心理学ホント

スマホのネットを2週間止めたら、集中力が「10歳若返った」レベルで回復した

スマホのネットを2週間止めたら、集中力が「10歳若返った」レベルで回復した

読む前に予想してみよう!

スマホのネットを2週間止めると、集中力テストの成績が上がった

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカ・カナダのiPhoneユーザー(平均32歳)
規模
467人
研究の種類
ランダム化比較試験(待機リスト対照のクロスオーバー)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

北米の467人がスマホのネット(Wi-Fiも含む)を2週間ブロックする実験。集中力・メンタル・幸福感が改善し、91%が何かしら良くなった。

ひとことで言うとスマホの「ネット」だけ止めたら、心も集中力も元気になった!

もくじ
  1. 電話もメッセージもOK、ネットだけ禁止
  2. 集中力の改善は「加齢10年分」
  3. なぜ良くなったのか? 時間の使い方が変わった
  4. ただし「ちゃんと守れた人」は4人に1人
  5. まとめ

「スマホをやめたら集中できるのに」。そう思ったことがある人は多いはず。でも、本当にそうなのかをちゃんと実験で確かめた研究は、実はあまりありませんでした。

2025年、カナダとアメリカの研究チームがついにやりました。スマホを取り上げるのではなく、「モバイルインターネットだけ」を2週間止めるという絶妙な実験です。

結果は、思った以上にハッキリしていました。

01電話もメッセージもOK、ネットだけ禁止

ポイントは「スマホの何が悪いのか」を絞りこんだこと。電話とSMS(文字メッセージ)は使えるし、パソコンからのネットも自由。止めたのは、いつでもどこでもネットにつながる「スマホをスマートにしている機能」だけです。

参加者はランダムに「最初の2週間に止めるグループ」と「後半の2週間に止めるグループ」に分けられ、集中力テスト、メンタルの状態、幸福感が測られました。

02集中力の改善は「加齢10年分」

集中力は、次々に出てくる街と山の写真を見て、街のときだけボタンを押す、という地味だけど正直なテストで測られました。

結果、ネットを止めたグループは持続的な注意力が向上。論文によると、その改善幅は加齢による10年分の低下とほぼ同じ大きさでした。

さらに、

  • 抑うつ症状が軽くなり、その効果の大きさは抗うつ薬のメタ分析の平均を上回る程度
  • 生活の満足度などの幸福感もアップ
  • 91%の参加者が、集中力・メンタル・幸福感のどれか1つ以上で改善
ネットがない時間、人は「会う・動く・外に出る」に時間を使っていた
ネットがない時間、人は「会う・動く・外に出る」に時間を使っていた

03なぜ良くなったのか? 時間の使い方が変わった

研究チームが分析したところ、改善の一部は時間の使い方の変化で説明できました。

ネットを止めた人たちは、人と直接会う時間、運動する時間、自然の中で過ごす時間が増えていたのです。スマホそのものの「害」というより、スマホが奪っていた時間が戻ってきた、と考えるほうが自然かもしれません。

しかも、2週間後にネットを戻しても、メンタルや幸福感は実験前より高い状態を保っていたと報告されています。

04ただし「ちゃんと守れた人」は4人に1人

裏を返せば、「スマホのネットを丸ごと止めるのは、それだけ難しい」ということ。ネットのない生活はやっぱり不便なんです。

05まとめ

スマホを捨てる必要はありません。でも、「いつでもつながれる」状態を少しだけ手放すと、集中力も気分も戻ってくるかもしれない。

まずは週末の半日、ネットを切って外に出てみませんか? 戻ってきた時間で何をするかが、たぶんいちばん大事です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 2025, researchers in Canada and the United States asked 467 iPhone users to block mobile internet on… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 2025, researchers in Canada and the United States asked 467 iPhone users to block mobile internet on their phones for two weeks. Calls and text messages still worked, and the participants could still go online on a computer.

Smartphones are often said to make it hard to concentrate, but few experiments had tested this directly. The participants were put into two groups at random. One group blocked the internet during the first two weeks, and the other group did it later.

Blocking improved sustained attention by about as much as ten years of age-related decline. It also reduced symptoms of depression and raised people's sense of well-being. One reason was the way people used their free time. They spent more time meeting others, exercising, and being outdoors.

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

2025年、カナダとアメリカの研究者たちは、467人のiPhoneユーザーに、スマホのモバイルインターネットを2週間ブロックしてもらいました。電話と文字メッセージは使えましたし、パソコンでインターネットを使うこともできました。

スマホのせいで集中しにくくなるとよく言われますが、これを直接確かめた実験はほとんどありませんでした。参加者は無作為に2つのグループに分けられました。一方のグループは最初の2週間に、もう一方のグループは後でネットをブロックしました。

ブロックによって、持続的な注意力が、年齢による10年分の低下とほぼ同じくらい改善しました。また、うつの症状が軽くなり、幸福感が高まりました。その理由の一つは、空いた時間の使い方でした。人と会ったり、運動したり、外で過ごしたりする時間が増えたのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What exactly was blocked in the experiment?

Q2. How big was the improvement in sustained attention?

Q3. What does the passage suggest about why people improved?

重要単語

  • sustained attentionC1
    名詞(句)持続的注意(集中を保つ力)Sustained attention is needed for long exams. sustain は「持続させる」。sustainable(持続可能な)と同じ語。
  • well-beingB2
    名詞幸福感、心身の健康Spending time in nature boosts well-being. subjective well-being は「主観的幸福感」。happiness より学術的で幅広い語。
  • blockB1
    動詞遮断する、妨げるThe app blocks social media at night. SNSの「ブロック」も同じ語。名詞では「区画・かたまり」の意味も。
  • complyC1
    動詞(ルールに)従うOnly a quarter of the participants complied. comply with ~。名詞 compliance は研究では「(参加者の)遵守率」の意味でよく出る。
  • randomizedC1
    形容詞無作為に割り当てられたA randomized trial can show cause and effect. randomized controlled trial(RCT:ランダム化比較試験)は因果関係を調べる最も強い方法の一つ。
  • symptomB2
    名詞症状Exercise may reduce symptoms of depression. 発音は /ˈsɪmptəm/(p はほぼ聞こえない)。sign(兆候)との使い分けも医療系の長文で出る。

4コマでわかる

スマホのネットを2週間止めたら、集中力が「10歳若返った」レベルで回復したの4コマ漫画
スマホの電話とSMS(ショートメッセージ)はそのまま、ネットだけ2週間止める実験をしたら、集中力の改善が「加齢10年分」に相当したらしい。しかも参加者の91%が何かしら良くなった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Castelo et al. (2025) Blocking mobile internet on smartphones improves sustained attention, mental health, and subjective well-being, PNAS Nexusdoi.org
  2. Allcott et al. (2020) The Welfare Effects of Social Media, American Economic Reviewdoi.org
  3. Ward et al. (2017) Brain Drain: The Mere Presence of One's Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity, J. Assoc. Consumer Researchdoi.org