体と健康・食ホント

座りすぎの害は、1日どれくらい動けば帳消しになる? 100万人分析の答えは「約1時間」

座りすぎの害は、1日どれくらい動けば帳消しになる? 100万人分析の答えは「約1時間」

読む前に予想してみよう!

長時間座っていても、こまめに立って少し歩くと、食後の血糖値の上がり方が小さくなったという実験がある

研究カード(どんな研究?)
対象
世界の成人(13研究)
規模
100万人以上
研究の種類
前向きコホート研究のメタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

100万人以上の分析で、座る時間が長いほど死亡リスクが高い傾向。ただし1日60〜75分ほど中くらいの運動をする人では、その関連がほぼ見られなかった。

ひとことで言うと座りすぎは体に悪い。でも1日1時間くらい動けば、かなり打ち消せるかも!

もくじ
  1. 日本人は「座りすぎ大国」?
  2. 100万人以上のデータで見えた「打ち消しライン」
  3. なぜ座りっぱなしがよくないの?
  4. 1時間なんて無理!という人へ
  5. まとめ

授業、通学の電車、スマホ、ゲーム、デスクワーク……。気づけば、1日の大半を座って過ごしている人は多いはず。

「座りすぎは体に悪い」と聞いたことがあると思います。では、どれくらい悪くて、どうすれば打ち消せるのか。

100万人以上のデータをまとめた研究が、ひとつの目安を出していました。

01日本人は「座りすぎ大国」?

2011年に『American Journal of Preventive Medicine』に載った国際比較の研究では、20か国の人たちの1日の座っている時間が調べられました。その中で、日本は座っている時間が長い国のグループに入っていました。

アンケート調査なので国ごとの答え方のちがいもありますが、日本人にとって座りすぎは他人事ではなさそうです。

02100万人以上のデータで見えた「打ち消しライン」

「中くらいの強さ」は、早歩きや自転車こぎくらいのイメージ。少し息が上がるけれど、会話はできる程度の運動です。

一方で、ほとんど運動しない人では、座る時間が長いほど死亡リスクが高い傾向がはっきり出ていました。また、テレビを長時間見る習慣については、運動量が多い人でもリスクが残る傾向があったそうです。

座りすぎの重さは、毎日の運動で“つり合わせる”ことができるかもしれない
座りすぎの重さは、毎日の運動で“つり合わせる”ことができるかもしれない

03なぜ座りっぱなしがよくないの?

座っている間、特に太ももなど下半身の大きな筋肉はほとんど働いていません。大きな筋肉は、血液中の糖や脂肪をエネルギーとして使う大口のお客さん。そのお客さんが長時間お休みしていると、食後の血糖値などが下がりにくくなると考えられています。

立ったり歩いたりするだけでも、このお客さんが少しずつ“来店”してくれるわけです。

041時間なんて無理!という人へ

「毎日60分以上なんて無理」という人も多いですよね。でも、ほかにも希望の持てる研究があります。

オーストラリアのダンスタン(Dunstan)さんらが2012年に『Diabetes Care』で発表した実験では、太り気味の大人に長時間座ってもらう際、20分ごとに2分ほど軽く歩く時間を入れたところ、食後の血糖値やインスリンの上がり方が小さくなったと報告されています。

さらに2026年に『Lancet』で発表された分析(ノルウェー・スウェーデン・アメリカの約4万人の加速度計データ)では、座る時間を1日30分減らす、中くらい〜強めの運動を1日5分増やすといった小さな変化でも、集団全体で見ると死亡の数%〜1割ほどを防げる可能性があると推計されました。ただしこれは観察データにもとづく「もしも」の計算で、実際に介入して確かめた数字ではありません。

05まとめ

座りすぎは、たしかに体にとってリスク。でも1日60〜75分ほどの中くらいの運動で、その関連はかなり打ち消せる可能性がありました。

いきなり1時間は無理でも、まずは30分に1回立ち上がるところから。イスから離れる数分が、未来の自分への投資です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people spend most of the day sitting at school, at work or in front of screens. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people spend most of the day sitting at school, at work or in front of screens. In 2016, a team led by Ekelund combined data from 13 studies with more than one million adults. They found that people who sat for long hours and exercised little had a higher risk of death.

However, for people who did about 60 to 75 minutes of moderate activity a day, such as brisk walking or cycling, long sitting time was hardly linked to higher risk. When we sit, large leg muscles do almost no work, so they use less sugar and fat. In a 2012 experiment, short walks every 20 minutes reduced the rise in blood sugar after meals.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人は、学校や職場、画面の前で、1日のほとんどを座って過ごしています。2016年、エケルンドさんが率いるチームは、13の研究から100万人以上の大人のデータをまとめました。その結果、長時間座っていてほとんど運動しない人は、死亡リスクが高いことがわかりました。

しかし、早歩きや自転車こぎのような中くらいの強さの運動を1日約60〜75分している人では、座る時間が長くても、リスクの上昇とはほとんど関連していませんでした。座っている間、脚の大きな筋肉はほとんど働かないので、糖や脂肪をあまり使いません。2012年の実験では、20分ごとに短く歩くと、食後の血糖値の上昇が小さくなりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What did the 2012 experiment show?

Q3. Why might sitting for a long time be harmful?

重要単語

  • sedentary behaviorC1
    名詞(句)座りがちな行動Sedentary behavior includes watching TV and gaming. sedentary はラテン語 sedere(座る)から。sedentary lifestyle「座りがちな生活」もセットで頻出。
  • moderate-intensityC1
    形容詞中程度の強度のBrisk walking is a moderate-intensity activity. intensity は intense(強烈な)の名詞。high-intensity(高強度の)と対比して覚える。
  • offsetC1
    動詞相殺する、打ち消すExercise may offset the risks of sitting. off+set。活用は offset-offset-offset。make up for や counterbalance と言いかえ可能。
  • blood glucoseC1
    名詞(句)血糖Short walks lowered blood glucose after meals. glucose はブドウ糖。blood sugar より専門的な言い方。
  • prolongedC1
    形容詞長時間の、長引くProlonged sitting is common among office workers. 動詞 prolong(延長する)から。long が入っているので「長くする」と覚えやすい。
  • briskB2
    形容詞きびきびした、早足のA brisk walk after dinner is good for you. brisk walking「早歩き」がセット。business is brisk「商売が活発だ」という使い方もある。
  • rule outB2
    動詞(句)除外する、可能性を否定するWe cannot rule out other explanations. cannot rule out ~「~の可能性を否定できない」は研究の限界を述べる定番表現。

動画でもっと知る

座りすぎは体に悪いってよく聞くけど、100万人以上のデータを分析したら、1日60〜75分ほど早歩きくらいの運動をしている人では、座る時間の長さと死亡リスクの関連がほぼ消えていたらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Ekelund et al. (2016) Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women, Lancetdoi.org
  2. Dunstan et al. (2012) Breaking Up Prolonged Sitting Reduces Postprandial Glucose and Insulin Responses, Diabetes Caredoi.org
  3. Bauman et al. (2011) The Descriptive Epidemiology of Sitting: A 20-Country Comparison Using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ), American Journal of Preventive Medicinedoi.org
  4. Ekelund et al. (2026) Deaths potentially averted by small changes in physical activity and sedentary time: an individual participant data meta-analysis of prospective cohort studies, Lancetdoi.org