Labor Day

レイバー・デー(アメリカ・カナダ)の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? レイバー・デー(アメリカ・カナダ)の本当の話を、確かな資料でたどります。

1レイバー・デーの由来:1882年、1万人が給料を捨てて歩いた

1882年9月5日は、火曜日でした。その朝、ニューヨークで約1万人の労働者が仕事に行かず、市庁舎からユニオン・スクエアまで行進しました。休めば、その日の給料はもらえません。それでも彼らは、組合の旗をかかげて歩いたのです。

計画したのは、ニューヨークの労働組合の集まり「セントラル・レイバー・ユニオン」。行進で組合の力を見せ、そのあと働く人とその家族のためのお祭りを開く、という内容でした。この「パレード+お祭り」の形が、のちのレイバー・デーの基本になります。

「生みの親」はだれか。実は、今もはっきりしていません。候補は、名前がそっくりな2人です。1人は大工の組合のリーダー、ピーター・J・マクガイア(McGuire)。もう1人は機械工で組合の書記だったマシュー・マグワイア(Maguire)。2人とも最初の行進に参加しています。アメリカ労働省は「近年の研究はマグワイア説を支持している」としていますが、教科書ではマクガイアが紹介されることも多いのです。

9月の第1月曜日を推した理由として、マクガイアの言葉とされるものが伝わっています。天気がよく、7月4日の独立記念日と11月の感謝祭のちょうど間で、祝日がない時期だったからです。

レイバー・デー(アメリカ・カナダ)(Labor Day)のイラスト

2レイバー・デーの歴史:なぜ5月1日のメーデーではないのか

州で最初にレイバー・デーを祝日にしたのは、オレゴン州でした。1887年2月21日のことです。同じ年にニューヨーク、ニュージャージー、マサチューセッツ、コロラドが続き、1894年には約30の州が祝うようになっていました。

1894年6月28日、グロバー・クリーブランド大統領が、9月の第1月曜日をレイバー・デーとする法律に署名します。このときシカゴでは、鉄道車両の会社プルマンの労働者が賃下げに抗議してストライキの最中でした。署名の数日後、政府は軍隊を送り、衝突でシカゴだけでも約30人が亡くなりました。

ここで不思議なことがあります。世界の多くの国では、5月1日のメーデーが「労働者の日」です。そのメーデーのもとは、1886年5月にシカゴで起きた、1日8時間労働を求める運動と「ヘイマーケット事件」。つまりアメリカ生まれなのです。

それなのにアメリカが5月を選ばなかったのは、5月1日がこの事件や、過激な運動と結びつくことをクリーブランドたちが心配したからだと言われます。大統領は1887年の時点で、おだやかな9月の日を支持していました。

カナダのレイバー・デー(つづりは Labour Day)も9月の第1月曜日です。1872年4月、トロントで印刷工のストライキを支える大きなデモがあり、これが労働組合を合法と認める法律につながりました。カナダが全国の休日にしたのも、アメリカと同じ1894年です。

🕰️ レイバー・デー(アメリカ・カナダ)の年表

  1. 1872年4月カナダのトロントで印刷工のストライキを支える大規模なデモ。労働組合を合法とする法律につながる。
  2. 1882年9月5日ニューヨークで約1万人が行進。最初のレイバー・デー(火曜日)。
  3. 1886年5月シカゴで8時間労働を求める運動とヘイマーケット事件。メーデーの起源となる。
  4. 1887年2月21日オレゴン州が、州として初めてレイバー・デーを祝日にする。
  5. 1894年6月28日クリーブランド大統領が法律に署名し、9月第1月曜日が連邦の祝日に。同じ年、カナダも全国の休日に。
  6. 1922年9月ニューヨークで「麦わら帽子暴動」。季節の服装ルールをめぐる騒ぎが8日間続く。

3アメリカのレイバー・デーの過ごし方:夏が終わる3連休

今のアメリカ人にとって、レイバー・デーは「夏の非公式な終わり」です。土日とあわせた3連休に、庭でバーベキューをしたり、最後の海や湖に出かけたりします。多くの学区では、この週末の前後に新学期が始まります。ミネソタ州の大きな州のお祭り「ステート・フェア」は、毎年レイバー・デーが最終日です。

スポーツも動き出します。大学のアメリカンフットボールはこの週末に開幕する学校が多く、プロのNFLもレイバー・デー直後の木曜日にシーズン最初の試合を行うのが伝統です。お店は「バック・トゥ・スクール(新学期)セール」で大にぎわい。ブラックフライデーの次に大きなセールだと言う小売店もあります。

もうひとつ有名なのが、「レイバー・デーを過ぎたら白い服は着ない」というファッションのルールです。夏服の白やシアサッカー(しま模様の薄い生地)は、この日まで。帽子にも似たルールがあり、麦わら帽子は「9月15日まで」とされていました。1922年のニューヨークでは、その期限の2日前から、若者たちが麦わら帽子の男性をおそって帽子を奪い、踏みつける騒ぎが8日間続きました。これが「麦わら帽子暴動」です。今では白を一年中着る人も多く、ルールはほぼ冗談として語られています。

🎁 シンボルと小物

🚩パレードparade

1882年の最初の行進が原点。今も各地の組合がパレードを行います。

🍔バーベキューbarbecue

3連休の定番。夏の最後のバーベキューとして、庭や公園で楽しみます。

👕白い服white clothes

「レイバー・デー以降は白を着ない」という昔のファッションのルール。

🏈アメリカンフットボールfootball

大学やプロのシーズンが、この週末の前後に始まります。

🎒通学かばんbackpack

新学期の始まりの合図。新学期セールで文房具や服を買いそろえます。

4日本との関係:勤労感謝の日は英語で Labor Thanksgiving Day

日本には9月のレイバー・デーはありません。でも、名前の似た祝日があります。11月23日の勤労感謝の日で、英語では Labor Thanksgiving Day と呼ばれます。ただし中身はちがいます。勤労感謝の日のもとは、新しいお米を神々に供える宮中の祭り「新嘗祭(にいなめさい)」。組合の行進から生まれたレイバー・デーとは、出発点がまったく別なのです。

日本の「働く人の行進」に近いのは、むしろメーデーです。日本で最初のメーデーは1920年5月2日、東京の上野公園で開かれ、約1万人の労働者が集まりました。1882年のニューヨークと、ほぼ同じ人数です。

アメリカ人と話すときは、「Labor Day」と言えば9月の3連休、「May Day」と言えば5月1日、と区別しておくと話が通じやすくなります。

💡Fun Factsレイバー・デー(アメリカ・カナダ)の豆知識 6連発

No.1

最初のレイバー・デー(1882年9月5日)は、月曜日ではなく火曜日でした。参加した人たちは、1日分の給料をあきらめて行進しました。

The first Labor Day in 1882 was on a Tuesday. The workers lost a day's pay.

No.2

「生みの親」の候補は、マクガイア(McGuire)とマグワイア(Maguire)。つづりが1〜2文字違うだけの2人で、100年以上たった今も決着がついていません。

Two men may have started Labor Day. Their names were McGuire and Maguire.

No.3

9月が選ばれた理由のひとつは、独立記念日(7月4日)と感謝祭(11月)のちょうど間で、祝日のない時期だったからです。

September was a good time because there were no other holidays then.

No.4

1922年のニューヨークでは、麦わら帽子の男性がおそわれる「麦わら帽子暴動」が8日間続きました。「麦わら帽子は9月15日まで」という暗黙のルールが引き金で、しかも始まりは期限の2日前でした。

In 1922, young people in New York took straw hats from men in September.

No.5

1894年の法律ができたあとも、休めない人は多く、1930年代になっても組合は「この日は仕事を休もう」と呼びかけていました。

Even in the 1930s, some workers did not get the day off.

No.6

バージニア州には、遊園地の名前をとって「キングス・ドミニオン法」と呼ばれた、新学期をレイバー・デーより後にするルールがありました。2019年に廃止されています。

Virginia had a rule called the Kings Dominion law. It ended in 2019.

▶️Videos & Linksレイバー・デー(アメリカ・カナダ)の動画とリンク集

The Labor Movement in the United States | HistoryHISTORY

Why do Americans and Canadians celebrate Labor Day? -Kenneth C. DavisTED-Ed

Labor Day Facts for Kids | Learning VideoHomeschool Pop

▶ YouTubeで「history of Labor Day for kids」をもっと見る

海外のレイバー・デー(アメリカ・カナダ)を比べる →