Jusanya (The 13th Night Moon)

十三夜の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 十三夜の本当の話を、確かな資料でたどります。

1十三夜とは?日本で生まれた「もう一つのお月見」

秋のお月見といえば十五夜。でも日本には、もう一つのお月見があります。それが十三夜です。

十三夜は、旧暦(太陰太陽暦)の9月13日の夜のこと。十五夜(旧暦8月15日)の約1か月後で、今のカレンダーでは10月中旬から11月上旬にあたります。国立天文台の新月の日時から計算すると、2025年は11月2日、2026年は10月23日、2027年は10月12日、2028年は10月30日です。

十五夜の月見は中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自のものです。国立天文台の暦計算室は、延喜19年9月13日(ユリウス暦で919年10月9日)に、寛平法皇(宇多法皇)が開いた月見の宴が始まりだそうだと紹介しています。のちの貴族の日記『中右記』には、法皇が「今夜の月は並ぶものがない」とほめたという話が記されています。

十三夜には、たくさんの別名があります。十五夜の「前の月」に対して「後(のち)の月」。十五夜とあわせて「二夜(ふたよ)の月」。お供えする物から「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月」。秋の実りと月を一緒に楽しむ、日本らしい名前です。

十三夜(Jusanya (The 13th Night Moon))のイラスト

2なぜ「十五」じゃなくて「十三」?千年続く謎

国立天文台の暦計算室は、はっきりこう書いています。十三夜の月が満月になることはない、と。2026年の十三夜は10月23日ですが、満月はその3日後の10月26日です。少し欠けた月を、なぜわざわざ「名月」と呼ぶのでしょう。

実は、その理由をはっきり書いた古い記録は見つかっていません。わかっているのは、919年に月見の宴があって詩が楽しまれたこと、法皇が月をほめたことくらいです。

そのため、昔からいろいろな説が唱えられてきました。鎌倉時代の『徒然草』は、八月十五日と九月十三日は月が「婁宿(ろうしゅく)」という星座のあたりにあって、空が澄むから月見によい、と書いています。でも国立天文台によると、実際の月の位置を計算するとこの説明は合わず、江戸時代にはすでに「信用できない説」とされていました。

ほかにも、菅原道真(すがわらのみちざね)が九月十五日に詠んだ詩を、のちの人が「五」を「三」と読みまちがえたという説、先の天皇の命日(御国忌)があったので月見の日をずらしたという説など、さまざまな話が伝わっています。どれも決め手はありません。千年以上たった今も、十三夜は小さな謎をかかえたままなのです。

旧暦では、ときどき同じ月が2回くり返される「閏月(うるうづき)」が入ります。2014年には閏9月が入り、11月5日に「後の十三夜」が171年ぶりに現れました。

🕰️ 十三夜の年表

  1. 919年(延喜19年)旧暦9月13日、寛平法皇(宇多法皇)が月見の宴を開く。十三夜の始まりとされる。
  2. 平安時代後期藤原宗忠の日記『中右記』に、法皇が十三夜の月をほめた話が記される。
  3. 鎌倉時代末『徒然草』が八月十五日と九月十三日を月見によい夜として挙げる。
  4. 1577年(天正5年)上杉謙信が能登の陣中で十三夜の月見をし、詩を詠んだと伝えられる。
  5. 1895年樋口一葉(ひぐちいちよう)が小説『十三夜』を発表。
  6. 2014年閏9月が入り、11月5日に「後の十三夜」が171年ぶりに現れる。

3十三夜の過ごし方:栗と豆と、片見月の言い伝え

十三夜には、月が見える窓辺や縁側に、すすきと団子、そして秋の実りを供えます。ちょうど収穫の時期をむかえる栗や枝豆・大豆を供えることから、「栗名月」「豆名月」と呼ばれるようになりました。団子を13個にする地域もあります。

おもしろいのは、地域によって名前が逆になることです。東北地方の北部では、十五夜を「豆名月」、十三夜を「芋名月」と呼ぶところもあります。また、十三夜の天気でその年の小麦のできを占う「小麦の月見」という言い方もあります。

十三夜には、ちょっとこわい言い伝えもあります。十五夜と十三夜のどちらか一方しか見ないことを「片見月(片月見)」と言い、縁起が悪いとされました。ただしこれには、江戸の遊郭が客に二度来てもらうために言い出したもの、という説もあります。

旧暦10月10日の「十日夜(とおかんや)」の月を「三の月」と呼ぶこともあり、十五夜・十三夜・十日夜の三つを見ると縁起がよいと言われました。

十三夜は文学にも登場します。樋口一葉は1895年に小説『十三夜』を発表しました。十三夜の晩、つらい結婚生活から実家に帰った女性が、帰り道で幼なじみと再会する物語です。戦国武将の上杉謙信も、能登に攻め入った陣中で十三夜の月見をし、「十三夜」の詩を詠んだと伝えられています。

🎁 シンボルと小物

🌔満月前の月waxing gibbous moon

十三夜の月は満月の2〜3日前。右側が明るく、左側が少し欠けている。

🌰栗chestnuts

秋に実る栗を供えることから「栗名月」と呼ばれる。

🫘豆beans

枝豆や大豆を供えることから「豆名月」とも。

🍡月見団子moon-viewing dumplings

十三夜にちなんで13個供える地域もある。

🌾すすきpampas grass

十五夜と同じく、月見の飾りとして供える。

4よくある誤解とホント:十三夜は満月?

誤解1:十三夜も満月の夜。
十三夜の月は満月の2〜3日前の、少し欠けた月です。国立天文台も「十三夜が満月になることはありません」と説明しています。

誤解2:十三夜も中国から伝わった。
十五夜は中国の中秋節がもとですが、十三夜は日本で生まれた風習とされています。

誤解3:十三夜は毎年9月13日。
旧暦の9月13日なので、今のカレンダーでは10月中旬〜11月上旬。年によって1か月近く動きます。

誤解4:十三夜は十五夜のおまけ。
昔の人にとっては、二つそろって一組の大切な月見でした。片方だけを「片見月」と言って避けたほどです。

誤解5:「13」だから縁起が悪い夜。
西洋には13を不吉な数とする考え方がありますが、十三夜は昔から「名月」として大切にされてきた夜です。むしろ見のがすほうが縁起が悪い、とまで言われました。

💡Fun Facts十三夜の豆知識 6連発

No.1

国立天文台によると、十三夜の月が満月になることはありません。2026年も、十三夜(10月23日)の3日後が満月です。

The moon on Jusanya is never full. In 2026, the full moon comes 3 days later.

No.2

十三夜の始まりは、919年の寛平法皇(宇多法皇)の月見の宴とされます。1100年以上前の話です。

Jusanya started with a moon party held by a retired emperor in 919.

No.3

2014年には閏9月があり、十三夜が2回ありました。2回目の「後の十三夜」は171年ぶりでした。

In 2014, there were two Jusanya nights. This had not happened for 171 years.

No.4

十五夜と十三夜の片方だけ見るのは「片見月」で縁起が悪い、と言われました。江戸の遊郭が広めたという説もあります。

People said it was bad luck to see only one of the two autumn moons.

No.5

樋口一葉の小説『十三夜』(1895年)は、十三夜の晩に起きる、切ない再会の物語です。

A famous Japanese story from 1895 is called Jusanya. It happens on this moon night.

No.6

英語の「ハンターズムーン」は、ハーベストムーンの次の満月。十三夜と同じく「秋の2番目の月」に名前があります。

The Hunter's Moon is the next full moon after the Harvest Moon.

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