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「語源で覚える英単語」は本当に効く? 接頭辞・語根の研究が示した"効く範囲"と落とし穴

「語源で覚える英単語」は本当に効く? 接頭辞・語根の研究が示した"効く範囲"と落とし穴

読む前に予想してみよう!

英単語は、パーツに分ければ必ず意味が正しく推測できる

研究カード(どんな研究?)
対象
学齢期の子ども・大学生など
規模
30研究のメタ分析ほか
研究の種類
メタ分析+実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

接頭辞・接尾辞などの「単語のパーツ」を知ると語彙が広がる。ただ効果は中くらいで、分解が当てにならない単語もあるので"補助輪"として使うのが正解。

ひとことで言うと単語のパーツを知ると覚えやすい。でも全部の単語に使えるわけじゃない!

もくじ
  1. 英単語は「家族」でできている
  2. 研究のまとめ:効果は「中くらい」
  3. 日本人の大学生は、パーツをどれくらい知っている?
  4. 落とし穴:分解すると「ズレる」単語もある
  5. まとめ

unhappy、rewrite、portable、transport……。

英単語をパーツに分けて覚える「語源学習」。書店にはたくさんの語源本が並んでいます。一つの語根を覚えれば、関連する単語が芋づる式に覚えられる——魅力的ですよね。

でも、本当に効くのでしょうか。研究を見ると、答えは「効く。ただし範囲と使い方に注意」でした。

01英単語は「家族」でできている

ニュージーランドの言語学者バウアーとネーションは1993年、happy・happiness・unhappy・happily のように、元の単語と変化形・派生語をひとまとめにした「ワードファミリー(語族)」という考え方を整理しました。

その中で、-ness、un-、-ly のような接辞を使われる頻度や規則性で7段階に並べています。よく使われて規則的なパーツから順に覚えれば、1つの単語を知ることで、その家族の単語もわかりやすくなるというわけです。

02研究のまとめ:効果は「中くらい」

つまり、パーツの知識は単語レベルの力をある程度後押ししますが、それだけで長文がスラスラ読めるようになるわけではない、ということです。

パーツを組み合わせれば意味が見える。でも、似ているのにはまらないピースもある
パーツを組み合わせれば意味が見える。でも、似ているのにはまらないピースもある

03日本人の大学生は、パーツをどれくらい知っている?

日本の研究者・笹尾洋介(Sasao)らは、英語の接辞の知識を測る「Word Part Levels Test」を開発しました。開発には日本人大学生417人のデータが使われ、その後、30以上の母語をもつ1,348人のデータから、接辞ごとの難しさのレベルが決められています。

接辞の知識は、「形を見分ける」「意味がわかる」「品詞の変化がわかる」という3つの側面から測られます。たとえば -ness がつくと名詞になる、という知識も、語彙力の一部なのです。

04落とし穴:分解すると「ズレる」単語もある

ただし、語源学習には注意点もあります。

  • understand は「下に立つ」の意味の足し算では説明しにくい
  • pineapple はパイン(松)とアップル(りんご)を合わせた形なのに、松でもりんごでもない
  • re- で始まっても、ready や reason は「再び」とは関係がない

パーツから推測した意味は、文脈や辞書で確かめるのが鉄則です。

一方、イディオムでは語源が強力な助けになることがあります。ベルギーの研究では、イディオムの由来(もともとの文字どおりの場面)を知った学生は、比喩的な意味を推測しやすく、記憶にも残りやすかったと報告されています。

05まとめ

語源・パーツ学習は、中くらいの効果がある、頼れる補助輪でした。特に、よく使う接頭辞・接尾辞を押さえると、新しい単語の「とっかかり」が格段に増えます。

ただし、分解すれば何でもわかる魔法ではありません。パーツで推測、文脈と辞書で確認。この2段構えが、いちばん効く使い方です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany English words can be broken into parts, including prefixes such as un- and re-, suffixes such as -ness… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many English words can be broken into parts, including prefixes such as un- and re-, suffixes such as -ness and -able, and roots. In 1993, Bauer and Nation described 'word families', such as happy, happiness, unhappy and happily, and ranked word parts into seven levels by how common and regular they are.

In 2013, a meta-analysis of 30 studies found that teaching word parts to children had a moderate effect on vocabulary, spelling and word reading, but no clear effect on reading comprehension. The effect was larger for younger children. However, word parts can be misleading. 'Understand' is not simply 'stand under'.

102 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの英単語はパーツに分けることができ、un- や re- のような接頭辞、-ness や -able のような接尾辞、語根などがあります。1993年、バウアーとネーションは、happy、happiness、unhappy、happily のような「ワードファミリー」について説明し、単語のパーツを、どれだけよく使われ規則的かによって7段階に並べました。

2013年、30の研究をまとめたメタ分析は、子どもに単語のパーツを教えることが、語彙、つづり、単語を読む力に中程度の効果を持つ一方、文章の読解にははっきりした効果がないことを明らかにしました。効果は年齢が低い子どもほど大きくなりました。しかし、単語のパーツは誤解を招くこともあります。「understand」は単純に「下に立つ」ではないのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is a "word family"?

Q2. What did the 2013 meta-analysis find?

Q3. What would the author most likely advise?

重要単語

  • prefixB2
    名詞接頭辞(単語の前につくパーツ)"Un-" is a common prefix. pre(前に)+fix(固定する)。pre- 自体が「前」を表す接頭辞の例になっている。
  • suffixB2
    名詞接尾辞(単語の後ろにつくパーツ)"-ness" is a suffix that makes nouns. suf(下に、後に)+fix。品詞を変える働きがあり、品詞判別問題で役立つ。
  • rootB1
    名詞語根(単語の中心となるパーツ)The root "port" means "carry". port(運ぶ)→ export, import, transport, portable。「根」から「根本、原因」の意味も。
  • etymologyC1
    名詞語源The etymology of a word can be surprising. entomology(昆虫学)と綴りが似ているので注意。-logy は「学問」。
  • derivativeC1
    名詞・形容詞派生語/派生的な"Happiness" is a derivative of "happy". derive A from B「BからAを得る」、be derived from ~「~に由来する」は入試頻出の語法。
  • inferB2
    動詞推測するTry to infer the meaning from the context. 名詞 inference。読解の「推論問題」は inference question。imply(ほのめかす)との区別に注意。
  • affixC1
    名詞接辞(接頭辞と接尾辞の総称)Knowing common affixes helps you guess new words. af(~に)+fix(つける)。prefix と suffix をまとめた呼び方。

動画でもっと知る

「un-は否定」「-ableはできる」。語源やパーツで英単語を覚える方法は効くのか? 30研究をまとめた分析では、単語のパーツを教えると語彙などに中程度の効果があった。ただし分解すると逆に間違える単語もあるので要注意。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Bauer & Nation (1993) Word Families, International Journal of Lexicographydoi.org
  2. Goodwin & Ahn (2013) A Meta-Analysis of Morphological Interventions in English: Effects on Literacy Outcomes for School-Age Children, Scientific Studies of Readingdoi.org
  3. Sasao & Webb (2017) The Word Part Levels Test, Language Teaching Researchdoi.org
  4. Boers, Eyckmans & Stengers (2007) Presenting figurative idioms with a touch of etymology: more than mere mnemonics?, Language Teaching Researchdoi.org