Three Kings' Day

三賢王の日(公現祭)の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 三賢王の日(公現祭)の本当の話を、確かな資料でたどります。

1三賢王の日の由来:聖書には「3人」とも「王」とも書いていない

1月6日は、キリスト教で「公現祭(こうげんさい)」と呼ばれる日です。英語では Epiphany(エピファニー)。ギリシャ語の「現れること」が語源で、イエスが世の中に「現れた」ことを祝います。

西の教会(カトリックなど)でこの日の主役になるのが、東の国から星をたどってやってきた博士たちです。『マタイによる福音書』では、彼らは赤ちゃんのイエスに黄金・乳香(にゅうこう)・没薬(もつやく)をささげます。乳香と没薬は、木からとれる香りのよい樹脂です。

ところが、聖書には人数が書いてありません。「王」とも書かれていません。原文の言葉は magoi(マゴイ)。もとはペルシャの祭司を指す言葉で、星をよく観察する人たちでした。英語の magic(魔法)も、この言葉から生まれています。

「3人」になったのは、贈り物が3つだったからだと考えられています。王様とされたのは、旧約聖書の「王たちが贈り物を持ってくる」という預言と結びつけられたためで、500年ごろには広く受け入れられていました。メルキオール、カスパール、バルタザールという名前が文献に出てくるのは、さらに後の8世紀です。

三賢王の日(公現祭)(Three Kings' Day)のイラスト

2三賢王の日の歴史:一度消えて、また戻ってきた祝日

キリスト教の祭りとして1月6日が出てくる最初の記録は、361年。ローマの歴史家アンミアヌス・マルケリヌスの文章です。385年ごろには、巡礼の女性エゲリアがエルサレムとベツレヘムでの祝いを書き残しています。

東方正教会では、この日はイエスがヨルダン川で洗礼を受けたことを祝う「神現祭(テオファニー)」です。古いユリウス暦を使う教会では、今の暦の1月19日にあたります。ロシアでは、凍った川に穴をあけて水を祝福します。

この祝日は、政治にもふり回されてきました。イタリアでは1977年、経済を立て直すためとして政府が国の祝日から外しましたが、1985年に復活しました。ポーランドでは共産主義の時代に休日でなくなり、約50年後の2011年、議会の法律で休日に戻りました。今では2000をこえる町で三賢王のパレードが開かれ、動物園のラクダが行列に加わることもあります。それほど、人々が手放したくない日なのです。

🕰️ 三賢王の日(公現祭)の年表

  1. 1世紀後半『マタイによる福音書』に、星をたどってきた東方の博士たちの話が書かれる。
  2. 361年ローマの歴史家アンミアヌス・マルケリヌスが、キリスト教の祭りとしての公現祭を記録(最古の記録)。
  3. 385年ごろ巡礼者エゲリアが、エルサレムとベツレヘムでの祝いを書き残す。
  4. 8世紀メルキオール・カスパール・バルタザールという3人の名前が文献に現れる。
  5. 1885年スペインのアルコイで三賢王のパレードが毎年開かれるようになる。
  6. 2011年ポーランドで、共産主義時代に廃止された1月6日の休日が法律で復活する。

3スペイン・中南米の過ごし方:プレゼントを持ってくるのはサンタではない

スペイン語圏やイタリアでは、伝統的に子どもがプレゼントを受け取るのはクリスマスではなく1月6日です。

1月5日の夕方、スペインの町には「カバルガタ」と呼ばれる三賢王のパレードがやってきます。きらびやかな王たちが、集まった子どもたちにあめを投げます。スペイン東部の町アルコイのパレードは、1885年から毎年続いています。

その夜、子どもたちはくつをみがいて置いておきます。朝になると、そこにプレゼント。悪い子には石炭が届くと言われますが、実はこれは黒く色をつけた砂糖菓子(カルボン・ドゥルセ)です。プエルトリコでは、王たちの馬やラクダのために、箱に草をつめてベッドの下に置きます。朝には草が消え、プレゼントが入っているのです。

1月6日には、家族で輪の形の甘いパン「ロスカ・デ・レジェス(王様の輪)」を切り分けます。中には小さな人形が隠されています。メキシコでは、イエスの赤ちゃんの人形を当てた人は、2月2日の「カンデラリア(聖燭祭(せいしょくさい))」に、みんなにタマレス(トウモロコシの生地の蒸し料理)をふるまう決まりです。スペインの「ロスコン」には人形のほかにソラマメが入っていて、マメを当てた人がパンの代金を払います。当たってうれしいような、ちょっと困るような一切れです。

🎁 シンボルと小物

👑三賢王(東方の三博士)the Three Kings (Magi)

メルキオール、カスパール、バルタザール。聖書の原文では「マゴイ(博士)」で、人数も書かれていない。

⭐ベツレヘムの星the Star of Bethlehem

博士たちを赤ちゃんのイエスのもとへ導いた星。パレードや飾りの定番。

🎁黄金・乳香・没薬gold, frankincense, and myrrh

3つの贈り物。乳香と没薬は香りのよい樹脂。

👞くつshoes

スペインなどでは、前の晩にみがいたくつのそばにプレゼントが届く。

🍞ロスカ・デ・レジェスrosca de reyes

輪の形の甘いパン。中に隠れた人形やマメを当てた人に、役目や「王様」の称号がまわってくる。

4世界の1月6日:魔女、お菓子の王様、真冬の水

同じ1月6日でも、国が変われば主役も変わります。

イタリアでプレゼントを配るのは、ほうきに乗ったおばあさんの魔女「ベファーナ」です。言い伝えでは、三賢者に道をたずねられたのに家事が忙しくてついて行かず、あとで後悔して、今も赤ちゃんをさがし続けているのだとか。名前は「エピファニア(公現祭)」がなまったものという説が有名です。

フランスでは「ガレット・デ・ロワ(王様のお菓子)」を食べます。中には「フェーヴ」という小さな人形。もとは本物のマメでしたが、中世に陶器に変わりました。いちばん年下の人がテーブルの下にもぐり、切った一切れを「これはだれの分」と決めていきます。ずるができないようにする工夫です。当てた人がその日の王様(女王様)です。

ギリシャやブルガリアでは、司祭が十字架を海や川に投げ入れ、若者たちが真冬の水に飛びこんで取りに行きます。アイルランドでは「女性のクリスマス」とも呼ばれ、女性たちが家事を休んで集まる日です。

日本のカトリック教会では、1月2日から8日の間の日曜日に「主の公現」を祝います。

5よくある誤解とホント:クリスマスは1月6日まで続く

「クリスマスは12月25日で終わり」と思っていませんか。キリスト教の暦では、クリスマスの季節は12月25日に始まり、1月6日の公現祭で一区切りになります。英語の歌『The Twelve Days of Christmas(クリスマスの12日)』の12日間とは、この期間のこと。1月5日の夜は Twelfth Night(十二夜)と呼ばれます。だから海外では、このころにクリスマスツリーを片づける家が多いのです。

もう一つの誤解が「三賢王はラクダに乗った3人の王様」というイメージ。聖書は人数も身分も語りません。中央ヨーロッパには、清めたチョークで扉の上に年号と C+M+B を書く習慣があります。これは3人の名前の頭文字であると同時に、ラテン語の「キリストがこの家を祝福しますように(Christus mansionem benedicat)」の頭文字とも読めるのです。

💡Fun Facts三賢王の日(公現祭)の豆知識 6連発

No.1

英語の magic(魔法)は、三賢王を指す magi(マギ)と同じ語源。もとはペルシャの祭司のことで、星の観察で知られていました。

The word magic comes from magi. The magi were priests in old Persia who studied the stars.

No.2

イタリアでは1977年、経済のためとして政府が1月6日を祝日から外しました。でも人気が根強く、1985年に祝日に戻りました。

Italy stopped the January 6 holiday in 1977. People wanted it back, and it returned in 1985.

No.3

イタリアのウルバーニアは「ベファーナの家」とされる町。1月のお祭りには3万〜5万人が集まり、何百人ものベファーナが塔からつり下がってゆれます。

The town of Urbania in Italy has a big Befana festival. Up to 50,000 people visit.

No.4

アメリカ・フロリダ州のターポンスプリングスでは、1月6日に16〜18歳の少年たちが入り江に投げこまれた十字架を取りに飛びこみます。この日は町の人口が3倍になるといわれます。

In Tarpon Springs, Florida, teenage boys dive into the water for a wooden cross on January 6.

No.5

フィリピンでは、この日のあいさつは「Happy Three Kings!」。「お年寄りのクリスマス」とも呼ばれ、クリスマスシーズンの正式な終わりの日です。

In the Philippines, people say "Happy Three Kings!" The day ends the Christmas season.

No.6

アメリカのニューオーリンズでは、1月6日からカーニバルの季節が始まり、キングケーキが売られ始めます。人形を当てた人が次のケーキを用意する決まりです。

In New Orleans, king cake season starts on January 6. The person who finds the baby buys the next cake.

▶️Videos & Links三賢王の日(公現祭)の動画とリンク集

The Three Wise MenReading Through History

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