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やる気に頼らない勉強術。「もし〜したら…する」と1行決めるだけで実行率が上がる理由

やる気に頼らない勉強術。「もし〜したら…する」と1行決めるだけで実行率が上がる理由

読む前に予想してみよう!

「もし〜したら…する」と具体的に決めておくと、目標を実行しやすくなる

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・高校生・成人
規模
94研究のメタ分析(2024年に642研究の続編)
研究の種類
メタ分析+実験研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

「いつ・どこで・何をするか」を「もし〜なら…する」の形で決めておくと、目標を実行しやすくなる。90以上の研究をまとめた分析でも効果が確認された。

ひとことで言うと「〇〇したら、すぐ△△する」と決めておくと、勉強を始めやすい!

もくじ
  1. 「がんばる」と「夕飯後に10分」の違い
  2. 脳の中に「自動スイッチ」を作る
  3. ジャマ者対策にも使える
  4. 願いと障害を先に考える「WOOP」と組み合わせる
  5. まとめ

「今日こそ勉強するぞ」と思ったのに、気づけば夜11時。やる気はあったのに、なぜか始められない…。

その原因は、やる気の量ではなく計画の形にあるかもしれません。

心理学には、目標を「もし〜したら、…する」という形で決めておくと、実行しやすくなるというテクニックがあります。名前は実行意図(じっこういと)、英語では if-then プランニングとも呼ばれます。

01「がんばる」と「夕飯後に10分」の違い

「英語をがんばる」という目標は、何を・いつ・どこでが決まっていません。だから毎日「今やる? あとでやる?」と迷い、そのたびにやる気を消費してしまいます。

一方、「もし夕飯を食べ終わったら、すぐに英単語を10分やる」と決めておくとどうなるか。夕飯を食べ終わった瞬間が合図になって、考えるより先に体が動きやすくなるんです。

心理学の介入としてはかなりしっかりした数字です。2024年には同じ研究者たちが、642の研究でまとめ直したメタ分析も発表しました。考え方・気持ち・行動のどれにも効果があり(d=0.27〜0.66)、「もし〜なら」の形にしたとき、目標へのやる気が高いとき、計画を何度か頭の中でくり返したときに効果が大きくなっていました。

もちろん現実の生活では効果がもっと小さくなることも多いのですが、たった1行の計画を立てるだけでこの差が出るなら、コスパは抜群です。

02脳の中に「自動スイッチ」を作る

実行意図が効く理由は、状況と行動をあらかじめ結びつけておくことにあります。

駅の改札を通るとき、いちいち「カードを出そうかな」と考えませんよね。改札という状況が、自動的に「カードを出す」行動を引き出します。実行意図は、勉強でもこの自動スイッチを作るテクニックです。

「帰ったら、すぐ机へ」。状況と行動を結びつけておく
「帰ったら、すぐ机へ」。状況と行動を結びつけておく

03ジャマ者対策にも使える

実行意図は、「始める」ときだけでなく、誘惑への対策にも使えます。

「もしスマホを見たくなったら、まず問題を1問解いてからにする」「もし眠くなったら、立って音読する」。あらかじめジャマ者が来たときの行動を決めておくと、流されにくくなります。

04願いと障害を先に考える「WOOP」と組み合わせる

実行意図は、ニューヨーク大学の心理学者ガブリエル・エッティンゲンが研究してきたメンタル・コントラストという方法と組み合わせると、さらに使いやすくなります。メンタル・コントラストは、願いがかなった姿と、それをジャマする障害をセットで思い浮かべる方法です。この組み合わせは、4つのステップの頭文字をとってWOOP(ウープ)とも呼ばれます。

  • Wish(願い):たとえば「次の英語のテストで80点」
  • Outcome(結果):達成したら、どんないいことがあるかを思い浮かべる
  • Obstacle(障害):自分の中にある一番のジャマ者は?(例:帰宅後についスマホ)
  • Plan(計画):「もしスマホを触りたくなったら、先に単語を10個やる」

願いだけを思い描くのではなく、障害まで具体的に考えてから if-then を作るのがポイントです。この組み合わせについても、学生の勉強や健康行動などで効果が報告されています。たとえば2011年、ペンシルベニア大学のダックワースらは、米国の高校2年生66人で実験しました。秋に受ける全国共通テスト(PSAT)に向けて、メンタル・コントラストと if-then 計画を組み合わせた作文(WOOP のもとになった方法)を30分書いてもらったのです。すると夏休みの間に解いた練習問題が、別の作文を書いたグループより6割ほど多くなりました(平均140問 対 約84問)。ただし調べたのは練習量で、テストの点数ではありません。

05まとめ

勉強を続けられる人は、やる気が強い人ではなく、迷わない仕組みを持っている人なのかもしれません。

今夜、寝る前に「もし〜したら、…する」を1行だけ書いてみてください。明日のあなたは、その1行に背中を押されるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people fail to act on their goals not so much because they lack motivation as because their plans are… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people fail to act on their goals not so much because they lack motivation as because their plans are too vague. A goal like "I will work hard at English" does not say when, where or what to do. Psychologists recommend implementation intentions, which are plans in the form "If situation X happens, then I will do Y."

In 2006, Gollwitzer and Sheeran combined the results of 94 separate studies. They found that people who made if-then plans were more likely to reach their goals, with a medium-to-large effect. The plan works by linking a situation to an action, so the action starts almost automatically. However, effects in real life are often smaller than in experiments.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人が目標を実行できないのは、やる気が足りないからというより、計画があいまいすぎるからです。「英語をがんばる」のような目標は、いつ・どこで・何をするかを示していません。心理学者たちは実行意図を勧めています。

それは「もし状況Xが起きたら、Yをする」という形の計画です。2006年、ゴルヴィツァーとシーランは、94の別々の研究の結果をまとめました。その結果、「もし~なら…する」計画を立てた人は目標を達成しやすく、その効果は中〜大でした。この計画は状況と行動を結びつけることで働くので、行動がほぼ自動的に始まります。ただし、現実の生活での効果は実験よりも小さいことがよくあります。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the passage, why do many people fail to act on their goals?

Q2. How many studies did Gollwitzer and Sheeran analyze?

Q3. What does the last sentence warn readers about?

重要単語

  • implementation intentionC1
    名詞(句)実行意図(if-then計画)An implementation intention links a situation to an action. implement(実行する)の名詞 implementation + intention(意図)。implement a policy「政策を実施する」も頻出。
  • goalA2
    名詞目標Setting a goal is only the first step. set a goal(目標を立てる)、achieve / reach a goal(目標を達成する)の動詞とセットで覚える。
  • obstacleB2
    名詞障害、ジャマ者My biggest obstacle is my phone. ob-(向かって)+stacle(立つ)=前に立ちはだかるもの。an obstacle to ~「~への障害」と to を使う。
  • temptationB2
    名詞誘惑Plan ahead for temptation. 動詞 tempt(誘惑する)。resist the temptation to do「~したい誘惑に抵抗する」は頻出コロケーション。
  • procrastinateC1
    動詞先延ばしにするI tend to procrastinate when a task feels big. pro-(前へ)+crastinus(明日の)=「明日へ回す」。名詞 procrastination も入試長文で人気。
  • vagueB2
    形容詞あいまいな"Study hard" is too vague to be a plan. 発音は /veɪɡ/(ヴェイグ)。反対語は specific / concrete(具体的な)。
  • attainmentC1
    名詞達成If-then plans improve goal attainment. attain(達成する)の名詞形。attain は achieve より硬い語で、論文に多い。educational attainment は「学歴」。

動画でもっと知る

「勉強がんばる」じゃなくて「夕飯を食べ終わったら、すぐ英単語を10分やる」と決めるだけで、実行率が上がるらしい。「実行意図」と呼ばれ、90以上の研究をまとめた分析でも効果ありだった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Gollwitzer (1999) Implementation intentions: Strong effects of simple plans, American Psychologistdoi.org
  2. Gollwitzer & Sheeran (2006) Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes, Advances in Experimental Social Psychologydoi.org
  3. Sheeran, Listrom & Gollwitzer (2024) The when and how of planning: Meta-analysis of the scope and components of implementation intentions in 642 tests, European Review of Social Psychologydoi.org
  4. Oettingen (2012) Future thought and behaviour change, European Review of Social Psychologydoi.org
  5. Duckworth, Grant, Loew, Oettingen & Gollwitzer (2011) Self-regulation strategies improve self-discipline in adolescents: Benefits of mental contrasting and implementation intentions, Educational Psychologydoi.org