Indigenous Peoples' Day / Columbus Day

先住民の日・コロンブス・デーの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 先住民の日・コロンブス・デーの本当の話を、確かな資料でたどります。

1コロンブス・デーの由来:1492年10月12日、カリブ海の小さな島で

1492年8月3日、イタリアのジェノバ生まれの航海者クリストファー・コロンブスは、サンタ・マリア号、ピンタ号、ニーニャ号の3隻でスペインの港を出ました。目指したのは、西周りのアジア。マルコ・ポーロが伝えた黄金の国「ジパング」、つまり日本も目的地のひとつでした。

10月12日の夜明け前、船乗りたちは陸を見つけます。今のバハマにある島で、先住民はグアナハニと呼び、コロンブスは「サン・サルバドル(聖なる救い主)」と名づけました。コロンブスは最後まで、アジアの近くに着いたと信じていました。島の人々を「インディオ(インド人)」と呼んだのはそのためで、英語の「インディアン」という呼び名はここから来ています。

コロンブスはその後、カリブ海のイスパニョーラ島の総督になります。しかし彼の統治のもとで先住民のタイノの人々は奴隷にされ、ひどい扱いを受けました。同じ時代の人からも残酷さを訴えられ、1500年に逮捕されて島から送り返されています。ヨーロッパから持ちこまれた病気も広がり、多くの先住民が命を落としました。

アメリカで初めてコロンブスの到着が祝われたのは1792年10月12日。ニューヨークで、到着300周年を記念する集まりが開かれました。

先住民の日・コロンブス・デー(Indigenous Peoples' Day / Columbus Day)のイラスト

2コロンブス・デーの歴史:イタリア系移民の「誇りの日」になった理由

コロンブス・デーが全国に広まったきっかけは、悲しい事件でした。1891年、ニューオーリンズで、イタリア系移民11人が暴徒に殺されたのです。イタリアとの関係も悪くなるなか、翌1892年、ハリソン大統領はコロンブス到着400周年を、1回かぎりの国の記念日としました。イタリア系アメリカ人をなだめる意味もあったとされます。

それから、イタリア生まれのコロンブスは、差別を受けていたイタリア系移民にとって「アメリカの歴史にイタリア人がいた」という誇りのしるしになっていきます。1905年にはコロラド州が初めて州として祝い、1934年にはカトリックの団体「コロンブス騎士会」などの働きかけで、大統領が毎年記念日を宣言するようになりました。1968年、ジョンソン大統領が法律に署名し、1971年から「10月の第2月曜日」の連邦の祝日になっています。

ニューヨークのコロンブス・デー・パレードは、2010年ごろには3万5000人以上が行進し、約100万人が見物する大イベントでした。

🕰️ 先住民の日・コロンブス・デーの年表

  1. 1492年10月12日コロンブスが今のバハマの島(グアナハニ)に着く。
  2. 1792年ニューヨークで到着300周年を祝う、アメリカ初のコロンブスの記念行事。
  3. 1892年前年のニューオーリンズの事件のあと、ハリソン大統領が400周年を国の記念日に。
  4. 1971年コロンブス・デーが「10月の第2月曜日」の連邦の祝日になる(1968年に法律)。
  5. 1992年到着500年の年に、バークレー市がこの日を先住民の日に変える。
  6. 2021年バイデン大統領が、大統領として初めて先住民の日の布告を出す。

3先住民の日の歴史:1977年のジュネーブから1992年のバークレーへ

「コロンブス・デーのかわりに、先住民の日を」という声が国際的な場で上がったのは、1977年、スイスのジュネーブで開かれた、アメリカ大陸の先住民への差別についての国際会議でした。

実際に名前を変えた最初の町は、カリフォルニア州バークレーです。1992年、コロンブスの到着からちょうど500年の年に、市議会はこの日を「先住民と連帯する日」と宣言し、コロンブス・デーのかわりに「先住民の日」として祝い始めました。サウスダコタ州は、コロンブス・デーのかわりに「ネイティブ・アメリカン・デー」を祝っています。ロサンゼルス市議会も2017年、14対1で先住民の日に変えることを決めました。

2021年10月8日、バイデン大統領は、アメリカの大統領として初めて「先住民の日」の布告を出しました。いっぽう2025年、トランプ大統領は10月13日を「コロンブス・デー」とする布告を出し、コロンブスを国の英雄とたたえました。この布告に先住民の日への言及はありません。祝日の名前そのものが、政治の争点になっているのです。

中南米でも名前は変わってきました。ベネズエラは2002年に「先住民の抵抗の日」、アルゼンチンは2010年に「文化の多様性を尊重する日」、メキシコは2020年に「多文化の国の日」と改めています。

4よくある誤解とホント:コロンブスはアメリカを「発見」した?

誤解1:コロンブスが、アメリカ大陸を最初に見つけた
ホント:コロンブスが着いたとき、アメリカ大陸にはすでに何百万人もの人々が暮らしていました。ヨーロッパ人としても最初ではありません。カナダのランス・オ・メドーには北欧のバイキングの遺跡があり、2021年の研究で、西暦1021年にそこで活動していたことがわかりました。アメリカには、バイキングのレイフ・エリクソンをたたえる日(10月9日)もあります。

誤解2:当時の人は地球が平らだと思っていて、コロンブスはそれをくつがえした
ホント:中世ヨーロッパの学者の多くは、地球が丸いことを知っていました。本当の論争は地球の「大きさ」です。コロンブスは地球の周りの長さを約25%小さく見積もり、日本はもっと近いと考えました。反対した学者たちの計算のほうが正しかったのです。「平らな地球」の話は、1828年に作家ワシントン・アーヴィングが書いた、脚色の多い伝記から広まりました。

誤解3:論争は「コロンブスが好きか嫌いか」だけ
ホント:コロンブス・デーを守りたい人の多くは、差別と戦ってきたイタリア系アメリカ人の歴史を大切にしています。大西洋を渡った航海そのものを、世界の歴史を大きく変えた出来事として記念したい、と考える人もいます。先住民の日を求める人は、奪われた土地と命を記憶したいと考えています。両方の日を一緒に祝う町もあります。

5日本との関係:アイヌを「先住民族」と明記した2019年の法律

日本にも先住民族がいます。北海道などで暮らしてきたアイヌの人々です。2019年5月に施行された「アイヌ施策推進法」は、アイヌを「先住民族」と初めて法律に書きこみました。

2020年7月12日には、北海道白老町に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が開業しました。ウポポイはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」。中心にある国立アイヌ民族博物館は、アイヌの歴史と文化を主なテーマにした日本で初めての国立博物館です。毎年11月3日の文化の日は、博物館の入館料が無料になります。

🎁 シンボルと小物

⛵サンタ・マリア号Santa María

コロンブスの1回目の航海の旗艦。ピンタ号、ニーニャ号とあわせて3隻で大西洋を渡りました。

🪶羽根feather

先住民の日の催しで、伝統の衣装や飾りに使われることがあります。部族によって意味や使い方はちがいます。

🥁太鼓drum

先住民の日のパウワウ(集まり)では、太鼓に合わせて歌と踊りが行われます。

💡Fun Facts先住民の日・コロンブス・デーの豆知識 6連発

No.1

コロンブスが目指した目的地のひとつは、マルコ・ポーロが伝えた黄金の国「ジパング」、つまり日本でした。

Columbus hoped to reach Japan.

No.2

「インディアン」という呼び名は、コロンブスがアジアのインドの近くに着いたと思いこんだことから生まれました。

Columbus called the people Indians because he thought he was near India.

No.3

コロンブスは地球の周りの長さを約25%小さく見積もっていました。アメリカ大陸がなければ、食料が尽きていたかもしれません。

Columbus thought the Earth was smaller than it really is.

No.4

レイフ・エリクソンの日(10月9日)は、1825年10月9日にノルウェーからの移民船がニューヨークに着いた日にちなみます。エリクソン本人とは関係のない日付です。

Leif Erikson Day is on October 9. It remembers Norwegian immigrants.

No.5

バークレー市が先住民の日を始めた1992年は、コロンブスの到着からちょうど500年の年でした。

Berkeley started Indigenous Peoples' Day in 1992, 500 years after Columbus.

No.6

1941〜1942年、約1,881人のイタリア系アメリカ人が「敵国人」として収容されました。ルーズベルト大統領は1942年のコロンブス・デーに、その扱いをやめると発表しました。

In 1942, President Roosevelt made an announcement for Italian Americans on Columbus Day.

📚Special Featureもっと深く:ネイティブアメリカン特集

▶️Videos & Links先住民の日・コロンブス・デーの動画とリンク集

History vs. Christopher Columbus - Alex GendlerTED-Ed

Why the US celebrates Columbus DayVox

Christopher Columbus - The Discovery Of America And What Happened AfterNative American History

▶ YouTubeで「Indigenous Peoples Day explained for kids」をもっと見る

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