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「緑を40秒見るだけで集中力が戻る」実験、そのあと追試したらどうなった?

「緑を40秒見るだけで集中力が戻る」実験、そのあと追試したらどうなった?

読む前に予想してみよう!

2015年の研究では、緑の屋上の写真を40秒見た学生は、コンクリートの屋上を見た学生より集中力テストのミスが少なかった

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生
規模
150人(元研究)/追試254人/メタ分析80研究
研究の種類
ランダム化実験+メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

2015年、緑の屋上の写真を40秒見た学生はミスが減った。ただ追試では差が出ない例もあり、効果は小さめで条件しだい。

ひとことで言うと緑を見ると頭がスッキリするかも。でも40秒で魔法みたいには効かないかも!

もくじ
  1. 緑の屋上を40秒見たら、ミスが減った
  2. 追試してみたら、差が出なかった
  3. まとめて分析すると「効果は小さめ」
  4. スマホを見たら、緑の効果は台無し?
  5. まとめ

勉強や仕事で頭がボーッとしてきたとき、窓の外の木を眺めると、なんだか少しスッキリする。

そんな感覚を、実験で確かめた研究があります。しかも、緑を見た時間はたったの40秒。

「それだけで集中力が戻るなら最高!」——と言いたいところですが、この話には続きがあります。

01緑の屋上を40秒見たら、ミスが減った

使われたテストは、画面に次々と出る数字を見て、特定の数字のときだけボタンを押さない、というもの。単純だけど、気をゆるめるとすぐミスが出る、集中力の持続を測るテストです。

この研究の背景には、注意回復理論という考え方があります。アメリカの心理学者カプラン夫妻が提案したもので、ざっくり言うと「勉強や仕事のように意識して集中する力は使うと疲れるけれど、自然の景色は"がんばらずに"目を引くので、その間に集中力の燃料が回復する」という理論です。

同じ40秒でも、見る景色によって結果が変わった…のか?
同じ40秒でも、見る景色によって結果が変わった…のか?

02追試してみたら、差が出なかった

ところが科学では、一つの研究だけでは結論を出しません。別の人が同じような実験をしても同じ結果が出るか(再現できるか)が大切です。

2022年に『Frontiers in Psychology』に載った研究(Johnson ら)では、2つの実験で合わせて250人ほど(68人と186人)に、同じタイプの集中力テストと40秒間の画像鑑賞を組み合わせました。見せたのは、草原、海、都会の画像です。

結果は意外なものでした。草原や海の画像を見た人は「気分が回復した」と感じてはいたものの、テストの成績そのものには差が出なかったのです。

03まとめて分析すると「効果は小さめ」

つまり、「自然は頭の回復に役立つ」という大きな方向性は支持されつつも、40秒という超短時間の効果は、まだ不確かというのが今の状況です。

04スマホを見たら、緑の効果は台無し?

もう一つ、気になる研究があります。2018年の研究(Jiang ら、81人)では、緑の多い場所で休憩しても、その間ノートパソコンを使っていると、集中力の回復効果がかなり打ち消されてしまいました。

せっかく窓の外に木があっても、休憩中ずっとスマホを見ていたら、もったいないかもしれません。

05まとめ

「緑を40秒見るとミスが減った」という研究はホント。でも追試では差が出なかった例もあり、効果は小さく条件しだい、というビミョーな話でした。

それでも、窓の外の緑に目をやるのはタダで、副作用もありません。疲れたら、スマホではなく空と木を見てみる。そんな小さな習慣から始めてみませんか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCan looking at nature for just 40 seconds help you concentrate? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Can looking at nature for just 40 seconds help you concentrate? In a 2015 study in Australia, 150 university students did an attention test, took a 40-second break looking at either a green roof or a concrete roof, and then did the test again. Those who saw the green roof made fewer errors.

However, in 2022, another team tested about 250 people in a similar way. People who saw meadow or sea pictures felt refreshed, but their test scores did not improve. A 2025 meta-analysis found that contact with nature has a real but small effect on attention, and the effect was largest after about 30 minutes.

107 words ・ CEFR B1

和訳を見る

自然をたった40秒見るだけで集中できるようになるのでしょうか。2015年のオーストラリアの研究では、150人の大学生が注意力テストを受け、緑の屋上かコンクリートの屋上のどちらかを見ながら40秒休憩し、もう一度テストを受けました。緑の屋上を見た人たちはミスが少なくなりました。

しかし2022年、別のチームが約250人を対象に同じような方法で調べました。草原や海の写真を見た人はスッキリしたと感じましたが、テストの点数は上がりませんでした。2025年のメタ分析では、自然とふれあうことは注意力に対して本物だが小さな効果があり、その効果は約30分ふれたときに最も大きいことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What happened in the 2022 study?

Q3. Based on the passage, which break is most likely to help attention?

重要単語

  • attention restorationC1
    名詞(句)注意の回復Attention restoration theory explains why nature feels refreshing. restore(回復させる)の名詞形 restoration。環境心理学の長文で頻出の理論名。
  • micro-breakC1
    名詞ごく短い休憩Even a 40-second micro-break may help a little. micro-(微小な)+break(休憩)。take a break「休憩する」が基本形。
  • replicateC1
    動詞(実験を)再現する、追試するOther researchers could not replicate the result. replica(複製品)と同語源。名詞 replication。科学の信頼性を論じる長文の必須語。
  • sustained attentionC1
    名詞(句)持続的注意(集中を保つ力)The test measured sustained attention. sustain(持続させる)。sustainable(持続可能な)と同語源。
  • meta-analysisC1
    名詞メタ分析A meta-analysis combines the results of many studies. meta-(より高次の)。多数の研究をまとめて分析する方法で、証拠の強さの上位に位置づけられる。
  • modestlyB2
    副詞控えめに、わずかにNature improves attention only modestly. modest(控えめな、ほどほどの)+-ly。a modest effect「小さな効果」は研究紹介の定番。
  • concentrateB1
    動詞集中するIt is hard to concentrate when you are tired. concentrate on ~「~に集中する」。名詞 concentration は「集中・濃度」。

動画でもっと知る

「緑の屋上の写真を40秒見ただけで、集中力テストのミスが減った」という2015年の研究。ところが後の追試では差が出なかった例もあるらしい。メタ分析では、効果が大きいのはむしろ30分くらい自然にふれたとき。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Lee et al. (2015) 40-second green roof views sustain attention: The role of micro-breaks in attention restoration, Journal of Environmental Psychologydoi.org
  2. Johnson et al. (2022) Water and Meadow Views Both Afford Perceived but Not Performance-Based Attention Restoration: Results From Two Experimental Studies, Frontiers in Psychologydoi.org
  3. Bell et al. (2025) The relationship between nature exposures and attention restoration, as moderated by exposure duration: A systematic review and meta-analysis, Journal of Environmental Psychologydoi.org
  4. Jiang et al. (2018) How to Waste a Break: Using Portable Electronic Devices Substantially Counteracts Attention Enhancement Effects of Green Spaces, Environment and Behaviordoi.org