【早稲田の入試に出た】地球が暑くなると虫の色が「薄く」なる。ヨーロッパ473種の分析

読む前に予想してみよう!
寒い地域では、黒っぽい色の昆虫の種が多い傾向がある
黒い体は日光の熱を吸収しやすく、寒い場所で体を温めるのに有利だと考えられている。
- 対象
- ヨーロッパのチョウ・トンボ
- 規模
- 473種
- 研究の種類
- 大規模分布データの分析(観察研究)
- 確かさ
- ★★★☆☆
ヨーロッパのチョウとトンボ473種を調べると、寒い地域ほど黒っぽい種、暑い地域ほど明るい色の種が多かった。温暖化で、虫たちの「色の分布」も動いていた。
ひとことで言うと暑いところの虫は明るい色、寒いところの虫は黒っぽい色が多いんだって!
夏の日、黒いTシャツを着て外に出ると、白いシャツよりずっと暑い。誰でも知っている、色と熱の関係です。
実は虫たちも、この法則と無関係ではありません。ヨーロッパの研究チームが調べたところ、住んでいる場所の気温によって、虫の「色」の傾向がはっきり違うこと、そして地球温暖化でその分布が動いていることがわかってきました。
「地球温暖化が昆虫の色に及ぼす影響」は、2026年度の早稲田大学(社会科学部)の英語で長文のテーマになりました(代々木ゼミナールの解答速報・概評で確認)。
01虫は「日なたぼっこ」で動けるようになる
虫は、私たちのように自分で体温を一定に保つことができない変温動物です。体を動かすには、太陽の光などで外から体を温める必要があります。
そこで役立つのが体の色。黒っぽい体は日光をよく吸収して早く温まり、明るい色の体は光をはね返して熱をためにくい。寒い場所では黒が有利、暑い場所では明るい色が有利――これを「熱メラニズム仮説」と呼びます。
02473種のチョウとトンボで確かめた
さらに研究チームは、1988年と2006年のトンボの分布地図を比べました。すると、1988年までの記録(20世紀初頭の情報も含む)から2006年にかけて、ヨーロッパのトンボの集まりは全体として明るい色の方向へ変化していました。暑さに強い明るい色の種が北へ広がり、暗い色の種は涼しい場所へ追いやられている可能性があるのです。

03色は「温度計」だけではない
ただし、虫の色の役割は温度調節だけではありません。変温動物の研究をまとめた2007年の総説では、黒い色素(メラニン)には、紫外線から体を守る、病原体への抵抗力に関わる、敵から身を隠すなど、いくつもの役割があると整理されています。
また、トカゲの近縁3種を比べた研究(理論・実験・野外データを組み合わせたもの)では、黒っぽい種のほうが体が早く温まり、体温もわずかに高くなることが示されています。色と体温の関係は、虫に限らず変温動物に共通する「生きるための戦略」なのです。
04まとめ
地球温暖化は、氷河や海面だけでなく、虫たちの色の地図まで静かに塗り替えていました。
夏に見かけるチョウやトンボの色。そこには、その虫が生きる場所の「気温の物語」が刻まれているのかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerInsects cannot keep their body temperature constant, so they must warm up using heat from outside, such as…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Black clothes get hot in the sun, but white clothes stay cooler. Insects follow the same rule. Insects cannot make their own body heat, so they need the sun to warm them.
Scientists studied 473 kinds of butterflies and dragonflies in Europe. In cool places, there were more dark insects. In warm places, there were more light-colored insects. As Europe got warmer, groups of dragonflies became lighter in color.
69 words ・ CEFR A2
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黒い服は日なたで熱くなりますが、白い服は涼しいままです。虫も同じルールに従っています。虫は自分で体の熱を作ることができないので、太陽に温めてもらう必要があります。
科学者たちは、ヨーロッパのチョウとトンボ473種を調べました。涼しい場所では、黒っぽい虫が多くいました。暖かい場所では、明るい色の虫が多くいました。ヨーロッパが暖かくなるにつれて、トンボの集まりは色が明るくなりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
服の色と熱の話から始め、気温と虫の色の関係を説明しているので A。服の話は導入にすぎない。
Q2. How many kinds of butterflies and dragonflies did the scientists study?
Scientists studied 473 kinds of butterflies and dragonflies とあるので D。
Q3. In this passage, "light-colored" means ...
dark insects(黒っぽい虫)と対比されているので、light は「(色が)明るい、淡い」の意味。正解は B。light の多義性に注意。
Insects cannot keep their body temperature constant, so they must warm up using heat from outside, such as sunlight. Body color matters here. Dark bodies absorb sunlight and heat up quickly, while light bodies reflect it. This idea is called the thermal melanism hypothesis.
Researchers at the University of Marburg in Germany measured the color of 473 species of European butterflies and dragonflies and compared it with local climates. They found that dark species were more common in cool regions and light species in warm regions. They also compared dragonfly maps from 1988 and 2006. Over those years of warming, dragonfly groups as a whole had shifted toward lighter colors.
110 words ・ CEFR B1
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虫は体温を一定に保つことができないので、日光など外からの熱を使って体を温めなければなりません。ここで体の色が重要になります。黒っぽい体は日光を吸収して早く温まり、明るい色の体は日光を反射します。この考えは熱メラニズム仮説と呼ばれます。
ドイツのマールブルク大学の研究者たちは、ヨーロッパのチョウとトンボ473種の色を測定し、それを地域の気候と比べました。その結果、涼しい地域では暗い色の種が、暖かい地域では明るい色の種が多いことがわかりました。彼らはまた、1988年と2006年のトンボの分布地図も比較しました。その温暖化の年月の間に、トンボの集まりは全体として明るい色の方向へ変化していました。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the thermal melanism hypothesis, why are dark colors useful in cold places?
Dark bodies absorb sunlight and heat up quickly とあるので C。reflect(反射する)は明るい色の体の説明なので B は誤り。
Q2. What did the researchers compare from 1988 and 2006?
They also compared dragonfly maps from 1988 and 2006. とあるので B。
Q3. What might happen to dark-colored dragonflies if Europe keeps getting warmer?
暗い色の種は涼しい地域に多く、温暖化で集まり全体が明るい色へ変化したことから、暗い種は涼しい場所へ追いやられうると推論できる。D が正解。A の「すぐにどこでも消える」は言い過ぎ。
A dark insect warms up faster in the sun. Like all insects, it is an ectotherm, relying on outside heat to raise its body temperature, and dark pigment absorbs more solar radiation. The thermal melanism hypothesis builds on this. Darker coloring should pay off in cool climates, while lighter coloring should help prevent overheating in warm ones.
In 2014, Zeuss and colleagues tested the idea on a continental scale by measuring the color lightness of 473 European butterfly and dragonfly species. Insect communities in cooler regions were consistently darker, and those in warmer regions lighter. The team then compared dragonfly distributions in 1988 and 2006, a period of warming, and found that the communities had become lighter.
Light-colored species may be spreading north while dark ones retreat to cooler areas. That second result rests on dragonflies alone, and data collection differed between the two years, which could have biased the comparison. The link between color and temperature is itself correlational. Heat is not the whole story. A 2007 review notes that dark pigment shields insects from ultraviolet light, helps them resist disease and serves as camouflage, so a dark butterfly in a warm region may be dark for other reasons.
200 words ・ CEFR B2
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黒っぽい虫は、日なたで速く体が温まります。すべての虫と同じく外温動物で、体温を上げるのに外部の熱に頼っており、黒い色素は太陽の放射をより多く吸収するからです。熱メラニズム仮説はこの点にもとづいています。涼しい気候では暗い体色が得になり、暖かい気候では明るい体色が体の熱くなりすぎを防ぐのに役立つはずだ、というものです。
2014年、ツォイスらは、ヨーロッパのチョウとトンボ473種の色の明るさを測り、この考えを大陸規模で検証しました。涼しい地域の虫の群集は一貫して暗い色で、暖かい地域の群集は明るい色でした。研究チームは次に、温暖化が進んだ1988年と2006年のトンボの分布を比べ、群集がより明るい色になっていたことを見いだしました。
明るい色の種が北へ広がり、暗い色の種が涼しい地域へ退いているのかもしれません。ただ、この2つ目の結果はトンボだけにもとづいており、2つの年ではデータの収集量が異なっていたため、比較に偏りが生じた可能性があります。色と温度の関係そのものも、相関にすぎません。それに、熱がすべてではありません。2007年の総説が指摘するように、黒い色素は紫外線から虫を守り、病気への抵抗力を助け、カムフラージュにも役立つので、暖かい地域にいる黒っぽいチョウは、別の理由で黒いのかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. Which of the following best summarizes the passage?
虫の体色と気候の関係、温暖化にともなう変化、その限界を述べているので A。
Q2. Which of the following is NOT mentioned as a reason for caution?
rests on dragonflies alone、data collection differed、itself correlational はいずれも本文にあるが、実験室で育てたという記述はないので C。
Q3. Why does the author mention the 2007 review?
Heat is not the whole story に続けて、紫外線・病気・カムフラージュという別の働きを挙げているので D。
重要単語
- pigmentationC1名詞色素沈着、体色Dark pigmentation helps insects absorb heat.
pigment(色素)+-ation。生物の色をテーマにした長文で使われる。 - absorbB2動詞吸収するBlack surfaces absorb more sunlight.
be absorbed in ~「~に夢中になる」も入試頻出。反対の動きは reflect(反射する)。 - ectothermC1名詞変温動物(外温動物)Insects are ectotherms that depend on outside heat.
ecto(外)+therm(熱)。反対は endotherm(恒温動物、endo=内)。thermometer の therm と同じ。 - distributionB2名詞分布The distribution of species is changing.
「配布、流通」の意味もある多義語。生物の文脈では「分布」。動詞は distribute。 - hypothesisB2名詞仮説The thermal melanism hypothesis explains dark colors in cold places.
複数形は hypotheses。test a hypothesis「仮説を検証する」が定番のコロケーション。 - assemblageC1名詞(生物の)群集、集まりInsect assemblages became lighter over time.
assemble(集まる)の名詞形。生態学では1種ではなく「複数の種の集まり」を指す。 - reflectB1動詞反射する、反映するWhite clothes reflect sunlight.
「反映する」「熟考する(reflect on ~)」の意味もある多義語。absorb との対比で覚える。
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- 2026年度 早稲田大学(2/22 実施 社会科学)英語 概評(「地球温暖化が昆虫の色に及ぼす影響」がテーマ)(代々木ゼミナール 解答速報)sokuho.yozemi.ac.jp
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地球が暑くなると、虫の色が「明るく」なっていくらしい。ヨーロッパのチョウとトンボ473種を調べたら、寒い地域ほど黒っぽい種、暑い地域ほど明るい色の種が多かった。黒は熱をためやすいから。温暖化は虫の色の地図も変えていた。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Zeuss et al. (2014) Global warming favours light-coloured insects in Europe, Nature Communicationsdoi.org
- Clusella-Trullas, van Wyk & Spotila (2007) Thermal melanism in ectotherms, Journal of Thermal Biologydoi.org
- Clusella-Trullas et al. (2009) Thermal benefits of melanism in cordylid lizards: a theoretical and field test, Ecologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












