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【立命館の入試に出た】口と口を合わせて交尾するタコがいた。30年以上うわさだけだったパナマのタコ

【立命館の入試に出た】口と口を合わせて交尾するタコがいた。30年以上うわさだけだったパナマのタコ

読む前に予想してみよう!

2015年の論文の時点で、このタコにはまだ正式な学名がなかった

研究カード(どんな研究?)
対象
ラージャー・パシフィック・ストライプト・オクトパス
規模
成体24匹(水槽飼育)
研究の種類
行動観察研究
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

ふつうタコは単独で暮らし、卵を一度にまとめて産んで一生を終える。でもパナマ沖などにすむこのタコは、口と口を合わせて交尾し、ペアで巣を共有し、長い期間にわたって産卵する。常識破りのタコだった。

ひとことで言うと口と口をくっつけて「キス」するみたいに交尾する、ふしぎなタコがいるんだって!

もくじ
  1. 30年以上「うわさ」だったタコ
  2. ついに水槽で観察された
  3. 狩りの仕方もユニーク
  4. まとめ

タコと聞いて思い浮かべるのは、岩のすき間にひとりでひそむ姿。そしてメスは卵を一度にまとめて産むと、ふ化まで守り続け、そのまま一生を終える――。それがタコの「常識」です。

ところが、中米パナマの太平洋側の海には、その常識をことごとく破るタコがいました。口と口をくっつけて交尾し、パートナーと同じ巣に住み、長い期間にわたって卵を産み続ける。しかも、その行動は30年以上、くわしく確かめられないままだったのです。

「パナマの太平洋岸で発見された奇妙なタコ」は、2026年度の立命館大学(2月1日実施)の英語で長文のテーマになりました(代々木ゼミナールの解答速報・概評で確認)。

0130年以上「うわさ」だったタコ

1970年代、パナマで研究していた研究者が、茶色と白のしま模様をもつこのタコについて、仲間と群れで暮らす、ペアで巣を共有するといった、タコとしては信じられない行動を報告しました。

ところが、その後30年以上、くわしい行動の記録が論文として発表されることはなく、報告は逸話のまま残っていました。「本当にそんな行動をするの?」――このタコは、何世代ものタコ研究者の想像をかき立てる存在になっていったのです。

02ついに水槽で観察された

ふつうのタコは、オスが距離をとったり、メスの背中に乗ったりして交尾します。ところがこのタコは、向かい合って口元をくっつける。まるでキスのような姿でした。

さらにメスは、一度にまとめて卵を産むのではなく、長い期間にわたって少しずつ卵を産み続けました。飼育下では、6か月間ずっと産卵を続けたメスもいます。その間も、えさを食べたり交尾したりしていました。

本来ひとりぼっちのはずのタコが、ペアで巣を分け合っていた
本来ひとりぼっちのはずのタコが、ペアで巣を分け合っていた

03狩りの仕方もユニーク

このタコは、エビを捕まえるときも変わっていました。エビにそっと近づき、片方の腕を弓なりにのばしてエビの背中の殻にふれると、後ずさったエビを、その腕の先の吸盤でつかまえる様子が観察されています。

近年は、「タコはいつも単独」という常識も揺らいでいます。オーストラリアでは、ふつうは1匹で見かけるタコの一種が、岩場のせまい範囲に10〜15匹も集まって暮らす場所が見つかりました(Scheel et al., 2017)。こうした場所が見つかったのは2か所目で、合図を送り合ったり、ほかのタコを巣から追い出したりする複雑なやりとりも記録されています。タコの「社会性」は、思っていたより多様なのかもしれません。

なお、このしま模様のタコは、2015年の論文の時点でも正式な学名がつけられていませんでした。ちなみに、別のしま模様のタコ(ワンダーパス)では、体の白い模様が1匹ずつ違い、写真で個体を見分けられることがわかっています(Huffard et al., 2008)。

04まとめ

「タコはひとりぼっち」という常識は、中米の海であっさり覆されました。

30年以上うわさだけだった生き物が、ついに科学の目で確かめられる。海にはまだ、私たちの常識をひっくり返す生き物がたくさん眠っているのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost octopuses are solitary. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Most octopuses are solitary. They usually mate at a distance because one might eat the other, and females lay all their eggs in one batch before dying. In the 1970s, a researcher in Panama reported a striped octopus that lived in groups and shared dens in pairs, but it stayed unconfirmed because live animals were hard to obtain.

Between 2012 and 2014, Caldwell, Ross and their colleagues finally got live octopuses and observed 24 adults in tanks. They confirmed that the octopuses mated beak to beak, shared dens with their partners and laid eggs over a long period. The octopus also hunted shrimp in an unusual way. It reached one arm over a shrimp, tapped its back and caught it with the tip of that arm.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ほとんどのタコは単独で生活します。相手に食べられるおそれがあるため、ふつうは距離をとって交尾し、メスは死ぬ前に卵を一度にまとめて産みます。1970年代、パナマの研究者が、群れで暮らし、ペアで巣を共有するしま模様のタコについて報告しましたが、生きた個体を手に入れるのが難しかったため、長いあいだ確かめられないままでした。

2012年から2014年にかけて、コールドウェルやロスらはついに生きたタコを手に入れ、成体24匹を水槽で観察しました。彼らは、そのタコが口(くちばし)どうしを合わせて交尾し、パートナーと巣を共有し、長い期間にわたって卵を産むことを確認しました。このタコはエビの捕まえ方も変わっていました。片方の腕をエビの上にのばして背中をたたき、その腕の先で捕まえたのです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was the 1970s report not confirmed for a long time?

Q2. Which of the following was NOT confirmed in the tank study?

Q3. What can be inferred about the 1970s report?

重要単語

  • octopusA2
    名詞タコ(複数形 octopuses)An octopus can change its color quickly. octo(8)+pus(足)。octagon(八角形)、October(もとは8番目の月)と同語源。
  • solitaryB2
    形容詞単独で生活するMost octopuses are solitary animals. sol-(ひとつの)は sole, solo と同語源。social(社会的な)との対比で生物系長文に頻出。
  • mateB2
    動詞・名詞交尾する、つがいになる/相手The two octopuses mated beak to beak. 名詞では classmate の mate(仲間)。動物の文脈では「つがい・交尾」の意味になる。
  • denB2
    名詞巣穴、すみかThe pair shared a den. キツネやクマなどの「ねぐら」。比喩的に「隠れ家、書斎」の意味もある。
  • specimenC1
    名詞標本、(研究用の)個体Scientists obtained several live specimens. spec-(見る)は inspect, spectator と同語源。「見本として見るもの」。
  • anecdotalC1
    形容詞逸話的な、裏付けの乏しいEarly reports were only anecdotal. anecdote(逸話)の形容詞。anecdotal evidence は scientific evidence と対比される入試頻出表現。
  • captivityC1
    名詞飼育下、捕らわれの状態Animals may behave differently in captivity. in captivity「飼育下で」⇔ in the wild「野生で」の対比は動物研究の限界を述べる定番。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【立命館の入試に出た】口と口を合わせて交尾するタコがいた。30年以上うわさだけだったパナマのタコの4コマ漫画
タコといえば一匹狼で、卵を一度にまとめて産んだら一生を終えるのが普通。なのにパナマ沖などで見つかっている縞模様のタコは、口と口をくっつけて交尾し、ペアで同じ巣に住み、長い期間にわたって産卵するらしい。30年以上も確かめられなかった常識破りのタコ。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Caldwell et al. (2015) Behavior and body patterns of the Larger Pacific Striped Octopus, PLOS ONEdoi.org
  2. Scheel et al. (2017) A second site occupied by Octopus tetricus at high densities, with notes on their ecology and behavior, Marine and Freshwater Behaviour and Physiologydoi.org
  3. Huffard et al. (2008) Individually unique body color patterns in octopus (Wunderpus photogenicus) allow for photoidentification, PLoS ONEdoi.org