TOEIC 900点でも話せないのはなぜ? L&Rの点数と「話す力」の関係を公式研究で読む

読む前に予想してみよう!
TOEIC L&Rの点数が高ければ、英語を話す力も同じくらい高いと考えてよい
L&Rは聞く・読む力を測るテストで、話す力の予測には話すテストが最も役立つ。ただしL&Rの点数も補助的な情報になる。
- 対象
- 日本・韓国の受験者など
- 規模
- 数百〜数千人規模
- 研究の種類
- 相関研究・因子分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
TOEIC L&Rの点数は聞く・読むの自己評価とかなり対応。話す力の予測にはスピーキングテストが最適だが、L&Rの点を加えるとさらに正確になった。
ひとことで言うとTOEIC L&Rは「聞く・読む」の力を測るテスト。話す力は別に練習が必要!
「TOEIC 900点なのに、英会話になると全然話せない」。よく聞く話です。
これは「TOEICは役に立たない」ということなのでしょうか? それとも、テストが何を測っているかを誤解しているだけなのでしょうか。TOEICを作っている米国の教育試験機関ETSなどの研究から、点数の正しい読み方を見ていきます。
01L&Rは「聞く・読む」とはよく対応していた
つまりTOEIC L&Rは、少なくとも聞く・読むの日常タスクとの対応は、かなりしっかりしていたのです。
日本の研究者、印南と小泉による2011年の分析でも、TOEIC L&Rのリスニングとリーディングは「別の因子」だが、互いに強く関係していることが確かめられています。
02話す力は「話すテスト」が一番。でも……
では話す力はどうでしょう。
ここから言えることは2つです。
- 話す力を知りたいなら、話すテストが一番の手がかり。L&Rの点数だけで話す力を判断するのは無理がある
- それでも、聞く・読む力は話す力の土台。L&Rの点数にも、話す力についての情報は含まれている
「TOEIC 900点なのに話せない」は、テストの点がウソなのではなく、L&Rが「話す」を直接測っていないから起きる現象なのです。

03どんでん返し:研究の多くは「自己評価」頼み
ただし、注意点もあります。紹介した研究の多くは、実際の会話力を測ったのではなく、受験者の「できると思う」という自己評価を基準にしています。自己評価には、自信の差などのズレが入り込みます。
また、こうした研究の多くはテストを作るETSの研究者によるものです。査読つき学術誌・研究報告として公表されていますが、独立した第三者による検証もあわせて見ることが大切です。
04まとめ
TOEIC L&Rの点数は、聞く・読むの力とはしっかり対応しています。でも話す力は直接測っていないので、高得点でも話せないことは十分ありえます。
L&Rの点数は「土台の強さ」。その上に話す練習という別の柱を建てれば、点数と実力のギャップは埋まっていきます。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people wonder why someone with a TOEIC score of 900 may still struggle to speak English.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some people get a high TOEIC score but cannot speak English well. Why? The TOEIC Listening and Reading test measures listening and reading. It does not measure speaking directly.
A 2008 study found that people with higher scores said they could do more listening and reading tasks. To know your speaking level, a speaking test works best. But listening and reading are still the base of speaking, so practice speaking, too.
71 words ・ CEFR A2
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TOEICで高い点数をとっても、英語をうまく話せない人がいます。なぜでしょうか。TOEICのリスニング&リーディングテストは、聞く力と読む力を測るものです。話す力を直接測ってはいません。
2008年のある研究では、点数の高い人ほど、より多くの聞く・読むタスクができると答えていました。自分の話す力のレベルを知るには、スピーキングテストが一番です。でも、聞く力と読む力は話す力の土台でもあるので、話す練習もしましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
TOEIC L&R の点数が何を測り、何を測らないかがテーマなので C。
Q2. What is the best way to know your speaking level?
To know your speaking level, a speaking test works best. とあるので B。
Q3. In this passage, "base" in "the base of speaking" means ...
聞く・読む力は話す力を「支える土台」という意味なので D。
Many people wonder why someone with a TOEIC score of 900 may still struggle to speak English. The answer lies in what the test measures. In a 2008 study, Powers and his colleagues asked TOEIC Listening and Reading test takers in Japan and Korea how well they could do everyday English tasks. People with higher scores consistently reported being able to do more listening and reading tasks.
A later study of about 2,300 test takers found that speaking ability was best predicted by a speaking test score. Adding listening and other scores made the prediction even more accurate. So a high score is not false, but it does not directly show speaking ability. Learners who want to speak should practice speaking separately.
122 words ・ CEFR B1
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TOEICで900点をとった人が、なぜまだ英語を話すのに苦労することがあるのか、多くの人が不思議に思います。その答えは、テストが何を測っているかにあります。2008年の研究で、パワーズらは日本と韓国のTOEICリスニング&リーディングの受験者に、日常的な英語のタスクがどれくらいできるかを尋ねました。点数の高い人ほど、より多くの聞く・読むタスクができると一貫して答えていました。
約2,300人の受験者を対象にしたその後の研究では、話す力はスピーキングテストの点数によって最もよく予測されることがわかりました。リスニングなどほかの点数を加えると、予測はさらに正確になりました。つまり、高い点数はウソではありませんが、話す力を直接示しているわけではないのです。話せるようになりたい学習者は、話す練習を別に行うべきです。
4択リーディングクイズ
Q1. Who took part in the 2008 study?
test takers in Japan and Korea とあるので A。
Q2. What made the prediction of speaking ability even more accurate?
adding listening and other scores made the prediction even more accurate とあるので D。
Q3. What does the writer mean by "a high score is not false"?
点数は聞く・読む力とはよく対応しているが、話す力を直接は示さない、という意味なので B。
The familiar complaint that people with TOEIC scores of 900 cannot hold a conversation often reflects a misunderstanding of what the Listening and Reading test measures. Powers, Kim and Weng asked test takers in Japan and Korea to rate how well they could perform everyday English tasks. Higher scores were consistently associated with more "can do" responses for listening and reading, and the two sections appeared to tap partly distinct abilities.
In'nami and Koizumi confirmed that listening and reading form separate but strongly related factors. Speaking is another matter. Analyzing self-assessments from about 2,300 test takers, Powers and Powers found that speaking ability was predicted primarily by TOEIC Speaking scores, although adding scores from other sections, including listening, increased predictive accuracy. A high score is not misleading; it simply does not measure speaking directly.
Two limitations deserve mention. The criterion in these studies was usually self-assessment, which may be affected by confidence, and much of the research was conducted by ETS, the organization that develops the test, so independent verification is valuable. For learners, the practical implication is to treat the score as a foundation and to train speaking separately.
190 words ・ CEFR B2
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TOEICで900点をとった人が会話できないというおなじみの不満は、リスニング&リーディングテストが何を測っているかについての誤解を反映していることが多いのです。パワーズ、キム、ウェンは、日本と韓国の受験者に、日常的な英語のタスクをどれくらいうまくこなせるかを評価してもらいました。点数が高いほど、聞く・読むについての「できる」という回答が一貫して多く、2つのセクションはある程度異なる能力をとらえているようでした。
印南と小泉は、リスニングとリーディングが別々ながらも強く関連した因子を形成していることを確認しました。話す力は別の問題です。約2,300人の受験者の自己評価を分析したパワーズとパワーズは、話す力は主にTOEICスピーキングの点数によって予測されるが、リスニングを含むほかのセクションの点数を加えると予測の正確さが高まることを見いだしました。高い点数は誤解をまねくものではなく、単に話す力を直接測っていないだけなのです。2つの限界に触れておく価値があります。
これらの研究の基準はふつう自己評価であり、自信の影響を受けるかもしれません。また研究の多くは、テストを開発している組織であるETSによって行われたので、独立した検証が重要です。学習者にとっての実践的な示唆は、点数を土台とみなし、話す力は別に鍛えることです。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, why can people with high TOEIC scores struggle to speak?
it simply does not measure speaking directly とあるので B。点数がウソなのではない。
Q2. Which limitation of the research is mentioned?
The criterion in these studies was usually self-assessment, which may be affected by confidence とあるので C。ETS 自身による研究が多い点も限界として挙げられている。
Q3. What did In'nami and Koizumi confirm?
listening and reading form separate but strongly related factors とあるので A。
重要単語
- proficiencyC1名詞熟達度・(言語)能力The test measures English proficiency.
形容詞 proficient「熟達した」。be proficient in English。SLA・テスト研究の最頻出語の1つ。 - predictB1動詞予測するListening scores also predict speaking ability.
pre-(前に)+ dict(言う)。統計では「A が B を予測する=A から B をある程度当てられる」の意味で使う。 - self-assessmentC1名詞自己評価Test takers completed a self-assessment.
assess「評価する」。can-do リスト(~ができる)形式の自己評価がよく使われる。客観テストとズレることもある。 - factorB2名詞因子・要因Listening and reading are separate but related factors.
日常では「要因」。統計の因子分析(factor analysis)では、テストの背後にある能力のまとまりを指す。 - domainC1名詞領域Speaking is a different skill domain.
「ドメイン(インターネットの住所)」と同じ語。研究では「分野・領域」。domain-specific「領域固有の」。 - criterionC1名詞基準Self-assessment was used as the criterion.
複数形は criteria(単数と混同しやすい)。meet the criteria「基準を満たす」。 - verificationC1名詞検証・確認Independent verification of the results is valuable.
動詞 verify。independent verification「第三者による検証」は研究の信頼性を語るときの定番表現。
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- TOEIC Research(ETS)ets.org
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「TOEIC高得点なのに話せない」問題。TOEICの研究では、L&Rの点数は“聞く・読む”の力とはよく対応する一方、“話す”を予測するならスピーキングテストが一番。でもL&Rの点を足すと予測はもっと正確になったらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Powers, Kim & Weng (2008) The redesigned TOEIC (Listening and Reading) test: Relations to test-taker perceptions of proficiency in English. ETS Research Report Seriesdoi.org
- Powers & Powers (2014) The incremental contribution of TOEIC Listening, Reading, Speaking, and Writing tests to predicting performance on real-life English language tasks. Language Testingdoi.org
- In'nami & Koizumi (2011) Factor structure of the revised TOEIC test: A multiple-sample analysis. Language Testingdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。








