学のジェフリー・ランバートらのチームは、1週間休んだあとに何が起こるかを検証しました。彼らは154人の大人を無作為に2つのグループに分けました。一方のグループは1週間フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、ティックトックの利用をやめ、もう一方はいつもどおり使い続けました。1週間後、休んだグループの方がウェルビーイングが高く、うつと不安のスコアが低いと報告しました。

しかし、多くの実験をまとめた研究は、より複雑な姿を示しています。ある分析では小さな改善しか見られず、別の分析でははっきりした効果は見られませんでした。また別の研究では、やめた人たちが(SNSを見たいという)強い欲求や退屈を感じ、多くが休みの期間中に少なくとも1回はSNSを使ってしまったと報告されています。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the break group report after one week?

Q2. What did studies combining many experiments show?

Q3. What can we infer from the last sentence?

重要単語

  • abstinenceC1
    名詞断つこと、控えることA week of social media abstinence was tested. 動詞 abstain from ~「~を控える」。from を伴う語法が頻出。
  • anxietyB2
    名詞不安Anxiety scores fell slightly. 形容詞 anxious。be anxious about ~「~を心配する」と be anxious for/to ~「~を切望する」の違いに注意。
  • randomizedC1
    形容詞無作為化されたIt was a randomized controlled trial. randomized controlled trial(RCT)は「ランダム化比較試験」。最も信頼性の高い研究デザインの一つ。
  • cravingC1
    名詞強い欲求、渇望Some felt a craving to check their phones. 動詞 crave「切望する」。a craving for sweets「甘いものが無性に欲しいこと」。
  • moderateB2
    動詞・形容詞加減する/ほどほどのTry to moderate your screen time. 形容詞は /ˈmɑːdərət/、動詞は /ˈmɑːdəreɪt/。in moderation「ほどほどに」。
  • depressionB2
    名詞うつ(病)、落ち込みThe break group reported lower depression scores. 動詞 depress(落ち込ませる)。経済では「不況」の意味。the Great Depression「世界恐慌」。
  • self-reportC1
    名詞自己報告The study relied on self-reports. 本人の回答に頼る測定法。客観的測定に比べて思い込みの影響を受けやすい、という限界とセットで出る。

動画でもっと知る

イギリスの実験で、SNSを1週間やめた人は、使い続けた人より気分が上向き、不安や落ち込みのスコアも下がったらしい。ただ、多くの研究をまとめると効果は小さめ。禁断症状みたいなソワソワが出た研究も。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Lambert et al. (2022) Taking a one-week break from social media improves well-being, depression, and anxiety: A randomized controlled trial, Cyberpsychology, Behavior, and Social Networkingdoi.org
  2. Lemahieu et al. (2025) The effects of social media abstinence on affective well-being and life satisfaction: a systematic review and meta-analysis, Scientific Reportsdoi.org
  3. Burnell et al. (2025) The effects of social media restriction: Meta-analytic evidence from randomized controlled trials, SSM - Mental Healthdoi.org
  4. Stieger & Lewetz (2018) A week without using social media: Results from an ecological momentary intervention study using smartphones, Cyberpsychology, Behavior, and Social Networkingdoi.org