語学・英語学習ホント

ネイティブの英語は約半分が「決まり文句」でできていた。チャンクで覚えると話せる理由

ネイティブの英語は約半分が「決まり文句」でできていた。チャンクで覚えると話せる理由

読む前に予想してみよう!

ネイティブの英語は、ほとんどがその場で単語を1つずつ組み立てて作られている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の母語話者・学習者
規模
32人の授業実験ほか
研究の種類
コーパス分析+読み時間実験+授業実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

英語の文章や会話は、平均して約半分が「できあいの言い回し」でできているという分析がある。決まり文句は速く処理でき、使える人ほど上手に聞こえる。

ひとことで言うと英語は単語のパズルより、決まったフレーズのブロック遊びに近かった!

もくじ
  1. 英語は「組み立て」と「できあい」のミックス
  2. 決まり文句は「速く」処理できる
  3. チャンクを使える人は「上手に聞こえる」
  4. まとめ

英語を話すとき、頭の中でこんなことをしていませんか。

「主語は I、動詞は……want、それから to 不定詞で……」

一語ずつ組み立てていたら、会話のスピードに追いつけないのは当然です。では、ネイティブはどうやってあんなに速く話しているのでしょう。

答えのヒントは、英語の約半分が「決まり文句」でできているという研究にありました。

01英語は「組み立て」と「できあい」のミックス

イディオムや決まり文句は「例外的な表現」と思われがちですが、実は英語の主役級だったのです。

1980年代にはすでに、言語学者ポーリーとサイダーが「ネイティブは、文法的に正しい無数の文の中から、決まった言い方を選んで使っている」と指摘していました。たとえば「I want you to marry me」も文法的には正しいのに、プロポーズでは普通「Will you marry me?」と言います。

02決まり文句は「速く」処理できる

では、チャンクを知っていると何がいいのか。

ノッティンガム大学のコンクリンとシュミットは2008年、決まり文句と、そうでない語の並びの読み時間を比べました。その結果、

  • 決まり文句(take the bull by the horns など)のほうが速く読まれた
  • この「速さのメリット」は、ネイティブだけでなく英語学習者にも見られた

ひとかたまりで覚えた表現は、一語ずつ処理するより速く読める傾向があるのです。

できあいのパーツなら、組み立てる手間がいらない。言葉も同じ
できあいのパーツなら、組み立てる手間がいらない。言葉も同じ

03チャンクを使える人は「上手に聞こえる」

さらに、チャンクを意識させる授業の効果を調べた実験もあります。

ベルギーで英語を専攻する大学生32人が、22時間の授業で本物の英語の音声や文章を大量に使いました。そのうち17人のクラスでは、教材の中の決まった言い回しに気づかせる指導を行いました。

授業後のスピーキング面接で、どちらのクラスの学生か知らない評価者が採点すると、チャンクを意識したクラスのほうが「英語がうまい」と評価されたのです。しかも、会話で使われた決まり文句の数と、評価の高さには関連がありました。

04まとめ

英語は、単語を一つずつ並べるパズルではなく、できあいのブロックを組み合わせる遊びに近いものでした。

単語だけでなく、よく一緒に使われるかたまりごと覚えておく。それが、「えーと」を減らして速く話すための、いちばん自然な近道です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 2000, the Swedish linguists Erman and Warren analyzed spoken and written English. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 2000, the Swedish linguists Erman and Warren analyzed spoken and written English. They found that, on average, about half of the language consisted of prefabricated phrases such as 'in fact', 'I'm afraid' and 'make sure'. In 2008, Conklin and Schmitt compared reading times and found that formulaic sequences were read faster than other word strings, not only by native speakers but also by learners.

In another study in Belgium, 32 university students took a 22-hour English course. In one class of 17 students, the teacher helped learners notice fixed phrases. In speaking interviews after the course, these students were judged to be more proficient.

105 words ・ CEFR B1

和訳を見る

2000年、スウェーデンの言語学者エルマンとウォレンは、話し言葉と書き言葉の英語を分析しました。彼らは、平均して英語の約半分が「in fact」「I'm afraid」「make sure」のような、あらかじめ作られたフレーズでできていることを発見しました。2008年、コンクリンとシュミットは読む時間を比べ、定型表現は他の語の並びより速く読まれること、しかもそれがネイティブスピーカーだけでなく学習者にも当てはまることを見いだしました。

ベルギーでの別の研究では、32人の大学生が22時間の英語の授業を受けました。17人のクラスでは、先生が学習者に決まった言い回しに気づかせる指導をしました。授業後のスピーキング面接で、この学生たちのほうが英語が上手だと評価されました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Conklin and Schmitt find?

Q2. How many students were in the class that focused on fixed phrases?

Q3. Which piece of advice fits the passage best?

重要単語

  • chunkB2
    名詞ひとかたまりの表現"By the way" is a useful chunk. もとは「(肉・木などの)大きなかたまり」。a chunk of ~「かなりの量の~」の意味もある。
  • formulaic sequenceC1
    名詞(句)定型表現(決まった言い回し)Formulaic sequences help you speak smoothly. formula(公式、決まった型)の形容詞 formulaic。研究によって定義が異なる点に注意。
  • prefabricatedC1
    形容詞あらかじめ作られた・できあいのMuch of our speech is prefabricated. pre(前もって)+fabricate(組み立てる)。プレハブ(prefab)住宅の語源。
  • processB2
    動詞処理するThe brain processes familiar phrases quickly. 名詞の「過程」と同じ綴り。動詞では「(情報・食品などを)処理・加工する」。processed food「加工食品」。
  • idiomaticC1
    形容詞慣用的な・自然な言い回しのHer English sounds very idiomatic. idiom(慣用句)の形容詞。idiomatic English は「ネイティブらしい自然な英語」の意味でも使う。
  • nativelikeC1
    形容詞母語話者のようなNativelike selection is hard for learners. native-like とハイフンで書くことも多い。-like は「~のような」(childlike, lifelike)。
  • conventionalB2
    形容詞慣習的な、従来の"Will you marry me?" is the conventional way to propose. convention(慣習、大会)の形容詞。conventional wisdom「一般通念」は長文で頻出。

動画でもっと知る

4コマでわかる

ネイティブの英語は約半分が「決まり文句」でできていた。チャンクで覚えると話せる理由の4コマ漫画
ネイティブの英語を分析したら、話し言葉でも書き言葉でも平均して約半分が「できあいの言い回し」だったらしい。しかも決まり文句は学習者でも速く読める。単語を1つずつ組み立てるより、チャンクで覚えると話せる理由がここに。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Erman & Warren (2000) The idiom principle and the open choice principle, Textdoi.org
  2. Conklin & Schmitt (2008) Formulaic Sequences: Are They Processed More Quickly than Nonformulaic Language by Native and Nonnative Speakers?, Applied Linguisticsdoi.org
  3. Boers et al. (2006) Formulaic sequences and perceived oral proficiency: putting a Lexical Approach to the test, Language Teaching Researchdoi.org
  4. Wray (2002) Formulaic Language and the Lexicon, Cambridge University Pressdoi.org