【広島大の入試に出た】犬も「寝て覚える」。お昼寝中の脳波が、覚えた指示の上達を予言した

読む前に予想してみよう!
犬の睡眠中の脳波を測る研究では、頭に手術で電極を埋め込む必要がある
ハンガリーの研究では、頭の表面に電極を貼るだけの痛みのない方法で、ペットの犬の睡眠を記録した。
- 対象
- 家庭で飼われている犬
- 規模
- 各十数〜数十頭
- 研究の種類
- 実験研究(非侵襲的な睡眠脳波)
- 確かさ
- ★★☆☆☆
新しい指示を覚えた犬が昼寝すると、脳波が変化し、その変化が起きた犬ほど寝た後に成績が上がった。嫌な体験の後は、寝つきも早かった。
ひとことで言うと犬も人間と同じで、寝ているあいだに覚えたことを整理しているらしい!
テスト前に「一夜漬けより、寝たほうが覚えられる」と言われたことはありませんか? 人間では、睡眠が記憶を定着させることが多くの研究で知られています。
では、犬はどうでしょう。犬も、寝ているあいだに覚えたことを整理しているのでしょうか。ハンガリーの研究チームが、ペットの犬の「お昼寝」を調べて、その答えに迫りました。
「犬の睡眠パターンの研究がもたらす知見」は、2026年度の広島大学(前期)の英語で長文のテーマになりました(河合塾の解答速報・講評で確認)。
01痛くない方法で、犬の睡眠脳波を測る
これまで動物の睡眠研究では、脳に電極を埋め込む方法が使われることもありました。でもペットの犬にそんなことはできません。
そこでハンガリー科学アカデミーやエトヴェシュ・ロラーンド大学などの研究者たちは、頭の表面に電極を貼るだけの、痛みのない方法を開発しました。人間の睡眠検査とほぼ同じやり方です。飼い主のそばで、犬はふつうにスヤスヤ眠ります。
02覚えたあとの昼寝で、脳波が変わった
研究チームは、これを犬の人間に近い社会的な学習能力が睡眠による記憶の定着と関係している可能性を示す、初めての証拠だとしています。
03犬にも人間の「睡眠紡錘波」に似た波がある
人間の睡眠中には、睡眠紡錘波(スピンドル)と呼ばれる、ほんの短い時間だけ現れる脳波の波があります。学習した内容の定着に関わるとされる波です。
同じ年に発表された別の研究では、犬の睡眠中に見られるこのスピンドルに似た波を、はじめて数値で測り、学習との関係を調べました(Scientific Reports, 2017)。そして、学習した後のほうがこの波が多く、波が多い犬ほど、後のテストで成績が伸びていたのです。メスの犬のほうが波が多いという、人間とよく似た性差も見られました。

04嫌なことがあった日は、すぐ寝る
感情と睡眠の関係も調べられています。寝る前に、なでたりボールで遊んだりする楽しい体験をした場合と、飼い主と離されたり、人に威圧的な態度で近づかれたりする嫌な体験をした場合で、16頭の犬の睡眠を比べました(Proceedings of the Royal Society B, 2017)。
すると、嫌な体験のあとは寝つくまでの時間が短く、睡眠の段階の配分も変わっていました。研究チームは、感情的な出来事が犬の睡眠に影響することを示す、初めての直接的な証拠だとしています。
05まとめ
犬も人間と同じように、眠っているあいだに学んだことを整理しているらしい。
愛犬に新しい芸を教えたら、そのあとはゆっくり昼寝させてあげましょう。そしてあなたも、勉強のあとは夜ふかしせずに眠るのが、いちばんの復習法かもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany studies show that sleep helps humans store new memories.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Sleep helps people remember what they learn. Is it the same for dogs? Scientists in Hungary taught pet dogs new commands for 'sit' and 'down'.
Then the dogs took a nap. The scientists put small sensors on the dogs' heads. This did not hurt. During the nap, the dogs' brain waves changed.
Dogs with these changes did better after they woke up. Dogs also fell asleep faster after a bad experience.
71 words ・ CEFR A2
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睡眠は、人が学んだことを覚えるのに役立ちます。犬も同じでしょうか。ハンガリーの科学者たちは、ペットの犬に「おすわり」と「ふせ」を表す新しい指示を教えました。
その後、犬たちは昼寝をしました。科学者たちは犬の頭に小さなセンサーを付けました。これは痛くありませんでした。昼寝の間、犬の脳波が変化しました。
この変化があった犬は、起きた後により良い成績を出しました。また、犬は嫌な体験の後のほうが早く眠りにつきました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第2文の Is it the same for dogs?(睡眠が記憶を助けるのは犬も同じか)が全体の問いなので C。
Q2. Where did the scientists put the sensors?
put small sensors on the dogs' heads とあり、痛くなかったので脳の中ではない。正解は A。
Q3. In this passage, a "command" is ...
'sit' and 'down' に対する指示が出てくる。「~しなさい」と伝える言葉のことなので D。
Many studies show that sleep helps humans store new memories. Researchers in Hungary wanted to know if the same is true for dogs. They developed a painless way to record brain waves by simply attaching sensors to the surface of a dog's head, much like a human sleep test.
In a 2017 study, pet dogs learned new commands and then took a nap. After learning, their brain waves during sleep changed, and these changes were linked to how much their performance improved after waking. Another study found short bursts of brain activity similar to human 'sleep spindles'. Dogs that showed more of these bursts improved more on later tests.
109 words ・ CEFR B1
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多くの研究が、睡眠は人間が新しい記憶を蓄えるのに役立つことを示しています。ハンガリーの研究者たちは、同じことが犬にも当てはまるのかを知りたいと考えました。彼らは、人間の睡眠検査とよく似た、犬の頭の表面にセンサーを付けるだけで脳波を記録できる、痛みのない方法を開発しました。
2017年の研究で、ペットの犬たちは新しい指示を覚え、その後昼寝をしました。学習の後、睡眠中の脳波は変化し、その変化は、起きた後に成績がどれだけ伸びたかと関係していました。別の研究では、人間の「睡眠紡錘波」に似た短い脳活動の波が見つかりました。この波を多く示した犬ほど、後のテストで成績が伸びました。
4択リーディングクイズ
Q1. What was special about the researchers' method?
a painless way ... by simply attaching sensors to the surface of a dog's head とあるので B。
Q2. What was linked to the dogs' improvement after sleep?
their brain waves during sleep changed, and these changes were linked to how much their performance improved とあるので D。
Q3. Which advice for dog owners do these results support?
学習後の睡眠中の脳波の変化が成績の伸びと関係していたので、教えた後に昼寝させる A が結果に合う。
Recording a sleeping animal's brain waves usually means implanting electrodes. Researchers in Hungary found a gentler way. They developed non-invasive polysomnography for pet dogs, attaching sensors to the scalp so the animals could doze naturally beside their owners. Sleep helps people consolidate memories, and the method let the team ask whether the same holds for dogs. In a 2017 study, Kis and colleagues taught dogs new commands and then recorded their naps.
Learning changed the frequency pattern of the dogs' sleep EEG, and those changes went along with better performance after sleep. A related study picked up brief bursts of activity resembling human sleep spindles. The bursts were more frequent after learning, dogs with more of them improved more, and females had more than males, a sex difference also found in humans.
A third study compared 16 dogs after pleasant experiences, such as play, and unpleasant ones, such as separation from their owner. After the unpleasant ones, the dogs fell asleep faster. Every recording came from a daytime nap, and the groups of dogs were small, so sleep at night could work differently. If the patterns hold, pet dogs could serve as a model for human sleep research.
198 words ・ CEFR B2
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眠っている動物の脳波を記録するには、ふつう電極を埋め込む必要があります。ハンガリーの研究者たちは、もっと負担の少ない方法を見つけました。ペットの犬のための非侵襲的な睡眠ポリグラフ検査を開発し、頭皮にセンサーを貼ることで、犬が飼い主のそばで自然にうたた寝できるようにしたのです。睡眠は人間の記憶の定着を助けます。この方法によって、研究チームは同じことが犬にも当てはまるかを調べられるようになりました。
2017年の研究で、キシュらは犬に新しい指示を教え、その後の昼寝を記録しました。学習によって犬の睡眠脳波の周波数パターンが変わり、その変化は睡眠後の成績の向上と連動していました。関連する研究では、人間の睡眠紡錘波に似た短い活動の波がとらえられました。その波は学習後により多く現れ、波が多い犬ほど成績がよく伸び、またメスのほうがオスより多く、これは人間にも見られる性差でした。
3つ目の研究では、16頭の犬を、遊びのような楽しい体験の後と、飼い主から離されるような嫌な体験の後とで比べました。嫌な体験の後、犬たちはより早く眠りにつきました。記録はすべて日中の昼寝のもので、調べた犬の数も少なかったため、夜の睡眠では違うしくみがはたらくかもしれません。こうした傾向が確かめられれば、ペットの犬は人間の睡眠研究のモデルとして役立つかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. Why was the non-invasive method important for this research?
電極を埋め込む代わりに attaching sensors to the scalp so the animals could doze naturally beside their owners とあるので A。
Q2. Which of the following was found about the spindle-like bursts?
dogs with more of them improved more とあるので C。メスのほうが多く、学習後に増えたので A・B は誤り。
Q3. Which limitation does the author mention?
Every recording came from a daytime nap, and the groups of dogs were small とあるので B。
重要単語
- consolidationC1名詞(記憶の)定着、固定化Sleep plays a role in memory consolidation.
consolidate(強化する、固める)の名詞形。memory consolidation は睡眠と記憶の長文で必須。 - non-invasiveC1形容詞非侵襲的な(体を傷つけない)The scientists used a non-invasive method.
invade(侵入する)の形容詞 invasive に否定の non-。invasive species(外来種)も入試頻出。 - polysomnographyC1名詞睡眠ポリグラフ検査Polysomnography records brain waves during sleep.
poly(多くの)+somn(眠り)+graphy(記録)。insomnia(不眠症)の somn と同じ。 - commandB1名詞・動詞命令、指示/命じるThe dog learned a new command.
have a good command of English「英語を自由に使いこなせる」の用法も入試頻出。 - sleep spindleC1名詞(句)睡眠紡錘波Sleep spindles are linked to learning.
spindle は糸を紡ぐ「紡錘」。脳波の形が紡錘に似ていることから。 - latencyC1名詞潜時(反応までの時間)Sleep latency is the time it takes to fall asleep.
latent(潜在的な)の名詞形。ITの「遅延」の意味でも使われる。 - resembleB2動詞~に似ているThe bursts resemble human sleep spindles.
他動詞なので resemble to ~ は誤り。正誤問題の定番。進行形にもしない。
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公式・一次情報をチェック
- 2026年 広島大学(前期)英語 講評(「犬の睡眠パターンの研究がもたらす知見」がテーマ)(河合塾 解答速報)kaisoku.kawai-juku.ac.jp
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犬も人間みたいに「寝て覚える」らしい。新しい指示を覚えた後に昼寝させて脳波を測ったら、睡眠中の脳波の特徴が、起きた後の上達ぶりと関係していた。ハンガリーの研究チームが、頭に電極を貼るだけの痛くない方法で確かめた。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Kis et al. (2017) The interrelated effect of sleep and learning in dogs (Canis familiaris); an EEG and behavioural study, Scientific Reportsdoi.org
- Iotchev et al. (2017) EEG transients in the sigma range during non-REM sleep predict learning in dogs, Scientific Reportsdoi.org
- Kis et al. (2017) Sleep macrostructure is modulated by positive and negative social experience in adult pet dogs, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










