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ワニは「生きた化石」? 恐竜時代の親戚には“草食ワニ”も“海を泳ぐワニ”もいた

ワニは「生きた化石」? 恐竜時代の親戚には“草食ワニ”も“海を泳ぐワニ”もいた

読む前に予想してみよう!

恐竜時代のワニの親戚は、みんな今のワニと同じように水辺で肉を食べていた

研究カード(どんな研究?)
対象
ワニ類と絶滅したワニの親戚(ワニ形類など)
規模
3種のゲノム・多数の化石種
研究の種類
比較ゲノム解析・歯の形の定量分析・系統比較法
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

今のワニはゲノムの変化がとてもゆっくりで、姿も昔から似ている。でも恐竜時代のワニの親戚には、植物を食べる種や海で暮らす種など、驚くほど多様な仲間がいた。

ひとことで言うとワニは昔から姿があまり変わらない。でも大昔には、草を食べるワニの親せきもいた!

もくじ
  1. ゲノムの変化は、たしかに「超スロー」
  2. 恐竜時代のワニの親戚は、とんでもなく多様だった
  3. 「変わらない時期」と「一気に変わる時期」
  4. まとめ

ワニを見ると、「恐竜の時代から生きている動物」という感じがしますよね。図鑑でも、ワニはよく「生きた化石」と紹介されます。

でもこの言葉、半分は当たっていて、半分はちょっと誤解を招きます。ワニの仲間の歴史をのぞいてみると、今の姿からは想像もつかない親戚たちが次々と出てくるのです。

01ゲノムの変化は、たしかに「超スロー」

まず、「変わっていない」のほうの証拠から。

2014年、アメリカなどの国際チーム(Green ら)は、アメリカアリゲーター、イリエワニ、インドガビアルという3種のワニのゲノム(全遺伝情報)を読み、『Science』に発表しました。

体の形や、水辺で待ちぶせして獲物をとらえる今のワニのスタイルは、長いあいだ大きくは変わっていません。この意味では、「生きた化石」という言葉にも一理あります。

02恐竜時代のワニの親戚は、とんでもなく多様だった

ところが、化石の世界に目を向けると、話はがらりと変わります。

今のワニにつながる仲間(ワニ形類など)は、恐竜時代にさまざまな姿に枝分かれしていました。ひれのような脚で海を泳ぐ種、すらりとした脚で陸を走る種、そして驚くことに、植物を食べていた種までいたと考えられています。

肉食のハンターというワニのイメージからは、想像しにくい姿です。

ワニの仲間の歴史は、「水辺の待ちぶせ型」だけではなかった。
ワニの仲間の歴史は、「水辺の待ちぶせ型」だけではなかった。

03「変わらない時期」と「一気に変わる時期」

では、ワニの仲間は、どんなペースで変化してきたのでしょうか。

2021年、イギリス・ブリストル大学のマクシミリアン・ストックデールさんとマイケル・ベントンさんは、ワニとその親戚の体の大きさの進化を、系統樹を使って分析しました。

その結果、体の大きさの進化は、長く安定した時期と、急に変化が起きる時期が交互にくる、「区切りのある」パターンでした。そして、気温が高い時代ほど進化の速さが上がり、体も大きくなる傾向が見られました。ワニの進化には、気候などの環境が大きくかかわっていたと考えられます。

現在のワニは、今の環境に合った「水辺の待ちぶせ型」がうまくいっているので、大きく変わる必要がない時期にいる。そう見ることもできそうです。

04まとめ

ワニは、ゲノムの変化がとてもゆっくりな「生きた化石」らしい一面を持っています。でもその親戚たちの歴史には、草食ワニ、海のワニ、走るワニがひしめいていました。

動物園のワニが、恐竜時代のにぎやかな親戚たちの「最後の生き残りチーム」だと思うと、ちょっと見る目が変わりませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCrocodiles are often described as living fossils, and there is some truth in this. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Crocodiles are often described as living fossils, and there is some truth in this. In 2014, an international team read the genomes of three crocodilian species and found that they change very slowly at every level. The animals' lifestyle of waiting in the water to ambush prey has also stayed similar for a long time.

However, fossils tell a different story. During the age of dinosaurs, crocodile relatives included sea-swimming forms, long-legged land runners, and even plant-eaters. In 2019, Keegan Melstrom and Randall Irmis measured the complexity of fossil teeth and found that teeth suited to eating plants had evolved at least three separate times. These relatives were far more varied than today's crocodiles.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ワニはよく生きた化石と言われますが、これにはある程度の真実があります。2014年、国際チームが3種のワニのゲノムを読み、あらゆるレベルで変化がとてもゆっくりであることを発見しました。水の中で待ちぶせして獲物をとらえる暮らし方も、長いあいだ似たままです。

しかし、化石は別の物語を語ります。恐竜の時代、ワニの親戚には、海を泳ぐもの、長い脚で陸を走るもの、そして植物を食べるものまでいました。2019年、キーガン・メルストロムさんとランドール・アーミスさんは化石の歯の複雑さを測定し、植物を食べるのに適した歯が少なくとも3回、別々に進化していたことを発見しました。これらの親戚は、今のワニよりはるかに多様だったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2014 genome study find?

Q2. How many times did plant-eating teeth evolve separately, at least?

Q3. What is the writer's view of the phrase "living fossil"?

重要単語

  • living fossilB2
    名詞(句)生きた化石The crocodile is often called a living fossil. ダーウィンが使い始めた表現。シーラカンスやカブトガニもよく例に出る。
  • herbivorousC1
    形容詞草食のSome ancient crocodile relatives were herbivorous. herb(草)+-vorous(食べる)。carnivorous「肉食の」、omnivorous「雑食の」とセットで。
  • genomeC1
    名詞ゲノム(全遺伝情報)Crocodile genomes change very slowly. gene(遺伝子)+-ome(全体)。the human genome「ヒトゲノム」。
  • diversityB2
    名詞多様性Fossils show great diversity among crocodile relatives. 形容詞 diverse。biodiversity「生物多様性」は入試の環境テーマで超頻出。
  • extinctionB2
    名詞絶滅Many groups disappeared during the mass extinction. 形容詞 extinct「絶滅した」。go extinct「絶滅する」、be on the verge of extinction「絶滅の危機にある」。
  • terrestrialC1
    形容詞陸生の、地球のSome relatives were terrestrial runners with long legs. ラテン語 terra(大地)から。反対は aquatic(水生の)、marine(海の)。extraterrestrial は「地球外の(生命)」。
ワニは恐竜時代からほとんど変わらない「生きた化石」と言われるけど、実はゲノムの変化はたしかにかなりゆっくり。一方で、恐竜時代のワニの親戚には、植物を食べる動物に似た複雑な歯が、少なくとも3回も別々に進化していたらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Green et al. (2014) Three crocodilian genomes reveal ancestral patterns of evolution among archosaurs, Sciencedoi.org
  2. Melstrom & Irmis (2019) Repeated Evolution of Herbivorous Crocodyliforms during the Age of Dinosaurs, Current Biologydoi.org
  3. Stockdale & Benton (2021) Environmental drivers of body size evolution in crocodile-line archosaurs, Communications Biologydoi.org