Valentine's Day

バレンタインデーの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? バレンタインデーの本当の話を、確かな資料でたどります。

1バレンタインデーの由来:聖バレンタインは何をした人?

愛の日の主人公、聖バレンタイン。ところが、この人について確かなことは、ほとんど何もわかっていません。

名前はラテン語でバレンチヌス(Valentinus)。3世紀ごろのローマで、キリスト教を信じたために処刑された人だと伝えられています。しかも記録には、同じ名前で2月14日に記念される人が少なくとも2人出てきます。1人はローマの司祭、もう1人はローマの北にある町テルニの司教です。この2人は同じ人物だったのではないか、という学者もいます。

5世紀の終わりごろ、ローマ教皇ゲラシウス1世の時代に、2月14日は聖バレンチヌスの記念日として教会の暦に入ったとされます。8世紀の教会の典礼書にも、この日の記念が書かれています。

有名な「皇帝が兵士の結婚を禁止したので、バレンタインがこっそり結婚式をあげた」という話。これは後の時代に広まった伝説で、当時の記録で確かめることはできません。「処刑の前に、看守の娘へ『あなたのバレンタインより』と手紙を書いた」という話も同じく伝説です。

あまりに資料が少ないため、カトリック教会は1969年の暦の見直しで、聖バレンタインを全世界共通の記念日のリストから外し、地域ごとに祝う聖人にしました。それでも、アイルランドのダブリンにあるホワイトフライアー・ストリート教会には、1836年にローマ教皇から贈られたという聖バレンタインの遺骨がまつられています。2月14日には、結婚をひかえたカップルが指輪の祝福を受けに訪れます。

バレンタインデー(Valentine's Day)のイラスト

2バレンタインの歴史:「愛の日」にしたのは鳥の詩だった

もともと、聖バレンタインの日と恋愛には何の関係もありませんでした。2つを結びつけた最初の記録は、1380年代のイギリスの詩です。

作者は詩人ジェフリー・チョーサー。『鳥の議会(Parliament of Fowls)』という詩の中で、「聖バレンタインの日、すべての鳥が相手を選びにやってくる」と書きました。春が近づき、鳥がつがいになる季節。この詩をきっかけに、イギリスやフランスの宮廷で、2月14日に恋の詩を贈る遊びが広まったと考えられています。

現存する最古のバレンタインの手紙を書いたのは、フランスのオルレアン公シャルルです。1415年のアジャンクールの戦いでイギリス軍に捕まり、ロンドン塔などで約25年も捕虜として過ごしました。その間に、妻を「私のとてもやさしいバレンタイン」と呼ぶ詩を書いています。

英語で書かれた最古のものは1477年2月。マージェリー・ブルーズという女性が、婚約者ジョン・パストンに「私の大好きなバレンタイン」と呼びかけた手紙です。持参金の額で両家がもめていたさなかで、「お金が少なくても私を選んで」という切ない内容でした。2人はその年のうちに結婚しています。

カードの時代が来たのは19世紀です。イギリスでは1797年に、男性向けのラブレターの文例集が出版されました。1840年に全国一律の安い郵便料金(ペニー郵便)が始まると、カードは一気に増えます。1835年に約6万通だったバレンタインカードは、郵便改革の翌年には40万通になったといわれます。アメリカでは1847年ごろ、マサチューセッツ州のエスター・ハウランドが紙のレースで飾ったカードを売り出し、「アメリカのバレンタインカードの母」と呼ばれました。1868年にはイギリスのキャドバリー社が、ハート形の箱入りチョコレートを売り出しています。

🕰️ バレンタインデーの年表

  1. 3世紀ごろローマでキリスト教徒のバレンチヌスが処刑されたと伝えられる(同じ名前の聖人が少なくとも2人いる)。
  2. 5世紀末教皇ゲラシウス1世の時代に、2月14日が聖バレンチヌスの記念日として教会の暦に入ったとされる。
  3. 1380年代チョーサーの詩『鳥の議会』が、聖バレンタインの日と恋を結びつけた最初の記録になる。
  4. 1415年以降アジャンクールの戦いで捕虜になったオルレアン公シャルルが、イギリスで妻にあてて「バレンタイン」の詩を書く。
  5. 1477年マージェリー・ブルーズが婚約者に「私のバレンタイン」と書いた、英語で最古のバレンタインの手紙。
  6. 1797年イギリスで、バレンタインの手紙の文例集が出版される。
  7. 1840年イギリスでペニー郵便が始まり、バレンタインカードが爆発的に増える。
  8. 1847年ごろアメリカのエスター・ハウランドが、紙レースのカードを売り出す。
  9. 1868年キャドバリー社がハート形の箱入りチョコレートを売り出す。
  10. 1936年神戸のモロゾフが英字新聞に、バレンタインにチョコを贈ろうという広告を出す。
  11. 1958年メリーチョコレートが新宿伊勢丹でバレンタインセール。売り上げは170円。
  12. 1969年カトリック教会が、聖バレンタインを全世界共通の記念日のリストから外す。
  13. 1980年代日本で義理チョコが職場に定着。ホワイトデーも始まる。
  14. 2018年ゴディバ・ジャパンが新聞に「日本は、義理チョコをやめよう。」の全面広告。

3「Valentine」の意味:もとは「元気で強い」という名前

Valentine という名前は、ラテン語の valens(強い、元気な)から来ています。日本語にすると「元気くん」「強志さん」のような、ごくふつうの名前でした。

英語の valentine には、意味が3つあります。1つめは聖人の名前。2つめは、この日に贈るカードや手紙そのもの。「I got three valentines!」は「カードを3枚もらった!」という意味です。3つめは、カードを贈る相手、つまり恋人のこと。カードの決まり文句「Will you be my Valentine?」は「私の恋人になってくれませんか」という告白の言葉です。

正式な名前は Saint Valentine's Day(聖バレンタインの日)で、ふだんは Valentine's Day と短く呼びます。's を忘れて Valentine Day と書くのはよくあるまちがいです。

日本語では「バレンタイン」と書くのが一般的ですが、もとの発音に近い「ヴァレンタイン」という表記も見かけます。フィンランドではこの日を ystävänpäivä(友だちの日)と呼び、恋人より友だちを大切にする日になっています。名前が変われば、中身も変わるのです。

4海外のバレンタインの過ごし方:男性も、子どもも、ペットにも

2026年、アメリカ人がバレンタインデーに使うと予想されたお金は、291億ドル(4兆円以上)。全米小売業協会(NRF)の調査で、過去最高の数字です。

アメリカのバレンタインの大きな特徴は、男性も女性も贈ること。むしろ男性が恋人や妻に、赤いバラ、アクセサリー、チョコレート、カードを贈り、レストランを予約するのが定番です。NRFの調査では、金額で一番多いのはジュエリー(約70億ドル)で、次がディナーなどのお出かけでした。

子どもたちも参加します。小学校では、クラス全員に小さなカードとキャンディーを配るのがおなじみの行事です。「全員に配る」というルールの学校も多く、仲良しだけに渡して誰かが悲しい思いをしないよう工夫されています。2026年の調査では、クラスメートや先生への贈り物に約22億ドルが使われると予想されました。

さらに、35%の人がペットにもプレゼントを買う予定と答えています。総額は約21億ドル。犬や猫も、すっかり「バレンタイン」の一員です。

カードの数も桁違いです。カード会社ホールマークによると、アメリカでは毎年1億4500万枚以上のバレンタインカードが贈られ、クリスマスに次ぐ「カードの日」になっています。カードには短い言葉を手書きで添えるのがふつうで、「Roses are red, violets are blue(バラは赤い、スミレは青い)」で始まる昔ながらの詩を、自分流に替え歌にして楽しむ人もいます。

🎁 シンボルと小物

❤️ハートheart

愛のしるし。カードにも、チョコの形にも、箱にも使われる。英語の heart は「心臓」と「心」の両方の意味。

🏹キューピッドCupid

ローマ神話の愛の神。弓矢で射られた人は恋に落ちるとされる。翼のある男の子の姿で、カードの絵の定番。

🌹赤いバラred rose

欧米では男性が恋人に贈る花の代表。この時期はバラの値段がぐっと上がる国も多い。

💌バレンタインカードvalentine card

英語ではカードそのものを a valentine と呼ぶ。アメリカでは毎年1億4500万枚以上が贈られる。

🐦つがいの小鳥lovebirds

チョーサーの詩で「鳥が相手を選ぶ日」とされたことから、2羽の小鳥はバレンタインの古いモチーフ。英語の lovebirds は「熱々のカップル」という意味にもなる。

🎀紙のレースpaper lace

19世紀のカードは、レースのように細かく切り抜いた紙で飾られた。今も手作りカードの定番の飾り。

🍽️ この日の食べ物

🍫ハート形の箱入りチョコheart-shaped box of chocolates

1868年にイギリスのキャドバリー社が売り出したのが始まりとされる。日本でもバレンタインのチョコの定番の形。

🍬メッセージ入りハートキャンディーconversation hearts

BE MINE、HUG ME などの短い言葉が印刷された、パステルカラーのハート形のお菓子。アメリカのクラスでの交換の定番。

🍓チョコがけイチゴchocolate-covered strawberries

イチゴを溶かしたチョコにくぐらせたもの。欧米の手作りデザートの人気者。

🍜チャジャンミョンjajangmyeon

韓国で4月14日の「ブラックデー」に、恋人のいない人が食べる黒いみそ味の麺。

🧁手作りチョコhomemade chocolate

日本では、溶かして型に入れたチョコやトリュフ、ブラウニーを手作りして友だちと交換する人が多い。

5日本のバレンタイン:義理チョコ・本命チョコ・友チョコはこうして生まれた

日本で「バレンタインにチョコを」と呼びかけた最初の広告は、1936年。神戸の洋菓子店モロゾフが、英字新聞『ザ・ジャパン・アドバタイザー』に出したものです。英語の新聞なので、読んだのは主に日本に住む外国人でした。

1958年2月12日から14日、東京・新宿の伊勢丹で、メリーチョコレートが「バレンタインセール」という手書きの札を出します。社員がパリの友人からもらった絵はがきで、この日を知ったのがきっかけでした。ところが3日間で売れたのは、50円の板チョコ3枚と20円のカード1枚、合計170円だけ。それでも会社は翌年もセールを続け、ハート形のチョコに「年に一度、女性から男性に愛の告白を」という言葉を添えました。

こうして日本では「女性が好きな男性にチョコを渡して告白する日」という独自の形ができます。1970年代には中高生を中心に広まりました。本当に好きな人へのチョコは、のちに本命チョコと呼ばれるようになります。

1980年代、女性が職場で働くことが当たり前になると、上司や同僚の男性に配る義理チョコが定着します。「義理」は「おつきあいの決まり」という意味で、英語では obligation chocolate(義務のチョコ)と訳されます。もらった男性が3月14日にお返しをする「ホワイトデー」も、この時代に生まれました。

2000年代には、女の子どうしで交換する友チョコ、自分へのごほうびに買う自分チョコ(ごほうびチョコ)が広がります。男性から女性へ贈る逆チョコも、菓子会社が売り出しました。

2018年2月、高級チョコのゴディバ・ジャパンが日本経済新聞に「日本は、義理チョコをやめよう。」という全面広告を出し、大きな話題になります。2026年1月のクロス・マーケティングの調査では、チョコの予算の平均は本命用2,829円、自分用2,243円、義理用1,090円。今や「自分のために買う日」でもあるのです。

6世界のバレンタイン:2月14日じゃない国、男性が贈る国

「誰が、誰に、何を贈るか」は、国によって驚くほどちがいます。

韓国は日本と同じく2月14日に女性がチョコを贈り、3月14日のホワイトデーに男性がお返しをします。そして4月14日は「ブラックデー」。どちらの日にも何ももらえなかった人が、黒いソースの麺チャジャンミョンを食べる日です。

台湾では反対に、2月14日に男性が女性へ贈り、ホワイトデーに女性がお返しをするとされます。中国には旧暦7月7日の「七夕(チーシー)」という恋人の日があり、こちらが「中国のバレンタイン」と呼ばれます。

ブラジルでは2月14日をほとんど祝いません。恋人の日は6月12日の「ディア・ドス・ナモラードス」。1949年ごろ、サンパウロの広告会社が、6月の売り上げを伸ばすために考えた日だといわれます。翌6月13日が「縁結びの聖人」聖アントニオの日なので、その前日が選ばれました。

イギリスのウェールズには、1月25日の「聖ドゥインウェンの日」という、ウェールズ独自の恋人の守護聖人の日があります。そして西アフリカのガーナでは、2005年から2月14日を「国民チョコレートの日」にしました。ガーナはカカオの一大産地。愛の日を、自分の国のカカオを味わう日に変えてしまったのです。

7バレンタインのよくある誤解とホントのところ

誤解1:「バレンタインは女性が男性にチョコを贈る日」
これは日本(と、その影響を受けた韓国など)の形です。欧米では男性も女性も贈り、どちらかといえば男性が花やディナーを用意する日です。チョコに限らず、カード・バラ・アクセサリーが定番です。

誤解2:「聖バレンタインは、禁じられた兵士の結婚式をあげた人」
この話は後の時代の伝説です。聖バレンタインの生涯はほとんどわかっておらず、恋愛と結びついたのは、亡くなってから1000年以上あとのチョーサーの詩からです。

誤解3:「古代ローマのルペルカリア祭がバレンタインの起源」
2月15日ごろのルペルカリア祭は、たしかにローマの古い祭りです。ゲラシウス1世がこの祭りをやめさせた、という話もあります。でも、それとバレンタインの記念日をつなぐ証拠は見つかっていません。「起源説の1つ」くらいに考えるのが正確です。

誤解4:「日本のバレンタインは〇〇社が始めた」
モロゾフ(1936年の広告)、メリーチョコレート(1958年のセール)など、名乗りを上げる会社はいくつもあります。どれも「早い例」で、1社だけで広めたわけではありません。百貨店、菓子会社、雑誌、そして実際にチョコを買った人たちが、少しずつ今の形を作りました。

誤解5:「バレンタインは世界中の祝日」
祝日にしている国はありません。サウジアラビアのように、かつてバレンタインの品物の販売が取り締まられた国もあります。

💡Fun Factsバレンタインデーの豆知識 10連発

No.1

1958年、新宿伊勢丹の最初のバレンタインセールで売れたのは、50円の板チョコ3枚と20円のカード1枚。3日間で合計170円だった。

At Japan's first Valentine's sale in 1958, the shop sold only three chocolate bars and one card.

No.2

現存する最古のバレンタインの詩を書いたオルレアン公シャルルは、1415年に戦場で捕まり、イギリスで約25年も捕虜だった。解放は1440年。

A French duke wrote very old valentine poems in an English prison. He stayed there for about 25 years.

No.3

英語で最古のバレンタインの手紙は1477年。書いたマージェリーは、持参金が少ないことで結婚を反対されていたが、手紙の数か月後に無事結婚した。

The oldest valentine letter in English is from 1477. The writer married her Valentine the same year.

No.4

日本で最初の「バレンタインにチョコを」の広告(1936年、モロゾフ)は英語の新聞に載ったので、ほとんどの日本人は読めなかった。

Japan's first Valentine's chocolate ad was in English, so most Japanese people could not read it.

No.5

アイルランド・ダブリンの教会には、1836年にローマ教皇から贈られたという聖バレンタインの遺骨がある。2月14日には指輪の祝福を受けるカップルが訪れる。

A church in Dublin, Ireland, says it has bones of Saint Valentine. They arrived from Rome in 1836.

No.6

イギリスで安いペニー郵便が始まった1840年の翌年、バレンタインカードは約40万通に。1835年の約6万通から一気に増えた。

Cheap stamps came to Britain in 1840. The next year, people sent about 400,000 valentines.

No.7

2026年、アメリカでは35%の人がペットにバレンタインの贈り物を買う予定と答え、その総額は約21億ドルと予想された。

In 2026, about one third of Americans planned to buy Valentine's gifts for their pets.

No.8

チョーサーの詩では、鳥たちが「聖バレンタインの日」に相手を選ぶ。2羽の小鳥がバレンタインの絵によく描かれるのはこのため。

In an old English poem, birds choose their partners on Saint Valentine's Day.

No.9

2018年、ゴディバ・ジャパンが「日本は、義理チョコをやめよう。」という新聞広告を出した。チョコを売る会社が「贈るのをやめよう」と言ったので大きな話題に。

In 2018, a chocolate company told Japan to stop giving duty chocolate.

No.10

カトリック教会は1969年、聖バレンタインを全世界共通の記念日のリストから外した。生涯の記録があまりに少ないからだ。

In 1969, the Catholic Church took Saint Valentine off its main calendar. We know very little about his life.

▶️Videos & Linksバレンタインデーの動画とリンク集

The Dark Story Of Valentine's Day | Why Do We Celebrate Valentine's Day? | The Dr Binocs ShowPeekaboo Kidz

Valentine’s Day Facts for Kids | February Holiday LessonHomeschool Pop

Valentines Day: History of Valentine's Day | HistoryHISTORY

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