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鳥123種の声の大きさを測ったら、「世界一うるさい鳥」の候補が新たに2種見つかった

鳥123種の声の大きさを測ったら、「世界一うるさい鳥」の候補が新たに2種見つかった

読む前に予想してみよう!

鳥の声の大きさは、種類がちがってもあまり変わらない

研究カード(どんな研究?)
対象
野生の鳥(ブラジルと米マサチューセッツ州)
規模
123種
研究の種類
観察研究(野外での音量測定と種どうしの比較)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

鳥123種の声の大きさを鳥から1mの値にそろえると、最小はハチドリの仲間の64dB、最大は122dB。体が大きく、くちばしを大きく開ける鳥ほど大声の傾向。

ひとことで言うと体が大きく、くちばしを大きく開ける鳥ほど、声も大きいらしい!

もくじ
  1. いちばん小さい声と大きい声、差は58dB
  2. 鳥の声は「どこで測るか」で大きく変わる
  3. 新しい候補は、真っ白な鳥と、足の赤い鳥
  4. 大声のカギは「体の大きさ」と「くちばしの開き」
  5. どんでん返し:「世界一」はまだ決められない
  6. まとめ

鳥の声には、ささやくように小さいものもあれば、耳が痛くなるほど大きいものもあります。では、声がいちばん小さい鳥といちばん大きい鳥では、どれくらい差があるのでしょう。

米国のマサチューセッツ大学アマースト校の研究者2人が、123種の鳥について「出せるいちばん大きな声」を野外で測りました。音の大きさは、鳥から1mの位置での値にそろえています。結果は、声がいちばん小さかったハチドリの仲間が64dB(デシベル)、声がいちばん大きかった鳥が122dBでした。ざっくり言うと、ふだんの会話くらいの声から、飛行機のエンジンのそばに近い声まで、という幅です。そして、ハゲノドスズドリとアカノガンモドキの2種が、「世界一うるさい鳥」の新しい候補になりました。論文は2026年9月29日、学術誌『Evolution』に載りました。

声が大きかったのは、体が大きい鳥と、くちばしを大きく開ける鳥でした。一方で、「深い森にすむ鳥ほど声が大きいはず」といった予想には、はっきりした裏づけが出ませんでした。ただし、これは鳥の声を測って種どうしを比べた研究です。体の大きさが声を大きくする「原因」だと確かめたわけではありません。

01いちばん小さい声と大きい声、差は58dB

dB(デシベル)は、音の大きさを表す単位です。まず、身近な音で目安をつかみましょう。東京都新宿区がのせている騒音の目安では、60dBが「普通の会話」、90dBが「大声・犬の鳴き声」、120dBが「飛行機のエンジンの近く」です。大学の発表文も、ハチドリの64dBを「普通の会話くらい」と説明しています。

ただし、dBは数字の増え方がふつうの物差しと違います。数字が少し増えるだけで、音の強さはぐんと大きくなるのです。後で出てくる2019年の論文の説明では、9dB上がると、音が空気を押す力(音の圧力)はおよそ3倍になります。64dBと122dBの差は58dBなので、記者が計算すると、空気を押す力はおよそ800倍も違います。

なお、鳥の値は「鳥から1mの所」で測った、ほんの短い時間の大きさです。目安の表とは測り方が違うので、あくまでだいたいの比べ方です。

02鳥の声は「どこで測るか」で大きく変わる

声の大きさを測るのは、かんたんではありません。音は、離れるほど小さくなるからです。すぐそばでは耳が痛いほどの声でも、数百m離れればほとんど聞こえません。何m離れて測ったかが分からなければ、鳥どうしを比べられないのです。

そこで2人は、2つの道具を組み合わせました。1つは、音の大きさを細かく記録できる持ち運べる音量計です。もう1つは、ゴルフで旗までの距離を測るのに使われるレーザー距離計です。鳴いている鳥までの距離を測り、その距離をもとに「1mの位置ならこの大きさ」と計算し直しました。

同じ2人が2025年に出した論文に、測り方がくわしく書かれています。音量計は、50分の1秒(20ミリ秒)ごとに、その間の音の「平均の大きさ」を記録します。まばたき1回よりも短い時間です。2人はこの値を使い、まわりの雑音の分も差し引きました。今回の論文の要旨(論文の最初につく短いまとめ)も、同じ「50分の1秒ごとの平均」の物差しで値を出しています。

鳥までの距離をレーザーで測り、音量計の値を「鳥から1mの位置」の大きさに直して比べた(イメージ)
鳥までの距離をレーザーで測り、音量計の値を「鳥から1mの位置」の大きさに直して比べた(イメージ)

03新しい候補は、真っ白な鳥と、足の赤い鳥

新しく「世界一うるさい鳥」の候補になったのは、次の2種です。大学の発表によると、どちらも120dBを超えました。

ハゲノドスズドリ(英名 bare-throated bellbird)は、カザリドリ科の鳥です。オスは全身が真っ白で、顔からのどにかけて羽がなく、青緑色の肌が見えています。湿った森の高い木の上から、金属をたたいたような、はじける大声で鳴く鳥として知られています。今回の論文の要旨では、いちばん大きかったのは「カザリドリ科の1種」で、122dBでした。要旨には、その種の名前までは書かれていません。

アカノガンモドキ(英名 red-legged seriema)は、ノガンモドキ科の鳥です。長くて赤い足で、草原や木のまばらな林を歩き回ります。明け方によく鳴き、2羽でかけ合うように長く鳴き続けることも多い鳥です。

04大声のカギは「体の大きさ」と「くちばしの開き」

123種を比べると、体の大きい鳥ほど、またくちばしを大きく開ける鳥ほど、出せる声の最大値が大きい傾向がありました。比べるときは、近い仲間どうしは似やすいことも計算に入れています。

大学の発表文は、くちばしの開きをトランペットにたとえています。先が大きく広がった楽器ほど、大きな音が出しやすい、というわけです。また、声の大きい鳥は筋肉が分厚く、それが空気を強く押し出すのに役立っているのかもしれない、とも書いています。ただし、これはまだ「かもしれない」の段階です。

一方で、研究者が立てた次の3つの予想は、はっきり確かめられませんでした。

  • 飛ぶのが苦手な鳥ほど、声が大きい:自由に動き回れない分を、声で補うのでは
  • 深い森にすむ鳥ほど、声が大きい:木が茂ると、おたがいの姿が見えにくいから
  • 複数の相手とつがう鳥ほど、声が大きい:声が遠くまで届くほど、多くの相手を呼べるから

要旨の言葉では、この3つには「はっきりした効果がなかった」とあります。メネゼスさんは大学の発表の中で、「どうやって」大声を出すかは少し分かったが、「なぜ」大声になったのかはまだ分からない、という意味のことを話しています。

「体の大きい鳥ほど声が大きい」という考えは、昔からありました。ところが2025年には、別のチームが違う結果を出しています。ヨーロッパの、さえずる小鳥(スズメ目)17種を測ったところ、体の大きさと声の大きさの関係は見られなかったのです。今回はハチドリから地面を歩く大きな鳥まで、ずっと幅広い123種を比べました。調べる鳥の範囲によって、見え方が変わる可能性があります。

05どんでん返し:「世界一」はまだ決められない

これまで「世界一うるさい鳥」とされてきたのは、アマゾンの山地の森にすむスズドリ(英名 white bellbird)です。ハゲノドスズドリとはごく近い仲間(同じ属、Procnias)です。2019年に、今回の研究者の1人ポドスさんたちが測り、125dBという値を出しました。大学によると、この記録はのちにギネス世界記録にも認められています。

では、125dBのスズドリが、122dBの鳥より上なのでしょうか。そう単純には言えません。物差しが違うからです。

  • 2019年の125dBは「ピーク」の値。音がいちばん強くなった一瞬の値
  • 今回の122dBは「50分の1秒ごとの平均」の値。ならした分、ピークより小さめに出る

走る速さでたとえると、「いちばん速かった瞬間の速さ」と「ある区間の平均の速さ」を比べるようなものです。同じ人の同じ走りでも、平均のほうが小さい数字になります。

実は2019年の論文には、スズドリを「平均」の物差しで測った値も載っています。こちらは116.6dBでした。

それでも、122dBとそのまま比べることはできません。数字のまとめ方も違うからです。2019年の数字(125dBも116.6dBも)は、7羽それぞれのいちばん大きな声を、7羽分平均したものです。今回の122dBは、要旨の言い方では「測れた最大の値」です。

つまり、125と122を並べて「スズドリの勝ち」とも「新しい鳥の勝ち」とも言えません。どの物差しを選ぶかで、順位が入れかわることもありえます。なお、今回の123種にスズドリが入っていたのか、入っていたなら何dBだったのかは、論文の本文を読めていないため確かめられていません。

ほかにも注意点があります。

  • 大学の発表文は、2種の「120dB超え」を「ピーク」の値と書いている。論文の要旨の物差し(50分の1秒ごとの平均)と食い違っていて、どちらの値なのかは確かめられていない
  • 122dBなどの値は「測れた中でいちばん大きい声」。たまたま大声の場面に出会えたかどうかにも左右される(記者の注)
  • 体の大きさやくちばしの開きと、声の大きさが「一緒に大きい」ことが分かった段階。体が大きくなれば声が大きくなる、と実験で確かめたわけではない
  • 論文の本文は有料で読めなかった。この記事は、論文の要旨と大学の発表、同じ研究者の2025年の論文をもとにしている

06まとめ

鳥の声の大きさは、種類によってとても大きく違いました。声がいちばん小さい鳥といちばん大きい鳥の差は58dB。音の圧力でいえば、およそ800倍です。その差を生む手がかりは、体の大きさとくちばしの開き。一方で、すむ場所やつがいの作り方との関係は、まだはっきりしません。

2019年の論文は、スズドリのメスがオスのすぐ近くで歌を聞くことにも注目しています。4mの距離でも、メスの耳には聴力を傷めかねない大きさの音が届く計算でした。論文は、メスが「近くでオスを見比べたい」気持ちと「耳を守りたい」気持ちの間でバランスをとっているのでは、と考えています。これほどの大声を、鳥たちはどうやって受け止めているのか。次の研究を待ちたいところです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerHow loud can a bird be? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

How loud can a bird be? Two researchers at the University of Massachusetts Amherst tried to answer this in the field. They worked in Brazil and around Amherst, Massachusetts, and recorded calls from 123 species. Sound gets weaker with distance, so they used a laser rangefinder, the kind golfers use, together with a sound meter.

Each reading was then adjusted to what it would be one meter from the bird. The results ranged from 64 decibels in a hummingbird to 122 decibels in a cotinga. Two species, the bare-throated bellbird and the red-legged seriema, went above 120 decibels and are now candidates for the loudest bird in the world. Larger birds with wider beak openings tended to call louder.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

鳥はどれくらい大きな声を出せるのか。マサチューセッツ大学アマースト校の2人の研究者が、野外でこの問いに答えようとした。2人はブラジルとマサチューセッツ州アマーストの周辺で調査し、123種の鳴き声を記録した。音は離れるほど弱くなるので、ゴルファーが使うようなレーザー距離計を、音量計といっしょに使った。

それぞれの値は、鳥から1mの位置ならどれくらいかに直した。結果は、ハチドリの仲間の64デシベルから、カザリドリ科の鳥の122デシベルまで幅があった。ハゲノドスズドリとアカノガンモドキの2種は120デシベルを超え、世界一声の大きい鳥の候補になった。体が大きく、くちばしの開きが広い鳥ほど、声が大きい傾向があった。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Why did the researchers use a laser rangefinder?

Q3. What can we infer about the red-legged seriema?

重要単語

  • amplitudeC1
    名詞(音の)大きさ、振幅The team measured the amplitude of each call. ample(たっぷりした)と同じ語源。理科では「振幅」。音の場合は loudness(音の大きさ)とほぼ同じ意味で使われる
  • decibelB2
    名詞デシベル(音の大きさの単位、dB)A normal conversation is about 60 decibels. 電話の発明者ベル(Bell)の名前から。deci-(10分の1)+bel。発音は「デシベル」で第1音節を強く読む
  • contenderC1
    名詞(優勝などの)候補、競争相手Two birds are new contenders for the title of the loudest bird. contend(争う)+-er。a contender for ~ で「~の候補」。スポーツ記事に多い
  • gapeC1
    名詞・動詞(口・くちばしの)開き/ぽかんと口を開けるBirds with a wide gape tended to call louder. 動詞では gape at ~ で「~をぽかんと見つめる」。鳥の研究では「くちばしを開いたときの幅」の意味で使う
  • rangefinderC1
    名詞距離計She used a laser rangefinder to check how far away the bird was. range(届く範囲、距離)+finder(見つけるもの)。ゴルフやカメラでも使われる
  • habitatB2
    名詞(生き物の)すみか、生息地A dense forest is a very different habitat from an open grassland. inhabit(住む)と同じ語源。habitat loss(生息地の減少)は環境問題の長文で入試頻出
  • hearingB1
    名詞聴力、耳で聞く力Very loud sounds can damage your hearing. hear の名詞形。hearing loss(難聴)、hearing aid(補聴器)もセットで覚える

動画でもっと知る

4コマでわかる

鳥123種の声の大きさを測ったら、「世界一うるさい鳥」の候補が新たに2種見つかったの4コマ漫画
鳥123種の声の大きさを、鳥から1mの所の値にそろえて比べた研究。いちばん小さい声はハチドリの仲間の64dB、いちばん大きい声は122dB。ハゲノドスズドリとアカノガンモドキの2種が「世界一うるさい鳥」の新しい候補に。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Menezes & Podos (2026) Evolutionary drivers of vocal amplitude in birds, Evolutiondoi.org
  2. Podos & Cohn-Haft (2019) Extremely loud mating songs at close range in white bellbirds, Current Biologydoi.org
  3. Menezes & Podos (2025) Diverse relationships between amplitude and frequency in bird vocalizations, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  4. Brumm et al. (2025) A comparative analysis of song amplitude across and within bird species, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  5. Jakobsen et al. (2021) How Loud Can you go? Physical and Physiological Constraints to Producing High Sound Pressures in Animal Vocalizations, Frontiers in Ecology and Evolutiondoi.org