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ネコのゴロゴロは「うれしい」だけじゃない。音の正体と、隠れたおねだり作戦

ネコのゴロゴロは「うれしい」だけじゃない。音の正体と、隠れたおねだり作戦

読む前に予想してみよう!

ネコのゴロゴロは、気分がいいときにしか出ない

研究カード(どんな研究?)
対象
ネコの喉頭・飼いネコの録音
規模
摘出喉頭8例/ネコ10匹の録音など
研究の種類
実験室実験・音響分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ゴロゴロはのどの奥の声帯まわりの振動で出る音。満足のサインだけでなく、具合が悪い時や、ごはんのおねだりにも使われる。

ひとことで言うとゴロゴロは「しあわせ」だけじゃなく「ちょうだい」や「つらい」のときも出る!

もくじ
  1. ゴロゴロは「のどの奥」で鳴っている
  2. 2023年、「筋肉なしでも鳴る」という発見
  3. ごはんのおねだりには「赤ちゃんの声」を混ぜる
  4. 「つらいとき」にもゴロゴロする
  5. まとめ

なでていると聞こえてくる「ゴロゴロ…」。ネコと暮らす人にとって、いちばん幸せな音かもしれません。

でも、あの音はいったいどこから出ているのでしょう? そして、本当に「しあわせ」の合図なのでしょうか?

実は、ゴロゴロにはまだ解けていない謎と、意外な使い道が隠れていました。

01ゴロゴロは「のどの奥」で鳴っている

ゴロゴロ音の基本の高さは、およそ20〜30ヘルツ。人間の男性の低い声(100ヘルツ前後)よりさらに低い、おなかに響くような音です。

音の発生源は、のどの奥にある喉頭(こうとう)。声帯がある場所です。

昔から有力だったのは、こんな説明です。のどの筋肉が1秒間に何十回もピクピクと縮んだりゆるんだりして、声帯のすき間をすばやく開け閉めする。そこを空気が通るたびに振動が起きて、「ゴロゴロ」になる。しかも、ネコは息を吸うときも吐くときもゴロゴロを続けられます。

022023年、「筋肉なしでも鳴る」という発見

この結果は、「ゴロゴロは筋肉のピクピクで出る」という昔からの説明に、一石を投じるものでした。ただし、生きているネコがいつもこの仕組みだけで鳴っているのかは、まだわかっていません。筋肉の働きと、声帯のつくりの両方が関わっている可能性もあります。

身近なネコの、身近な音なのに、出し方がまだ完全にはわかっていない。これもまた「マジか!?」なポイントです。

ゴロゴロの発生源は、のどの奥の声帯のあたり。
ゴロゴロの発生源は、のどの奥の声帯のあたり。

03ごはんのおねだりには「赤ちゃんの声」を混ぜる

ゴロゴロにはもう一つ、驚きの使い道があります。

2009年にイギリス・サセックス大学のカレン・マコームさんたちが『Current Biology』で発表した研究では、飼い主にごはんをねだるときのゴロゴロを録音して分析しました。

すると、おねだりのゴロゴロには、ふつうのゴロゴロではごく弱い高い音が、強く混ざっていたのです。この高い音は、人間の赤ちゃんの泣き声に近い高さ。

人に聞かせると、おねだりのゴロゴロのほうが「急いでいる感じ」「あまり心地よくない感じ」と評価されました。ネコは、人間が放っておけない音を、ゴロゴロにまぎれこませているのかもしれません。

04「つらいとき」にもゴロゴロする

「ゴロゴロの振動が骨の治りを早める」という話を聞いたことがあるかもしれません。おもしろい仮説ですが、ネコで確かめた信頼できる研究はまだなく、証明されていない話です。

05まとめ

ネコのゴロゴロは、のどの奥の声帯まわりで生まれる低い振動。その出し方には、今も新しい発見が続いています。

そしてゴロゴロは、「しあわせ」だけでなく、「ちょうだい」や「つらい」も伝える、ネコの大切な言葉でした。今夜のゴロゴロは、どんな意味でしょうか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA cat's purr is a very low sound, around 20 to 30 hertz, and it comes from the larynx, where the vocal… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A cat's purr is a very low sound, around 20 to 30 hertz, and it comes from the larynx, where the vocal folds are. For a long time, scientists believed that throat muscles quickly opened and closed the vocal folds to make the sound.

However, in 2023, researchers in Vienna blew air through larynges taken from cats that had died, and they produced purr-like sounds without any signals from the brain. Special pads in the vocal folds seemed to slow the vibration. Purring also has surprising uses. A 2009 study found that when cats ask for food, they hide a high sound like a baby's cry inside the purr. People rated this purr as more urgent and less pleasant.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ネコのゴロゴロは約20〜30ヘルツのとても低い音で、声帯がある喉頭から出ています。長い間、科学者たちは、のどの筋肉が声帯をすばやく開け閉めしてこの音を出していると考えていました。

しかし2023年、ウィーンの研究者たちが、亡くなったネコから取り出した喉頭に空気を送ると、脳からの信号がまったくなくても、ゴロゴロに似た音が出ました。声帯にある特別なクッションが振動をゆっくりにしているようでした。ゴロゴロには意外な使い道もあります。2009年の研究では、ネコがごはんをねだるとき、赤ちゃんの泣き声のような高い音をゴロゴロの中に隠していることがわかりました。人々はこのゴロゴロを、より急を要し、あまり心地よくないと評価しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2023 study show?

Q2. What do cats hide inside the purr when they ask for food?

Q3. How does the 2023 study affect the older explanation of purring?

重要単語

  • purrB2
    動詞・名詞(ネコが)ゴロゴロ鳴くMy cat purrs when I stroke her back. 擬声語。エンジンが「静かに低くうなる」ときにも使う。
  • larynxC1
    名詞喉頭The purring sound comes from the larynx. 複数形は larynges。のど仏のあたりの器官。
  • vocal foldsC1
    名詞(句)声帯Air makes the vocal folds vibrate. vocal cords とも言う。vocal は「声の」(voice と同語源)。
  • frequencyB2
    名詞周波数、音の高さ、頻度A purr has a very low frequency. 日常では「頻度」の意味が基本。形容詞 frequent(頻繁な)。
  • solicitC1
    動詞せがむ、求めるCats may purr to solicit food from their owners. solicit advice「助言を求める」。硬い語で論文や新聞に出る。
  • contentmentC1
    名詞満足Purring does not always signal contentment. 形容詞 content(満足して)。be content with ~「~に満足している」は入試頻出。
ネコのゴロゴロ、実は「しあわせ」の合図だけじゃないらしい。ごはんをねだるときは、ゴロゴロの中に赤ちゃんの泣き声みたいな高い音をこっそり混ぜている、という研究まである。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Herbst et al. (2023) Domestic cat larynges can produce purring frequencies without neural input, Current Biologydoi.org
  2. McComb et al. (2009) The cry embedded within the purr, Current Biologydoi.org
  3. Remmers & Gautier (1972) Neural and mechanical mechanisms of feline purring, Respiration Physiologydoi.org