Christmas

クリスマスの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? クリスマスの本当の話を、確かな資料でたどります。

1クリスマスの由来:なぜ12月25日?聖書には日付がない

イエスの誕生日は、だれも知りません。新約聖書の「ルカによる福音書」と「マタイによる福音書」には、ベツレヘムで生まれ、飼い葉おけ(家畜のえさ入れ)に寝かされ、羊飼いや東方の博士たちが訪ねてきた――という場面が描かれています。でも、何月何日かはどこにも書かれていないのです。

12月25日を「キリストの誕生」とした最古の記録は、ローマで作られた暦の本『354年の年代記』にあります。そこに書かれた情報は336年のものと考えられています。イエスの時代から300年以上たってからです。その後、379年にはコンスタンティノープル(今のイスタンブール)にも広まりました。

なぜ12月25日なのか。大きく2つの説があります。

説1:太陽の祭りに合わせた
ローマでは274年ごろから、12月25日に「不敗の太陽神の誕生日」が祝われていたとされます。冬至のころ、太陽がまた力を取り戻す日です。キリスト教がこの日に重ねた、という説です。12月中旬から下旬の「サトゥルナリア祭」のにぎやかな習慣が、のちにクリスマスに流れこんだとも言われます。

説2:計算で決まった
初期のキリスト教では、イエスが母マリアのおなかに宿った日(受胎告知)を3月25日と考えました。そこから9か月後が12月25日、という計算です。

どちらが正しいかは、研究者の間でも決着がついていません。確かなのは「聖書が決めた日ではない」ということです。

クリスマス(Christmas)のイラスト

2クリスマスの歴史:禁止された時代もあった

中世のクリスマスは、王さまの大イベントでした。800年のクリスマスの日、フランク王カール大帝がローマで皇帝の冠を受けました。1066年のクリスマスには、イングランドでウィリアム1世が王になります。567年のトゥール教会会議では、クリスマスからエピファニー(1月6日)までの12日間を祝いの期間と決めました。これが今も歌に残る「クリスマスの12日間」です。

ところが17世紀、クリスマスは禁止されます。「聖書にない祭りで、どんちゃん騒ぎばかりだ」と考えるピューリタン(清教徒)が力をもったからです。スコットランドでは1640年、イングランドでは1647年に禁止され、怒った人々が暴動を起こしました。アメリカのボストンでも1659年から1681年まで禁止。クリスマスを祝うと5シリングの罰金でした。

息を吹き返したのは19世紀です。1843年、イギリスの作家ディケンズが『クリスマス・キャロル』を出版。けちな老人スクルージが心を入れかえる物語は、「家族で過ごす、やさしいクリスマス」のイメージを決定づけました。同じ1843年、世界初の市販のクリスマスカードも作られています。

1848年には、イギリスの新聞がヴィクトリア女王一家のツリーの絵を載せ、ツリーが大流行。1870年、アメリカではクリスマスが連邦の祝日になりました。

1914年、第一次世界大戦の西部戦線では、イギリス軍とドイツ軍の兵士たちが勝手に撃ち合いをやめ、キャロルを歌い合い、食べ物やたばこを交換しました。「クリスマス休戦」です。加わった兵士は約10万人と言われます。

🕰️ クリスマスの年表

  1. 紀元前後ベツレヘムでイエスが生まれたとされる(正確な年と日付はわかっていない)。
  2. 336年ローマで12月25日にキリストの誕生を祝った最古の記録(『354年の年代記』)。
  3. 343年サンタクロースのモデル、ミュラの司教聖ニコラウスが12月6日に亡くなったと伝えられる。
  4. 567年トゥール教会会議で、クリスマスからエピファニーまでの「12日間」が定められる。
  5. 1552年山口で、日本初とされるクリスマスのミサが行われる。
  6. 1647年イングランドでピューリタンがクリスマスを禁止。ボストンでも1659〜1681年に禁止。
  7. 1818年オーストリアのオーベルンドルフで「きよしこの夜」が初めて歌われる。
  8. 1823年詩『聖ニコラスの訪問』が発表され、トナカイとそりのサンタ像が広まる。
  9. 1843年ディケンズ『クリスマス・キャロル』出版。世界初の市販クリスマスカードも作られる。
  10. 1870年アメリカでクリスマスが連邦の祝日になる。
  11. 1914年第一次世界大戦の西部戦線で「クリスマス休戦」。
  12. 1931年ハッドン・サンドブロムがコカ・コーラの広告でサンタを描き始める。

3クリスマスの意味:「Xmas」はキリストを消した言葉?

Christmas は「Christ(キリスト)+mas(ミサ=礼拝)」。つまり「キリストのミサ」です。古い英語の Crīstesmæsse という形が、1038年の記録に残っています。

では Xmas の X は何でしょう。「キリストを × で消した失礼な書き方だ」と怒る人もいますが、それは誤解です。X はギリシア文字の「カイ(Χ)」。ギリシア語の「キリスト(Χριστός)」の頭文字です。キリスト教では、昔からこの文字をキリストの略号として使ってきました。英語で X'temmas という書き方は1551年に記録があり、Xmas という形も18世紀には使われています。ただし今でも、BBCなど一部の報道機関は Xmas を使わない方針です。

ほかの言語の名前を見ると、クリスマスの別の顔が見えてきます。

- イタリア語の Natale、スペイン語の Navidad、フランス語の Noël は、どれもラテン語の「誕生(natalis)」から。「誕生日」そのものの名前です。
- ドイツ語の Weihnachten は「聖なる夜(複数)」。1晩ではなく、いくつもの夜を祝う言葉です。
- スウェーデン語の jul、フィンランド語の joulu は、キリスト教以前からあった北欧の冬の祭り「ユール」の名前。英語にも Yule として残っています。10世紀のノルウェー王ホーコンが、ユールをクリスマスの時期に合わせたと伝えられます。

日本語では「降誕祭」「聖誕祭」と言います。英語のあいさつはアメリカで Merry Christmas! が定番ですが、イギリスでは Happy Christmas! もよく使われます。

4サンタクロースの由来:トルコの司教がニューヨークで「サンタ」になるまで

サンタクロースのモデルは、4世紀の聖ニコラウスです。今のトルコ南部にあった町ミュラの司教で、伝承では343年12月6日に亡くなりました。有名なのは、貧しくて結婚できない3人の娘のために、夜こっそり窓から金貨を投げ入れた話。ここから「夜中に、こっそり贈り物をくれる人」というイメージが生まれました。

オランダでは、聖ニコラウスは「シンタクラース」と呼ばれ、12月5日の夜にプレゼントを配ります。17世紀、オランダ人がニューアムステルダム(今のニューヨーク)に移り住みました。1809年、作家ワシントン・アーヴィングがニューヨークの歴史を面白おかしく書いた本で「サンタクロース」という呼び名を使い、司教の服を脱いだ陽気なおじさんの姿が広まります。

決定打は1823年の詩『聖ニコラスの訪問』です。8頭のトナカイ、そりで屋根に降りる、煙突から入る、笑うとおなかがゼリーのように揺れる――今のサンタの特徴は、ほぼこの詩で出そろいました。1863年には、画家トーマス・ナストが雑誌『ハーパーズ・ウィークリー』でサンタを描き、北極に住むという話もこのころ生まれます。

1939年、デパートのコピーライター、ロバート・L・メイが「赤鼻のトナカイ・ルドルフ」を作りました。1955年には、新聞広告に載った「サンタへの電話番号」がまちがっていて、アメリカ軍の防空司令部につながってしまいます。電話を受けた大佐は、はじめはいたずらだと思いましたが、子どもが本気だとわかってやさしく応じました。その年のイブ、司令部は「サンタのそりを追跡中」と発表。これが今も続く「NORADのサンタ追跡」の始まりです。

そして1931年から、画家ハッドン・サンドブロムがコカ・コーラの広告でサンタを描き始めます。この話の続きは、下の「よくある誤解」で。

5海外ではどう過ごす?クリスマスの1か月

欧米のクリスマスは、12月25日の1日だけではありません。始まりは約4週間前の「アドベント(待降節)」です。ろうそくを4本立てたリースに、日曜日ごとに1本ずつ火をともします。子どもたちは24個の小さな扉があるアドベントカレンダーを、毎日1つずつ開けていきます。

街ではクリスマスマーケットが開かれます。記録に残る古い市として知られるドレスデン(ドイツ)の「シュトリーツェルマルクト」は、1434年に最初の記録があります。ホットワイン(グリューワイン)の湯気と、焼きアーモンドの甘いにおいが広場に立ちこめます。

家ではもみの木を飾ります。ツリーの記録は1400年代のタリンやリガ(今のエストニアとラトビア)にまでさかのぼります。1882年には、ニューヨークで初めて電球で飾ったツリーが登場しました。

24日の夜はクリスマスイブ。教会の真夜中のミサに行く家族もいます。子どもたちは暖炉やベッドに靴下をつるし、サンタのためにクッキーとミルク、トナカイのためにニンジンを置いて眠ります。25日の朝はツリーの下のプレゼントを開け、昼から夕方にかけて家族でごちそう。アメリカやイギリスでは七面鳥の丸焼きが定番です。イギリスでは、両端を引っぱると「パン!」と鳴るクラッカーを鳴らし、中から出てくる紙の王冠をかぶって食べます。

そしてクリスマスは、25日で終わりではありません。1月6日のエピファニー(公現祭)までが「クリスマスの12日間」。ツリーを片づけるのも、この日前後という家庭が多いのです。

🎁 シンボルと小物

🎄クリスマスツリーChristmas tree

冬でも緑のもみの木。1400年代のタリンやリガに記録があり、1848年の英国王室の絵で世界に広まりました。

🎅サンタクロースSanta Claus

モデルは4世紀の聖ニコラウス。オランダの「シンタクラース」がニューヨークでなまって Santa Claus に。

⭐ツリーの上の星star

東方の博士たちを、生まれたばかりのイエスのもとへ導いた「ベツレヘムの星」を表します。

🧦くつしたstocking

聖ニコラウスが窓から投げた金貨が、干してあった靴下に入ったという言い伝えとも結びついています。

🦌トナカイreindeer

1823年の詩で8頭が登場。9頭目の赤鼻のルドルフは1939年生まれです。

🔔ベルbells

教会の鐘や、そりの鈴の音。「ジングルベル」の bells はそりの鈴のことです。

🕯️アドベントリースAdvent wreath

4本のろうそくを立てた輪。クリスマス前の4回の日曜日に、1本ずつ火をともします。

🎁プレゼントpresents

博士たちがイエスに贈り物を届けた話と、聖ニコラウスの贈り物の伝説が重なっています。

🍽️ この日の食べ物

🦃七面鳥の丸焼きroast turkey

アメリカやイギリスのクリスマスディナーの主役。詰め物(スタッフィング)とクランベリーソースを添えます。

🍮クリスマスプディングChristmas pudding

イギリスの、干しぶどうなどがぎっしり入った蒸しプディング。ブランデーをかけて火をつけて出します。

🍞シュトレンStollen

ドイツ・ザクセン地方名物の、ドライフルーツ入りの甘いパン。粉砂糖で真っ白です。

🍪ジンジャーブレッドgingerbread

しょうが入りのクッキー。人の形に焼いたり、お菓子の家を作ったりします。

🥧ミンスパイmince pie

ドライフルーツとスパイスを詰めたイギリスの小さなパイ。サンタのために置いておく家もあります。

🎂いちごのクリスマスケーキChristmas cake (Japan)

白いクリームに赤いいちご。日本ならではのクリスマスケーキです。

6海外のクリスマス:サンタが来ない国、13人来る国

「クリスマスにプレゼントを持ってくるのはサンタ」。これは世界の常識ではありません。

イタリアの子どもたちが待つのは、1月5日の夜にほうきで飛んでくる魔女のおばあさん「ベファーナ」です。伝説では、イエスを探す東方の博士たちに道をたずねられたのに、家事がいそがしくて断ってしまった女性。あとで後悔して探しに出たものの見つけられず、今も子どもたちの家を回っているのだそうです。スペインでは、大きなプレゼントは1月6日に「東方の三賢者」が運んできます。

アイスランドには、サンタが13人います。山に住むいたずら者の兄弟「ユール・ラッズ」で、名前は「スプーンなめ」「ドアばたん」「ソーセージどろぼう」など。昔は子どもをこわがらせる鬼のような存在で、1746年には「子どもをおどかすのに使ってはいけない」というお触れまで出ました。

ロシアでは、プレゼントは大みそかに「ジェド・マロース(マロースじいさん)」が孫娘の雪娘と一緒に届けます。ソ連時代に宗教行事が抑えられ、贈り物は新年の行事になったのです。

日付もばらばらです。オランダは12月5日の夜、北欧やポーランドは24日のイブが本番、アメリカやイギリスは25日の朝、イタリアやスペインは1月6日、エチオピアやロシアの正教会は1月7日。季節もちがい、オーストラリアやブラジルなど南半球では真夏のクリスマスです。下の「国別比べ」で、14か国を見比べてみてください。

7日本のクリスマスはいつから?1552年の山口から

日本で最初のクリスマスとされるのは、1552年(天文21年)です。場所は山口。宣教師コスメ・デ・トーレスたちが、日本人の信徒を招いて降誕祭のミサを行いました。

ところが江戸時代にキリスト教が禁止され、クリスマスも消えてしまいます。例外は長崎の出島。オランダ人たちは「オランダ正月」という名前にして、こっそりクリスマスを祝っていたと言われます。

広まるきっかけは明治時代です。1900年(明治33年)、食料品店の明治屋が銀座に進出し、クリスマスの飾りつけや売り出しを始めました。もうひとつの意外な理由が、大正天皇の命日です。大正天皇は1926年12月25日に亡くなり、翌年から12月25日は「大正天皇祭」という休日になりました。休みの日とクリスマスが重なったことで、習慣が一気に広まったとされます。1928年には新聞が「クリスマスは今や日本の年中行事」と書いたほどです。この休日は1948年になくなりましたが、クリスマスはそのまま残りました。

今の日本のクリスマスは、世界でもかなり個性的です。クリスチャンは少数なのに、街はイルミネーションで輝き、イブは恋人や友だちと過ごす日。いちごのショートケーキと、フライドチキンが定番です。チキンの習慣は1970年代の広告から広まったもので、詳しくは「日本のクリスマス」のページで紹介しています。

逆に、海外の人が日本で驚くのは「25日が祝日ではない」こと。そして26日になると、お店の飾りが一晩でお正月用に変わることです。

8クリスマスのよくある誤解とホントのところ

誤解1:サンタを赤い服にしたのはコカ・コーラ
ホント:コカ・コーラより前から、赤いサンタはいました。1900年代初めのアメリカの雑誌『パック』の表紙には、赤と白の服のサンタが描かれています。1915年には、別の飲料会社ホワイトロックの広告にもサンタが登場しました。コカ・コーラの広告(1931年〜)が果たした役割は、「赤いサンタを発明した」ことではなく、太っていて笑顔のやさしいおじいさん、という姿を世界中に広めたことです。サンドブロムはその後約30年、コカ・コーラのサンタを描き続けました。

誤解2:「Xmas」はキリストを消した書き方
ホント:X はギリシア語の「キリスト」の頭文字です。何百年も前からある略し方です。

誤解3:12月25日はイエスの本当の誕生日
ホント:聖書に日付はありません。12月25日に決まったのは4世紀ごろで、理由も説が分かれています。

誤解4:「ジングルベル」はクリスマスの歌
ホント:歌詞にクリスマスという言葉は一度も出てきません。1857年に「ワン・ホース・オープン・スレイ(1頭立てのそり)」という題で出版された、冬のそり遊びの歌です。

誤解5:クリスマスはどこでも12月25日
ホント:ロシアなど古いユリウス暦を使う正教会や、エチオピアの教会は1月7日に祝います。ウクライナは2023年に、国の公式なクリスマスを1月7日から12月25日に移しました。

💡Fun Factsクリスマスの豆知識 10連発

No.1

1965年12月16日、宇宙船ジェミニ6号の飛行士が、宇宙からハーモニカと鈴で「ジングルベル」を演奏しました。地上を驚かせる、クリスマスのいたずらでした。

In 1965, two astronauts played Jingle Bells in space. They used a harmonica and small bells.

No.2

1955年、サンタへの電話番号の広告が印刷ミスで、アメリカの防空司令部につながりました。これが「NORADのサンタ追跡」の始まりです。

In 1955, a phone number in an ad was wrong. A child called the military to talk to Santa.

No.3

1843年に作られた世界初の市販クリスマスカードは、2回に分けて合計2,050枚。1枚1シリングでした。家族でワインを飲む絵が「けしからん」と言われたそうです。

The first Christmas cards were made in London in 1843. Each card cost one shilling.

No.4

「きよしこの夜」は1818年、オーストリアの小さな教会で初めて歌われました。オルガンが壊れていたためか、ギターの伴奏でした。今では約300の言語に訳されています。

Silent Night was first sung in 1818 with a guitar. Today it is in about 300 languages.

No.5

サンタのモデル、聖ニコラウスの遺骨の大部分は、1087年にイタリアのバーリの船乗りたちが持ち去りました。トルコは今も返還を求めています。

Sailors took the bones of Saint Nicholas to Italy in 1087.

No.6

「クリスマスの12日間」の歌に出てくる贈り物を全部足すと、364個。ほぼ1年分です。

In the song The Twelve Days of Christmas, there are 364 gifts in total.

No.7

フランスの郵便局には、2006年に126か国から約122万通のサンタ(ペール・ノエル)あての手紙が届きました。

In 2006, people in 126 countries sent letters to Santa in France.

No.8

「赤鼻のトナカイ」ルドルフは、1939年にデパートのモンゴメリー・ウォードが配る小冊子のために生まれたキャラクターです。

Rudolph the Red-Nosed Reindeer was born in 1939. A store made him for a little book.

No.9

クリスマスクラッカーを30秒でいくつ鳴らせるかのギネス記録は、2021年の41個です。

The world record is 41 Christmas crackers in 30 seconds.

No.10

1660年代のボストンでは、クリスマスを祝うと5シリングの罰金でした。この禁止は1681年まで続きました。

In old Boston, people had to pay money if they celebrated Christmas.

📚Special Featureもっと深く:ピニャータ特集

▶️Videos & Linksクリスマスの動画とリンク集

How CHRISTMAS Started ? - The Dr. Binocs Show | Best Learning Videos For Kids | Peekaboo KidzPeekaboo Kidz

The History of Christmas for KidsHistoryBUB

Christmas According to Kids - Southland Christian ChurchSouthland Christian Church

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