New Year's Eve

大みそか(世界のカウントダウン)の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 大みそか(世界のカウントダウン)の本当の話を、確かな資料でたどります。

1大みそかの由来:1年の終わりを「寝ずに見張る」夜

1862年12月31日の夜。アメリカ各地の教会に、奴隷にされていた人たちや自由な身分の黒人たちが集まっていました。だれも眠りません。真夜中を過ぎて1863年1月1日になれば、リンカーン大統領の奴隷解放宣言が効力をもつからです。この夜は今も「フリーダムズ・イブ(自由の前夜)」と呼ばれ、アフリカ系アメリカ人の教会では大みそかの礼拝が大切にされています。

大みそかに「寝ずに年を越す」習慣は、キリスト教の「ウォッチナイト(見張りの夜)」という礼拝に一つの源があります。プロテスタントの一派、モラヴィア兄弟団が1730年代に始め、1738年の大みそかにその礼拝に出たジョン・ウェスレー(メソジスト派の創始者)が、1740年から自分でも行うようになりました。はじめは満月の夜ごとの集まりでしたが、やがて大みそかの礼拝として定着します。お酒を飲んで大さわぎする年越しの代わりに、祈りと歌で静かに新年を迎える集まりです。

いっぽう、12月31日はカトリック教会で聖シルベスター(教皇シルウェステル1世)の日でもあります。335年12月31日に亡くなったローマ教皇です。そのため、ドイツ語圏などでは今も大みそかを「シルベスター」と呼びます。1年の最後の夜には、祈り、見張り、そして大さわぎという、いくつもの顔があるのです。

大みそか(世界のカウントダウン)(New Year's Eve)のイラスト

2カウントダウンの歴史:タイムズスクエアのボールはなぜ落ちる?

ニューヨークのタイムズスクエアの年越しは、新聞社の引っ越し祝いから始まりました。1904年12月31日、ニューヨーク・タイムズ紙は新しい本社ビルの完成を祝って、真夜中に花火を打ち上げます。集まったのは約20万人。ところが、その後、群衆の真上に花火を上げることが禁止されてしまいます。

そこで新聞社の電気技師が思いついたのが「タイムボール」です。タイムボールとは、決まった時刻に柱からボールを落とし、港の船に正確な時刻を知らせる装置。1833年からロンドンのグリニッジ天文台で毎日午後1時に落とされてきました。船は時計を合わせることで、海の上で自分の位置を計算できたのです。

1907年12月31日、最初のボールが落ちました。鉄と木でできた直径約1.5メートル、重さ約320キロのボールに、電球が100個。戦争中の1942年と1943年の年越しは灯火管制で中止され、代わりに真夜中1分前に黙とうをして、車にのせたスピーカーから教会の鐘の音を流しました。

2025年から26年への年越しには7代目の「コンステレーション・ボール」が登場しました。直径約3.8メートル、重さ5600キロ以上、表面はクリスタルのパネル5280枚。真夜中には少なくとも約1.4トンの紙吹雪が舞います。ちなみに「10、9、8…」と数える秒読みは、1929年のドイツ映画『月世界の女』がロケット発射の場面で使ったのが早い例として知られています。

🕰️ 大みそか(世界のカウントダウン)の年表

  1. 335年12月31日ローマ教皇シルウェステル1世が亡くなる。のちに12月31日が「シルベスター」と呼ばれるもとに。
  2. 1733年モラヴィア兄弟団が「見張り」の礼拝を始める(ウォッチナイトの源流)。
  3. 1740年ジョン・ウェスレーがメソジストのウォッチナイト礼拝を始める(はじめは満月の夜ごと。のちに大みそかの礼拝として定着)。
  4. 1788年ロバート・バーンズが「オールド・ラング・サイン」を書きとめて送る。
  5. 1862年12月31日「フリーダムズ・イブ」。奴隷解放宣言の発効を待って教会で夜を明かす。
  6. 1881年日本の小学唱歌集に、同じメロディーの「蛍の光」が採用される。
  7. 1904年ニューヨーク・タイムズ紙が新本社の完成を祝い、タイムズスクエアで年越し花火。
  8. 1907年タイムズスクエアで最初のボール・ドロップ。
  9. 1909年アリカンテ地方のぶどう農家が、12粒のぶどうの習慣を広める。
  10. 1962年スペインの国営テレビが年越しの鐘を初めて中継。
  11. 1972年ドイツで『ディナー・フォー・ワン』が大みそかの定番番組になる。
  12. 1994年12月31日キリバスが国全体を日付変更線の西側にそろえ、東の島々でこの日が暦から消える。

3New Year's Eve の意味:eve は「前の晩」、蛍の光は「なつかしい昔」

New Year's Eve の eve は evening(夕方)と同じ仲間の古い言葉で、「お祝いの日の前の晩」という意味です。Christmas Eve(クリスマス・イブ)も同じ。つまり New Year's Eve は「元日の前の晩」です。名前の上では、主役はあくまで翌日の元日なのです。

国によって呼び名はさまざまです。スペイン語の Nochevieja は「古い夜」。フランスやブラジルでは Réveillon(レヴェイヨン)と呼び、「目を覚ます」という意味のフランス語 réveiller から来ています。スコットランドでは Hogmanay(ホグマネイ)と呼び、町じゅうで盛大に祝います。日本語の「大みそか」の「みそか」は「三十日」、つまり月の最後の日のこと。1年最後の月末だから「大」がつくのです。

真夜中を過ぎると、英語圏では「オールド・ラング・サイン」を歌います。1788年にスコットランドの詩人ロバート・バーンズが、古い歌を書きとめ、歌集の編集者に送ったのが始まりです。題名はスコットランドの言葉で「なつかしい昔」という意味。昔の友だちと、もう一度乾杯しようという歌です。北アメリカでは、楽団リーダーのガイ・ロンバードが毎年の年越しに演奏したことで、大みそかの歌として定着しました。

そしてこのメロディーこそ、日本の「蛍の光」です。1881年に小学唱歌集に採用され、卒業式の歌になりました。お店の閉店で流れる曲は、これを3拍子にした「別れのワルツ」です。

4海外の大みそかはどう過ごす?新年は「時差リレー」でやってくる

世界でいちばん早く新年を迎える人が住む島は、太平洋のキリバスにあるキリティマティ(クリスマス島)です。時間帯は UTC+14。日本より5時間も早く年が明けます。でもキリバスは、もともと日付変更線をまたいだ国でした。国の東と西で曜日がちがい、平日が重なるのは週に4日だけ。そこで政府は国全体を日付変更線の西側にそろえ、東の島々では1994年12月31日を暦から消して、30日の次の日を1995年1月1日にしました。この年、キリバスの東の島々には大みそかがなかったのです。サモアも2011年、オーストラリアやニュージーランドと商売をしやすくするため、12月30日を飛ばしています。

数時間後、リレーはオーストラリアのシドニーへ。ハーバーブリッジとオペラハウスの花火には、主催者の推計で150万〜160万人が集まります。2024年から25年への年越しには約9トンの花火が使われました。夜9時には子ども向けの花火もあり、小さな子は早めに年越し気分を味わえます。

夜が地球を回り、ブラジルのリオデジャネイロでは、白い服を着た人たちがコパカバーナ海岸へ。白は幸運の色とされます。波を7回飛びこえて願いごとをしたり、海の女神イエマンジャに白い花を流したりします。花火を見に集まる人は100万人をこえます。

そしてニューヨークのボール・ドロップ。最後に新年を迎えるのは、アメリカ領サモアなど太平洋の島々です。キリティマティから約25時間。新しい年は、まる1日以上かけて地球を1周するのです。

🎁 シンボルと小物

🎆花火fireworks

真夜中に世界中で打ち上がる。シドニーでは約9トンの花火が使われる年も。

🔮タイムズスクエアのボールTimes Square Ball

船に時刻を知らせる「タイムボール」がもと。1907年から真夜中に落ちる。

🍇12粒のぶどうtwelve grapes

スペインで鐘に合わせて1粒ずつ食べる。中南米やフィリピンにも広がった。

🕛真夜中の12時midnight

カウントダウンのゴール。年越しの主役はこの瞬間。

🥂乾杯toast

真夜中にシャンパンやスパークリングワインで乾杯する国が多い。

🎊紙吹雪confetti

タイムズスクエアでは少なくとも約1.4トンが舞う。

🤍白い服white clothes

ブラジルの年越しの服。白は幸運を呼ぶ色とされる。

🔔鐘bells

マドリードの時計の鐘、クレムリンの鐘、日本の除夜の鐘。どこでも年越しの合図。

🍽️ この日の食べ物

🍇幸運のぶどうlucky grapes

スペインの年越し。最近は皮と種を取った12粒入りの缶や容器も売られている。

🍩オリーボーレンoliebollen

オランダの大みそかの揚げドーナツ。粉砂糖をかけて食べる。

🎂クランセカーエkransekage

デンマークの輪を積み上げたアーモンド菓子。真夜中にシャンパンと。

🍜パンシットpancit

フィリピンの麺料理。長い麺は長生きの願い。日本の年越しそばと同じ発想。

🍊12種類の丸い果物twelve round fruits

フィリピンでは丸い形がお金を表し、12か月分そろえる。

5海外の年越しの風習:12粒のぶどう、イスから大ジャンプ、黄色い下着

スペインでは、真夜中の時計の鐘に合わせてぶどうを12粒食べます。マドリードのプエルタ・デル・ソル広場の時計が1回鳴るたびに1粒。全部食べきれたら12か月が幸運になるといわれます。1962年からは国営テレビがこの鐘を中継しています。本土より1時間おそい時間帯のカナリア諸島では、島の真夜中にあらためてぶどうを食べます。

デンマークでは、真夜中ちょうどにイスから飛びおりて新年へ「ジャンプ」します。ドイツやデンマークで毎年テレビに流れるのが、イギリスの喜劇俳優による白黒コント『ディナー・フォー・ワン』。90歳の誕生日を祝うおばあさんと執事の話で、決めぜりふ「The same procedure as every year(毎年と同じ手順で)」は、ドイツではだれもが知る名せりふです。ドイツでは溶かした金属を水に落とした形で占う「ブライギーセン(鉛占い)」も定番でしたが、2018年に鉛のセットの販売が禁止され、今はスズやロウで行います。

中南米では色と小道具がカギ。チリなどでは、幸運を願って黄色い下着をはき、旅行に行けるようにと空のスーツケースを持って家の周りを歩く人がいます。メキシコでは、恋愛は赤、仕事は黄色、お金は緑、健康は白と、願いに合わせた色で飾りつけをします。エクアドルでは「古い年」を表す人形を燃やし、男性が「古い年の未亡人」に扮して車からお金を集めるにぎやかな風習があります。

フィリピンでは、真夜中に子どもたちがジャンプします。背がのびるように、という願いです。テーブルには、お金を表す丸い果物を12種類。水玉模様の服を着る人もいます。ロシアでは、クレムリンの時計の鐘の直前に大統領の新年のあいさつがテレビで流れ、それを各地の時間帯ごとに放送します。

6日本では:除夜の鐘と「蛍の光」

日本の大みそかの夜は、海外とくらべるとぐっと静かです。お寺では除夜の鐘を108回つき、家ではテレビで紅白歌合戦を見て、年越しそばを食べる。花火とさけび声のカウントダウンとは、ずいぶん雰囲気がちがいます。

でも、つながっている部分もあります。紅白歌合戦のラストでは、1953年の第4回からほぼ毎年、出演者全員で「蛍の光」を歌ってきました。その同じメロディーを、同じころ、世界の英語圏の人たちが「オールド・ラング・サイン」として歌っているのです。韓国でも、1945年から1948年まで、このメロディーに歌詞をのせて国歌として歌っていました。

最近は日本でも、都心の繁華街やテーマパークでのカウントダウンイベントが増えました。それでも、鐘の音に耳をすまして静かに年を越すのは、日本らしい大みそかです。年越しそばや大掃除など、日本の大晦(おおつごもり)日のくわしい話は「大晦日」のページで紹介しています。

7大みそかのよくある誤解とホントのところ

誤解1:12粒のぶどうは、ぶどうが余った農家の宣伝で始まった。 1909年、豊作でぶどうが余ったアリカンテ地方の農家がこの習慣を広めた、という説はよく知られています。でも、それより前の1894年の新聞にはすでに「フランスから入ってきた習慣」として書かれ、1896年元日の新聞にも大臣たちがぶどうで新年を迎えた記事があります。1882年ごろ、マドリードの人々が、お金持ちがぶどうとシャンパンで年越しをするのをからかって広場で食べ始めた、という話も伝わっています。農家は、少なくとも「始めた人」ではなかったのです。

誤解2:「オールド・ラング・サイン」はお別れの歌。 日本では卒業や閉店のイメージが強いですが、もとの歌詞は「昔の友を忘れられようか、昔のために一杯やろう」という、再会と友情の歌です。だから新年に、友だちと腕を組んで歌うのです。

誤解3:タイムズスクエアのボールは毎年欠かさず落ちている。 1942年と1943年の年越しは、戦争中の灯火管制で中止されました。

誤解4:『ディナー・フォー・ワン』はイギリスで大人気。 出演者はイギリス人で、せりふも英語ですが、イギリスではほとんど知られていません。イギリス全国で放送されたのは、なんと2018年の大みそかが初めてでした。ドイツで1963年に撮影された番組が、ドイツの大みそかの名物になったのです。

💡Fun Facts大みそか(世界のカウントダウン)の豆知識 10連発

No.1

キリバスの東の島々では、1994年12月31日が暦から消されました。国の東西で曜日がずれ、平日が週4日しか重ならなかったためです。

The eastern islands of Kiribati skipped December 31, 1994. That year, they had no New Year's Eve.

No.2

サモアは2011年12月30日を飛ばしました。木曜日の次がいきなり土曜日になったのです。

Samoa skipped December 30, 2011. Thursday was followed by Saturday.

No.3

タイムズスクエアの最初のボールは重さ約320キロ、電球100個。今のボールは5600キロ以上で、約17倍の重さです。

The first Times Square ball weighed about 320 kilograms. Today's ball weighs over 5,600 kilograms.

No.4

戦争中の1942年と1943年の年越しは、ボールの代わりに真夜中1分前の黙とうと、トラックから流す教会の鐘の音でした。

During the war, there was no ball drop. People stood in silence for one minute instead.

No.5

『ディナー・フォー・ワン』は、ドイツで最も再放送されたテレビ番組としてギネスブックにのったことがあります。

Dinner for One was once in the Guinness book as the most repeated TV show in Germany.

No.6

「10、9、8…」の秒読みは、1929年のフリッツ・ラング監督の映画『月世界の女』のロケット発射の場面が早い例です。

A 1929 movie about a rocket to the moon was one of the first to use a countdown: ten, nine, eight.

No.7

韓国では1945〜1948年、「オールド・ラング・サイン」のメロディーで国歌を歌っていました。

From 1945 to 1948, Korea sang its national song to the music of Auld Lang Syne.

No.8

1997年、キリバスはキャロライン島を「ミレニアム島」と改名し、2000年の朝日を世界で最初に見る島として売り出しました。

In 1997, Kiribati gave one island a new name, Millennium Island, for the year 2000.

No.9

オランダの農村には、牛乳缶のふたをガスの力でふき飛ばす「カーバイド撃ち」という年越しの風習があり、2014年にオランダの無形文化遺産リストに入りました。

In Dutch farm towns, people shoot the lids off milk cans on New Year's Eve. It is a loud old custom.

No.10

ドイツでは、一般の人が打ち上げ花火などを買えるのは、法律で12月29日〜31日の3日間だけと決まっています(そのうち1日が日曜日の年は28日から)。

In Germany, people can buy fireworks only in the last three days of the year.

▶️Videos & Links大みそか(世界のカウントダウン)の動画とリンク集

Unique New Year's traditions around the worldCBC News

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