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文法用語を言えなくても英語は話せる? "説明できる文法"と"使える文法"の研究

文法用語を言えなくても英語は話せる? "説明できる文法"と"使える文法"の研究

読む前に予想してみよう!

文法用語をたくさん知っている人ほど、外国語がうまく話せる

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・上級学習者
規模
100〜509人
研究の種類
相関研究+心理測定研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

文法を「説明できる知識」と「とっさに使える知識」は別物だった。用語の暗記だけでは話せないが、説明できる知識は練習しだいで"使える知識"の土台になりうる。

ひとことで言うと文法の名前を言えることと、使えることは別。でも知識はムダじゃない!

もくじ
  1. 2種類の「文法の知識」
  2. 文法用語を知っていても、語学力は高くない?
  3. でも、説明できる知識は「土台」になる
  4. まとめ

「関係代名詞の非制限用法」「分詞構文の付帯状況」「仮定法過去完了」……。

英語の授業で出てくる文法用語、正直ややこしいですよね。「こんな名前、覚えなくても英語は話せるでしょ?」と思ったことがある人も多いはず。

実はこの疑問、第二言語習得の研究では「明示的知識」と「暗示的知識」という大きなテーマにつながっています。

012種類の「文法の知識」

  • 明示的知識:「三単現には-sをつける」のように、意識して説明できる知識。文法用語もここに入る
  • 暗示的知識:ネイティブが「なんとなくこっちが自然」と感じるような、意識せずにとっさに使える知識

会話のスピードで英語を使うとき、主に働くのは暗示的知識だと考えられています。

つまり、文法を説明できる力と、とっさに使える力は、別の能力として測れるということです。

02文法用語を知っていても、語学力は高くない?

イギリスでは、フランス語を学ぶ大学1年生509人を対象に、文法を説明する知識(文法用語を含む)とフランス語の力の関係が調べられました。結果は、

  • 文法を説明する知識には大きな個人差があった
  • しかし、その知識とフランス語の力の関係は弱かった
  • 文法知識が多い学生ほど、大学でフランス語が伸びるという証拠もなかった

これだけ見ると「文法用語は覚えなくていい」となりそうです。

レシピの用語を知っていることと、料理ができることは別。でも、レシピが上達を助けることもある
レシピの用語を知っていることと、料理ができることは別。でも、レシピが上達を助けることもある

03でも、説明できる知識は「土台」になる

ところが、話はそう単純ではありません。

ドイツ語を学ぶ上級の大学生を調べた2008年の研究では、誤りを見つけて直し、規則を説明する力(言語を分析する力も含む)と、ドイツ語の力が強く関係していました。測り方によって、結果が変わるのです。

さらに、日本で暮らす日本語の上級学習者100人を調べた2017年の研究では、

  • 明示的に学ぶ適性が高い人ほど、練習で自動化された明示的知識を多く持っていた
  • そして、その自動化された明示的知識が、暗示的知識の習得を予測していた

という結果が出ました。説明できる知識が、練習を通じてスピードを身につけ、やがて感覚的な知識へつながっていく可能性を示した研究です。

04まとめ

文法用語を覚えても、それだけで英語が話せるようにはなりません。説明できる知識と、とっさに使える知識は別物だからです。

でも、説明できる知識はムダではない。理解して、たくさん練習してスピードをつけることで、少しずつ「感覚で使える文法」に育っていく。用語は、そのための地図なのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerResearchers distinguish two kinds of grammar knowledge. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Researchers distinguish two kinds of grammar knowledge. Explicit knowledge is knowledge you can consciously explain, such as grammar terms and rules. Implicit knowledge is knowledge you use quickly without thinking, as native speakers do. In 2005, Rod Ellis gave learners five types of tests on 17 grammar points.

The results divided clearly into two groups, one of tests that required quick answers and one of tests that allowed time to think. A British study of 509 university students of French found that knowledge of grammar terms and rules was only weakly related to their French ability. However, a 2017 study suggested that explicit knowledge, once automatized through practice, can help build implicit knowledge.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

研究者たちは、文法の知識を2種類に区別しています。明示的知識は、文法用語やルールのように、意識して説明できる知識です。暗示的知識は、ネイティブスピーカーのように、考えずにすばやく使える知識です。2005年、ロッド・エリスは学習者に17の文法項目について5種類のテストを受けてもらいました。

結果は、すばやく答える必要があるテストと、考える時間があるテストの2つのグループにはっきり分かれました。フランス語を学ぶ509人の大学生を対象にしたイギリスの研究では、文法用語やルールの知識とフランス語の力との関係は弱いものでした。しかし2017年の研究は、明示的知識が練習によって自動化されると、暗示的知識を築く助けになりうることを示唆しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is implicit knowledge?

Q2. What did the British study of 509 students find?

Q3. What is the best advice based on the passage?

重要単語

  • explicit knowledgeC1
    名詞(句)明示的知識(説明できる知識)Explicit knowledge helps you check your writing. explicit は「明白な、はっきり述べられた」。implicit(暗黙の)との対比は入試の語彙問題で頻出。
  • implicit knowledgeC1
    名詞(句)暗示的知識(感覚的に使える知識)Native speakers use implicit knowledge when they talk. implicit は「暗黙の、言葉に出さない」。動詞 imply(ほのめかす)と同語源。
  • metalinguisticC1
    形容詞言語について語る・メタ言語のMetalinguistic knowledge includes grammar terms. meta-(~を超えた、~についての)+linguistic。metacognition(メタ認知)も同じ発想の語。
  • grammaticality judgmentC1
    名詞(句)文法性判断(文が正しいか判断すること)The grammaticality judgment test had a time limit. 入試の正誤問題(誤り指摘)は、まさに時間制限なしの文法性判断にあたる。
  • automatizeC1
    動詞自動化するPractice helps you automatize grammar rules. automatic(自動的な)の動詞形。automate(機械で自動化する)と区別して使われることが多い。
  • interfaceB2
    名詞接点・つながりIs there an interface between explicit and implicit knowledge? inter(間の)+face(面)。ITでは「画面や操作の仕組み」の意味でおなじみ。
  • consciouslyB2
    副詞意識してShe consciously used the new grammar rule. 反対は unconsciously。形容詞 conscious は be conscious of ~「~に気づいている」で頻出。

動画でもっと知る

「関係代名詞の非制限用法」と言えなくても英語は話せる? 英国の大学生509人の研究では、文法を説明する知識と語学力の関係は弱かった。でも別の研究では、説明できる知識が練習で自動化し、“感覚的な文法”の土台になる可能性が示された。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Ellis (2005) Measuring Implicit and Explicit Knowledge of a Second Language: A Psychometric Study, Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  2. Alderson, Clapham & Steel (1997) Metalinguistic knowledge, language aptitude and language proficiency, Language Teaching Researchdoi.org
  3. Roehr (2008) Metalinguistic Knowledge and Language Ability in University-Level L2 Learners, Applied Linguisticsdoi.org
  4. Suzuki & DeKeyser (2017) The Interface of Explicit and Implicit Knowledge in a Second Language, Language Learningdoi.org