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ショート動画をよく見る人ほど集中力が低い? 9.8万人分のデータが示した「相関」の正体

ショート動画をよく見る人ほど集中力が低い? 9.8万人分のデータが示した「相関」の正体

読む前に予想してみよう!

ショート動画の利用が多い人ほど、体型への不満(ボディイメージの悪化)も強かった

研究カード(どんな研究?)
対象
若者〜大人(71研究)
規模
約9.8万人
研究の種類
系統的レビュー・メタ分析(主に横断研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

71研究・約9.8万人の分析で、ショート動画の利用が多い人ほど注意力や我慢する力が低い傾向。ただし因果関係はまだ不明。

ひとことで言うとショート動画を見すぎる人は、集中が苦手な傾向があるみたい。

もくじ
  1. 71本の研究、約9.8万人分をまとめて分析
  2. いちばん関連が強かったのは「ガマンする力」
  3. 意外! 体型の悩みとは関係なかった
  4. 「動画のせい」とはまだ言えない
  5. まとめ

指でスッとスワイプ、次の動画、また次の動画――。気づけば1時間、なんて経験ありませんか?

「ショート動画で頭がバカになる」という話はネットでよく見かけます。2025年、オーストラリアの研究チームが、これまでの研究を幅広く集めて本当のところを調べました。

結論は「関連はハッキリある。でも、話はそう単純じゃない」でした。

0171本の研究、約9.8万人分をまとめて分析

メタ分析は、バラバラの研究を合体させて「全体としてどうなのか」を見る方法。1本の研究より、偶然のブレに強いのが特徴です。

02いちばん関連が強かったのは「ガマンする力」

ショート動画の利用が多い人ほど、認知機能(頭の働き)が低い傾向がありました。関連の強さは「中くらい」。中でも目立ったのが次の2つです。

  • 注意力(ひとつのことに集中し続ける力)
  • 抑制コントロール(やりたい衝動をグッとこらえる力)

心の健康についても、利用が多いほどストレスや不安が強い傾向がありました(心の健康全体で見ると関連は弱め)。この傾向は、若者でも大人でも、どのアプリでも似たようなものでした。

「あと1本だけ」をこらえる力と、ショート動画の利用量には関連があった
「あと1本だけ」をこらえる力と、ショート動画の利用量には関連があった

03意外! 体型の悩みとは関係なかった

SNSといえば「キラキラした人を見て落ち込む」問題がよく言われます。ところがこの分析では、ボディイメージ(体型への満足度)や自己肯定感とは、はっきりした関連が見つかりませんでした。

研究チームは、ショート動画には多種多様なクリエイターや内容があるので、見る人によって受ける影響がバラバラなのかもしれない、と考えています。

04「動画のせい」とはまだ言えない

さらに、記憶や推理など、注意力以外の頭の働きを調べた研究はまだ少ないことも、著者たち自身が課題として挙げています。

2019年に発表されたインターネットと脳の関係についての総説でも、次々に届く情報やお知らせが、ひとつのことに集中し続ける力に影響する可能性が指摘されていました。ショート動画は、その「次々に」を極限まで突きつめた形とも言えます。

05まとめ

ショート動画が悪者、と決めつけるのはまだ早い。でも、「集中できない自分」とショート動画の多さがセットになりやすいのは、9.8万人分のデータが示した事実です。

あなたは、どちらが先だと思いますか? 1週間だけ減らして、自分で実験してみるのもアリかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerShort-form videos on TikTok, Instagram Reels, and YouTube Shorts are extremely popular, but some people… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Short-form videos on TikTok, Instagram Reels, and YouTube Shorts are extremely popular, but some people worry that they harm our ability to concentrate. In 2025, researchers at Griffith University in Australia combined the results of 71 studies involving about 98,000 people. They found that heavier use of short videos was linked to weaker attention and inhibitory control, which is the ability to resist impulses.

Heavy users also tended to report more stress and anxiety. Body image and self-esteem showed no clear link. However, most of the studies looked at people at only one point in time. So it is not clear whether the videos weaken attention or whether people with weak attention simply prefer short videos.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

TikTok、Instagramのリール、YouTubeショートのショート動画は非常に人気がありますが、集中する力を損なうのではないかと心配する人もいます。2025年、オーストラリアのグリフィス大学の研究者たちは、約9万8000人が参加した71の研究の結果を統合しました。その結果、ショート動画をよく使うことが、注意力や、衝動をこらえる力である「抑制コントロール」が弱いことと関連していました。

よく使う人はストレスや不安も多く報告する傾向がありました。体型のイメージや自己肯定感とは、はっきりした関連がありませんでした。しかし、研究の多くは、ある一時点だけで人々を調べたものでした。そのため、動画が注意力を弱めるのか、それとも注意力の弱い人がただショート動画を好むのかは、はっきりしていません。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the passage, what is inhibitory control?

Q2. Which of the following was NOT clearly linked to short video use?

Q3. Why is it unclear whether the videos cause weaker attention?

重要単語

  • short-form videoB1
    名詞(句)ショート動画Short-form videos are often less than a minute long. short-form(短い形式の)⇔ long-form。形容詞としてハイフンでつなぐ書き方に注目。
  • attention spanB2
    名詞(句)集中力の持続時間Some people worry about shrinking attention spans. span は「期間・幅」。have a short attention span「飽きっぽい」。
  • inhibitory controlC1
    名詞(句)抑制制御(衝動をこらえる力)Inhibitory control helps you resist temptation. inhibit(抑制する)の形容詞形。inhibit A from doing「A が~するのを妨げる」は prevent と同じ語法。
  • correlationC1
    名詞相関(関係があること)Correlation does not prove causation. co-(共に)+relation。「相関は因果を意味しない」は入試の科学系長文で最頻出の考え方。
  • causationC1
    名詞因果関係Experiments are needed to show causation. cause(原因)の名詞形。causal(因果の)とセットで。correlation との対比で覚える。
  • impulseB2
    名詞衝動She resisted the impulse to check her phone. on impulse「衝動的に」、impulsive(衝動的な)。impulse buying「衝動買い」。
TikTokやリール、ショートをよく見る人ほど、集中力や「ガマンする力」が低い傾向があったらしい。71本の研究・約9.8万人分をまとめた分析。ただし「動画のせい」とまではまだ言えない。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Nguyen et al. (2025) Feeds, feelings, and focus: A systematic review and meta-analysis examining the cognitive and mental health correlates of short-form video use, Psychological Bulletindoi.org
  2. Orben & Przybylski (2019) The association between adolescent well-being and digital technology use, Nature Human Behaviourdoi.org
  3. Firth et al. (2019) The "online brain": how the Internet may be changing our cognition, World Psychiatrydoi.org