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勉強中のBGM、歌詞ありはNG? 好きな曲でも読解の成績が下がった実験

勉強中のBGM、歌詞ありはNG? 好きな曲でも読解の成績が下がった実験

読む前に予想してみよう!

好きな曲なら、歌詞があっても読解の成績は下がらない

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
数十人規模の実験+BGM研究のメタ分析
研究の種類
実験室実験+メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

歌詞のある音楽は、読解や暗記のように「言葉を使う勉強」のジャマになりやすい。好きな曲でも同じ。単純作業ならBGMもアリ。

ひとことで言うと言葉を覚える勉強のときは、歌詞のない音か静かな場所で!

もくじ
  1. 好きな曲でも、嫌いな曲でも下がった
  2. 耳に入る言葉は、勝手に処理される
  3. 音楽を味方にする使い分け
  4. 好きな曲は「勉強の前」に聞くのが正解かも
  5. まとめ

イヤホンから好きなアーティストの曲。テンションも上がって、勉強がはかどる…気がしますよね。

ところが心理学の実験では、歌詞のある音楽を流しながら文章を読むと、理解の成績が下がることが報告されています。しかも「好きな曲なら大丈夫」というわけでもありませんでした。

かといって、音楽が全部ダメなわけでもありません。カギは「どんな勉強をしているか」です。

01好きな曲でも、嫌いな曲でも下がった

「好きな曲だと気分が上がるから大丈夫」と思いがちですが、脳にとっては関係なかったわけです。

02耳に入る言葉は、勝手に処理される

なぜ歌詞がジャマになるのか。カギは無関連音効果と呼ばれる現象です。

人間の脳は、耳から入ってきた言葉を、聞くつもりがなくても自動的に処理してしまうクセがあります。1982年にイギリスのサラメとバデリーが発表した実験では、意味のない音の並びを読み上げる声でさえ、数字の並びを順番どおりに覚える作業をジャマしました。

読解や暗記は、頭の中で言葉をこね回す作業。そこに歌詞という「別の言葉」が流れ込むと、脳の作業スペースで言葉どうしの渋滞が起きるんです。

頭の作業スペースで、言葉どうしが渋滞する
頭の作業スペースで、言葉どうしが渋滞する

03音楽を味方にする使い分け

ただし、すべての勉強で音楽がダメなわけではありません。BGMの研究をまとめた2011年のメタ分析では、BGMの影響は全体としてはほぼゼロで、特に悪影響が出やすかったのが読解と記憶でした。逆に、気分やスポーツの成績へのプラスの影響が見られる場面もありました。計算練習やノートの清書のように、言葉をあまり使わない作業なら、気分を上げるBGMが役に立つこともあります。

04好きな曲は「勉強の前」に聞くのが正解かも

じゃあ、好きな音楽はまったく役に立たないのか。そうでもありません。

先ほどの「モーツァルト効果」を検証した研究では、音楽を聞いた後に課題の成績が良くなったのは、音楽で気分が上がり、シャキッとしたからだと考えられています。明るくテンポのいい曲で効果が見られ、ゆっくりした暗い曲では見られなかったのです。

つまり、好きな曲は「勉強しながら」ではなく、勉強を始める前に聞くのがおすすめ。テンションを上げてから、静かな環境で一気に取りかかる。音楽を「スタートの合図」として使うわけです。

また、音楽の好みや慣れによって、影響の受けやすさには個人差があると考えられています。「音楽があった方が集中できる」と感じる人は、一度、同じ量の問題を無音と音楽ありで解いて、かかった時間と正答率を比べてみてください。自分に合ったやり方が、データで見えてきます。

05まとめ

BGMの良し悪しは「好きかどうか」ではなく、「勉強の中身と言葉がぶつかるかどうか」で決まります。

言葉を覚えるときは静かに、手を動かすときは音楽と一緒に。今日の勉強メニューに合わせて、イヤホンを付け外ししてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany students study with their favorite songs playing, but research suggests this can be a mistake for some… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many students study with their favorite songs playing, but research suggests this can be a mistake for some tasks. In 2014, Perham and Currie asked university students to read passages and answer questions in four conditions: silence, music without lyrics, music with lyrics that they liked, and music with lyrics that they disliked. Students performed better in silence or with instrumental music.

Songs with lyrics lowered scores whether the students liked them or not. This is linked to the irrelevant sound effect: our brains automatically process speech we hear, so the words compete with the words we are reading. A review in 2011 found that music had little overall effect but tended to harm reading and memory tasks.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの学生は好きな歌を流しながら勉強しますが、研究によると、課題によってはそれが間違いかもしれません。2014年、パーハムとカリーは大学生に、無音、歌詞のない音楽、本人が好きな歌詞のある音楽、本人が好きではない歌詞のある音楽という4つの条件で、文章を読んで問題に答えてもらいました。学生たちは無音か器楽曲のときに良い成績をとりました。歌詞のある歌は、学生が好きかどうかに関係なく点数を下げました。

これは無関連音効果と関係しています。私たちの脳は聞こえた言葉を自動的に処理するため、その言葉が読んでいる言葉と競合してしまうのです。2011年のレビューでは、音楽は全体としてはほとんど影響がないものの、読解や記憶の課題には悪影響を与える傾向があることが分かりました。

4択リーディングクイズ

Q1. How many conditions were used in the 2014 study?

Q2. According to the passage, why do lyrics interfere with reading?

Q3. Which activity would probably be affected least by music?

重要単語

  • lyricsB1
    名詞歌詞Songs with lyrics can disturb your reading. 歌詞の意味では通常複数形 lyrics。形容詞 lyrical(叙情的な)、lyric poem(叙情詩)。
  • background musicB1
    名詞(句)BGM、背景音楽Some people study with background music. BGM は和製略語に近く、英語では background music とフルで言うのが普通。
  • irrelevantB2
    形容詞無関係なIrrelevant speech still enters your working memory. irrelevant sound effect(無関連音効果)は心理学用語。反対語 relevant(関係のある)。
  • arousalC1
    名詞覚醒(シャキッと度)Upbeat music can raise your arousal level. arouse(呼び起こす)の名詞形。arouse interest / curiosity「興味・好奇心をかき立てる」も頻出。
  • comprehensionB2
    名詞理解Reading comprehension dropped in the lyrics condition. comprehend(理解する)の名詞形。beyond comprehension「理解を超えた」。
  • instrumentalB2
    形容詞器楽の・歌のない/役に立つInstrumental music did not lower scores. instrument(楽器・道具)の形容詞。be instrumental in doing「~するのに役立つ」の意味も入試で問われる。
  • undermineC1
    動詞(徐々に)損なう・弱めるLyrics can undermine your concentration. under(下を)+mine(掘る)=土台を掘り崩す。undermine confidence(自信をむしばむ)。
勉強中に好きな曲を流すと集中できる…と思いきや、歌詞のある音楽を聞きながらだと、好きな曲でも嫌いな曲でも読解の成績が下がったという実験がある。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Perham & Currie (2014) Does listening to preferred music improve reading comprehension performance?, Applied Cognitive Psychologydoi.org
  2. Salamé & Baddeley (1982) Disruption of short-term memory by unattended speech: Implications for the structure of working memory, Journal of Verbal Learning and Verbal Behaviordoi.org
  3. Perham & Vizard (2011) Can preference for background music mediate the irrelevant sound effect?, Applied Cognitive Psychologydoi.org
  4. Thompson, Schellenberg & Husain (2001) Arousal, mood, and the Mozart effect, Psychological Sciencedoi.org
  5. Kämpfe, Sedlmeier & Renkewitz (2011) The impact of background music on adult listeners: A meta-analysis, Psychology of Musicdoi.org