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集中が切れたら「40秒だけ緑を見る」? 研究でわかった集中リセット術と、その限界

集中が切れたら「40秒だけ緑を見る」? 研究でわかった集中リセット術と、その限界

読む前に予想してみよう!

勉強の休憩中にスマホでSNSを見るのは、頭を休める一番いい方法だ

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
150人(元の実験)+追試2実験で計254人
研究の種類
ランダム化実験+系統的レビュー・メタ分析
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

40秒の緑の景色で注意力が回復したという実験がある一方、再現しなかった研究も。短い休憩や自然の中の散歩は疲れを和らげる方向の証拠が多い。

ひとことで言うと集中が切れたら、スマホより窓の外の緑や散歩でひと休み!

もくじ
  1. 40秒の「緑の屋上」でミスが減った
  2. ただし、再現しなかった研究も
  3. 休憩中のスマホは、あまり休憩にならない?
  4. ほんの短い「目先を変える」だけでも
  5. まとめ

問題集を開いて1時間。気づけば同じ行を3回読んでいる…。集中力が切れたサインです。

そんなとき、ついスマホに手が伸びがち。でも研究を見ると、集中を取り戻すには、もっといい休み方がありそうです。

中でも話題になったのが「40秒だけ緑を見る」という実験。ただし、この話には続きがあります。

0140秒の「緑の屋上」でミスが減った

背景にあるのが注意回復理論です。勉強のように「がんばって注意を向ける」作業を続けると、注意力はだんだんすり減っていく。でも自然の景色は、がんばらなくても自然に目が向くので、すり減った注意力を休ませてくれる、という考え方です。

02ただし、再現しなかった研究も

ところが2022年、元の研究者たちも加わったジョンソンらのチームが、草原・海・都市の画像を40秒見せる実験を2回(計254人)行ったところ、課題の成績には差が出ませんでした。参加者は自然の画像の方を「回復した気がする」と感じていたのに、です。ほかにも、自然の画像で注意が回復しなかったという追試がいくつか報告されています。

また、自然と注意力の研究をまとめたレビューでは、自然に触れるとワーキングメモリ(頭の中の作業スペース)などが良くなる傾向はあるものの、効果は小さめから中くらいで、研究によってばらつきがあるとされています。写真を見るより、実際に外へ出る方が効果が大きい可能性も指摘されています。

写真を見るより、本物の緑の中を少し歩く方が効くかもしれない
写真を見るより、本物の緑の中を少し歩く方が効くかもしれない

03休憩中のスマホは、あまり休憩にならない?

もう一つ気をつけたいのが、休憩の中身です。

2023年にフランスの研究チーム(ジャケらが Scientific Reports 誌で報告)が行った実験では、45分間スマホを使った人は、同じ時間ドキュメンタリーを見た人と比べて、その後の注意力のテストで反応が遅くなりました。別の参加者で行った実験では、押してはいけない合図でボタンを押してしまうミスも増えました。

短い休憩そのものについては、10分以内の「マイクロブレイク」の研究をまとめた2022年のメタ分析で、元気を回復させ、疲れを減らす効果が報告されています。ただし、課題の成績そのものが上がるかどうかは、全体としてははっきりしませんでした。休むこと自体は大事。ただ、休み方しだいで回復の度合いが変わりそうです。

04ほんの短い「目先を変える」だけでも

2011年、米イリノイ大学のアリガとリェラスは、単調な課題を長く続けると成績がだんだん落ちていく現象(集中の低下)について調べました。すると、課題の途中でごく短く、まれに別のことへ注意を向けるだけで、成績の落ち込みが防げたと報告しています。

ずっと同じ対象に注意を向け続けると、脳はその対象に「慣れて」しまい、注意が薄れていく。ほんの一瞬でも目先を変えると、注意がリセットされる、という考え方です。

勉強なら、30分ほど同じ問題集に向かったら、一度顔を上げて窓の外を見る、立ち上がる、別の科目の問題を1問解くなど、小さな切り替えを入れてみてください。

05まとめ

「40秒の緑で集中力回復」は、まだビミョーな段階。でも、短い休憩をとること、自然の中を少し歩くことには、疲れを和らげたり、頭の働きを少し助けたりする方向の証拠があります。

次に集中が切れたら、スマホではなく窓の外へ。数十秒でも、目と頭を「がんばらなくていい景色」に預けてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerHave you ever read the same line three times because you could not concentrate? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Have you ever read the same line three times because you could not concentrate? In 2015, researchers at the University of Melbourne gave 150 students a boring task that needed steady attention. In the middle, the students looked at a photo of either a green roof with flowers or a concrete roof for 40 seconds. Those who saw the green roof made fewer mistakes afterward.

However, in 2022, a team that included the original researchers repeated the idea with 254 people and found no difference in performance, although people felt more refreshed by nature images. Other research suggests that short breaks reduce tiredness, and that using a smartphone for 45 minutes can make attention worse. A walk outside seems to be a safer choice.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

集中できずに同じ行を3回読んだことはありませんか。2015年、メルボルン大学の研究者たちは、150人の学生に、安定した注意力を必要とする退屈な課題をさせました。途中で、学生たちは花の咲く緑の屋上か、コンクリートの屋上のどちらかの写真を40秒間見ました。緑の屋上を見た人は、その後のミスが少なくなりました。しかし2022年、元の研究者たちを含むチームが254人を対象にこの考えを試し直したところ、成績には差が見られませんでした。

ただし、人々は自然の画像の方がすっきりしたと感じていました。ほかの研究では、短い休憩は疲れを減らすこと、そして45分間スマホを使うと注意力が悪くなりうることが示されています。外を散歩する方が安全な選択のようです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the students in the 2015 study do during the task?

Q2. What did the 2022 study find?

Q3. What can we infer about the "40-second green view" idea?

重要単語

  • attention restorationC1
    名詞(句)注意の回復Attention restoration theory says nature helps tired minds. restore(元に戻す)の名詞形 restoration。restore order(秩序を回復する)、restore a building(建物を修復する)も覚えよう。
  • micro-breakC1
    名詞ごく短い休憩A micro-break of a few minutes can reduce fatigue. micro-(小さい)+break。take a break「休憩をとる」が基本のコロケーション。
  • sustained attentionC1
    名詞(句)持続的注意(集中を保つ力)Sustained attention drops during long, boring tasks. sustain は「持続させる・支える」。sustainable(持続可能な)と同語源で、入試頻出。
  • replicateC1
    動詞(実験結果を)再現するScientists tried to replicate the famous finding. replica(複製)と同語源。名詞 replication、replication crisis(再現性の危機)は心理学の重要語。
  • fatigueB2
    名詞疲労Mental fatigue makes us read the same line again and again. 発音は /fəˈtiːɡ/(ファティーグ)。mental fatigue(精神的疲労)、eye fatigue(眼精疲労)。
  • monotonousC1
    形容詞単調なA monotonous task can make you sleepy. mono-(1つ)+tone(音の調子)=「ずっと同じ調子の」。名詞 monotony。
  • concentrateB1
    動詞集中するI cannot concentrate when my phone is on the desk. concentrate on ~ の形で使う。con-(共に)+center(中心)=「中心に集める」。
集中が切れたとき、たった40秒だけ緑の屋上の写真を見たら、そのあとのミスが減ったという実験がある。ただし再現しなかった研究もあって…。一方、スマホを45分使った後は注意力が落ちたという実験も。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Lee, Williams, Sargent, Williams & Johnson (2015) 40-second green roof views sustain attention: The role of micro-breaks in attention restoration, Journal of Environmental Psychologydoi.org
  2. Johnson et al. (2022) Water and meadow views both afford perceived but not performance-based attention restoration: Results from two experimental studies, Frontiers in Psychologydoi.org
  3. Stevenson, Schilhab & Bentsen (2018) Attention Restoration Theory II: a systematic review to clarify attention processes affected by exposure to natural environments, Journal of Toxicology and Environmental Health, Part Bdoi.org
  4. Albulescu et al. (2022) "Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance, PLOS ONEdoi.org
  5. Jacquet et al. (2023) Acute smartphone use impairs vigilance and inhibition capacities, Scientific Reportsdoi.org