部活をやると成績は下がる? 115研究のメタ分析で「週1〜2時間」がちょうどよかった

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スポーツの部活に入ると、成績は必ず下がる
メタ分析では、スポーツ参加は成績と小さなプラスの関係にあった。ただし時間が長すぎると効果は薄れる傾向。
- 対象
- 子ども・10代
- 規模
- 115研究(298の効果量)
- 研究の種類
- 系統的レビュー・メタ分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
スポーツへの参加は学力と小さなプラスの関係があり、特に週1〜2時間ほどの「ほどほど」が最も良かった。ただし質の高い研究は少なく、因果ははっきりしない。
ひとことで言うと部活やスポーツは勉強の敵じゃない。でも「やりすぎ」には注意!
「部活ばかりやってないで、勉強しなさい!」。部活に打ち込む中高生なら、一度は言われたことがあるかもしれません。
では、部活やスポーツは本当に成績の足を引っぱるのでしょうか。100本以上の研究をまとめると、意外な「ちょうどいい量」が見えてきました。
01115の研究をまとめたら「小さなプラス」
「スポーツをすると成績が下がる」どころか、少なくともほどほどなら、むしろプラスという結果です。
02でも、日本の部活とは「量」がちがう
ここで注意したいのは、メタ分析の「週1〜2時間」という数字です。日本の部活は、平日毎日+土日もという学校も少なくありません。研究で最も良い結果だった「週1〜2時間」を、大きく上回っていることも多いのです。
スポーツ庁は2018年に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を出し(2022年末に、地域クラブ活動も含む新しいガイドラインへ引き継がれました)、週2日以上の休養日を設けること、活動時間は平日2時間程度、休日3時間程度までを目安とすることなどを示しています。

03「部活のやりすぎ」は本当に問題?
アメリカでは、子どもを習い事や課外活動で忙しくさせすぎる「オーバースケジューリング」が心配されてきました。
アメリカのFredricksさんは2012年、この仮説を検証しました。高校生の課外活動の時間と成績の関係を調べたところ、ある程度までは活動時間が長いほど成績も良いものの、ある量を超えるとそのプラスは頭打ちになり、やや下がる傾向が見られました。ただし、「多すぎて害になる」と言えるほどの生徒はそれほど多くありませんでした。
さらに2006年のFredricksさんとEcclesさんの研究では、学校のクラブやスポーツに参加していた高校2年生は、成績や心の健康の面でも良い傾向がありました。複数の種類の活動に参加している生徒ほど良い傾向も見られました(ただし活動の種類によっては、飲酒などとの関係も見られたという、ちょっと複雑な結果も)。
04どんでん返し:「部活をやる子」はもともと違う?
ここで一番大事な注意点です。Owenさんらのメタ分析でも、多くの研究はバイアスのリスクが高いと評価されていました。
部活やスポーツを続けられる生徒は、もともと時間管理が上手、家庭のサポートがある、健康で元気など、成績が良くなりやすい特徴を持っているかもしれません。これを「自己選択」と言います。こうした違いがある以上、「部活が成績を上げる」と言い切ることはできません。
05まとめ
部活やスポーツは、成績の敵ではなさそうです。メタ分析では、ほどほどの量がいちばん学力とのプラスの関係が強いという結果でした。
ただし、日本の部活の量は研究の想定を超えていることもあります。休む日を守り、睡眠を削らない。それが、部活も勉強も楽しむためのいちばんの近道です。
この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Stop spending all your time on club activities and start studying!" Many students have heard this.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some people say that sports clubs are bad for your grades. Is this true? Researchers in Australia looked at 115 studies about children and teenagers. They found that playing sports was linked to slightly better grades. One to two hours a week seemed best.
But many Japanese students practice much longer than this. Also, students who join clubs may already be good at planning their time. So we cannot say clubs cause better grades.
74 words ・ CEFR A2
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スポーツの部活は成績に悪いと言う人もいます。これは本当でしょうか。オーストラリアの研究者たちは、子どもと10代についての115の研究を調べました。その結果、スポーツをすることはわずかに良い成績と結びついていることがわかりました。週に1〜2時間がいちばん良いようでした。
しかし、多くの日本の生徒はこれよりずっと長く練習しています。また、部活に入る生徒は、もともと時間の使い方を計画するのが上手なのかもしれません。だから、部活が成績を良くするとは言えないのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
部活・スポーツと成績の関係を115の研究で調べた話なので B。
Q2. How much sport a week seemed best?
One to two hours a week seemed best. とあるので C。
Q3. In this passage, "slightly" means ...
slightly は「わずかに・少しだけ」なので A。
"Stop spending all your time on club activities and start studying!" Many students have heard this. But do sports really hurt grades? In 2022, Owen and colleagues analyzed 115 studies on children and teenagers. Taking part in sports had a small positive link with academic performance.
A moderate amount, about one to two hours a week, was linked to the best results, better than doing no sport or three hours or more a week. Sports during school hours showed a clearer positive link than sports outside school.
However, many Japanese clubs practice almost every day, far more than in most studies. In 2018, the Japan Sports Agency recommended at least two rest days a week.
115 words ・ CEFR B1
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「部活ばかりしていないで勉強しなさい!」。多くの生徒がこれを言われたことがあるでしょう。でも、スポーツは本当に成績を下げるのでしょうか。2022年、Owenさんらは子どもと10代についての115の研究を分析しました。
スポーツへの参加は、学業成績と小さなプラスの関係がありました。週に1〜2時間ほどの適度な量が最も良い結果と結びついており、スポーツをまったくしない場合や週3時間以上の場合よりも良好でした。学校の時間内のスポーツは、学校外のスポーツよりもはっきりしたプラスの関係を示しました。
しかし、日本の多くの部活はほぼ毎日練習しており、週1〜2時間よりはるかに多い量です。2018年、スポーツ庁は週に少なくとも2日の休養日を設けるよう勧めました。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2022 analysis find?
Taking part in sports had a small positive link with academic performance. とあるので D。
Q2. Which amount of sport was linked to the best results?
about one to two hours a week, was linked to the best results とあるので A。
Q3. Why does the passage mention Japanese clubs?
日本の部活はほぼ毎日で far more than one to two hours a week とあり、研究で最も良かった「適度な量」とは条件が違うことを指摘しているので C。
Parents and teachers often worry that school sports eat into study time. A 2022 meta-analysis by Owen and colleagues, which pooled 115 studies and 298 effect sizes, points the other way. Students who played sport had slightly better academic results on average. The link was not a straight line.
About one to two hours a week went with better outcomes than either no sport at all or three hours or more, and sport during school time showed a clearer benefit than sport outside it. American research on the "over-scheduling" hypothesis found a similar shape. Up to a point, more time in activities came with better grades, and after that the gain leveled off and dipped slightly, though few students ever got that far.
The biggest problem with this evidence is self-selection. Students who stick with sport may already be good at managing time, have family support or enjoy good health. Most of the studies in the review carried a high risk of bias, so cause and effect cannot be confirmed. Applying this to Japan needs care, because many Japanese clubs practice on weekdays and weekends alike, far beyond the one to two hours linked to the best results.
198 words ・ CEFR B2
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親や先生は、学校のスポーツが勉強時間を削ってしまうのではないかとよく心配します。Owenさんらによる2022年のメタ分析は、115の研究と298の効果量をまとめたもので、その逆の方向を示しています。スポーツをする生徒は、平均すると学業成績がわずかに良かったのです。この関係は一直線ではありませんでした。
週におよそ1〜2時間は、まったくしない場合や3時間以上の場合よりも良い結果と結びついており、学校の時間内のスポーツは学校外のスポーツよりもはっきりした効果を示しました。アメリカでの「オーバースケジューリング」仮説の研究でも、似た形が見られました。ある程度までは活動時間が長いほど成績が良く、その後は伸びが頭打ちになってわずかに下がりましたが、そこまで達する生徒はほとんどいませんでした。
この証拠の最大の問題は自己選択です。スポーツを続ける生徒は、もともと時間管理が上手だったり、家族の支えがあったり、健康だったりするのかもしれません。レビューに含まれた研究の多くはバイアスのリスクが高く、そのため因果関係は確認できません。日本の多くの部活は平日も週末も練習しており、最も良い結果と結びついていた1〜2時間をはるかに超えているため、これを日本に当てはめるには注意が必要です。
4択リーディングクイズ
Q1. What does the passage say about the amount of sport and academic results?
The link was not a straight line. の後で、週1〜2時間が「まったくしない」「3時間以上」より良い結果と結びついていたと説明している。ほどほどが最良という山なりの関係なので B。
Q2. What did research on the over-scheduling hypothesis find?
the gain leveled off and dipped slightly, though few students ever got that far とあるので D。
Q3. According to the author, what is the biggest problem with the evidence?
The biggest problem with this evidence is self-selection とあり、スポーツを続ける生徒はもともと成績に有利な特徴を持つかもしれないと述べているので C。
重要単語
- extracurricularC1形容詞課外のExtracurricular activities include clubs and sports.
extra-(外の)+curriculum(教育課程)。extracurricular activities で「課外活動・部活動」。 - participationB2名詞参加Participation in sports was linked to better grades.
participate in ~「~に参加する」の名詞形。take part in とほぼ同じ意味。 - moderateB2形容詞ほどほどの・適度なA moderate amount of sport seemed best.
moderate exercise「適度な運動」。名詞 moderation は in moderation「ほどほどに」で使う。 - over-schedulingC1名詞予定の詰め込みすぎSome worry about over-scheduling teenagers.
over-(過度に)+schedule。overwork、overeat などと同じ作り。 - self-selectionC1名詞自己選択(もともとの違いによる偏り)Self-selection makes it hard to find causes.
参加者が自分で条件を選ぶため、比べる集団にもともと差が生じること。観察研究の限界の定番。 - meta-analysisC1名詞メタ分析The meta-analysis combined 115 studies.
多くの研究結果を統計的に統合する手法。effect size(効果量)とセットで出てくる。
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- 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(スポーツ庁)mext.go.jp
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「部活ばっかりやってると勉強がおろそかになる」は本当? 115の研究をまとめたメタ分析では、スポーツ参加は成績と小さなプラスの関係。しかも週1〜2時間の「ほどほど」が一番良く、3時間以上では差が縮んでいたらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Owen et al. (2022) Sport Participation and Academic Performance in Children and Adolescents: A Systematic Review and Meta-analysis, Medicine & Science in Sports & Exercisedoi.org
- Fredricks & Eccles (2006) Is extracurricular participation associated with beneficial outcomes? Concurrent and longitudinal relations, Developmental Psychologydoi.org
- Fredricks (2012) Extracurricular Participation and Academic Outcomes: Testing the Over-Scheduling Hypothesis, Journal of Youth and Adolescencedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









