第15章|段階別ロードマップ15-3高校生・受験生共通テスト英語の目安はCEFRのA1〜B1。難問より『量を時間内に』の試験

高校の英語を最後まで身につけると、小学校からの合計で4000〜5000語程度に触れることになります。この数字には意味があります。英文の何%の語を知っていれば辞書なしで読めるかを調べた研究は、95%の語がわかる「最低ライン」に、4000〜5000ワードファミリーが必要だと示しました。数え方は違っても、数字は重なります。では、その入口に立つまでの3年間を、どう積み上げればいいのか。
この節の目次(6項目)
01高校英語の地図:4000〜5000語の世界へ
いまの高校の英語は、2018年に告示された高等学校学習指導要領で決まっていて、2022年度の1年生から学年ごとに始まりました。科目は、4技能を総合的に学ぶ「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」と、話す・書くを中心に学ぶ「論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」です。中学と同じく、授業は英語で行うことを基本とすると定められています。
単語は、次のように積み上がります。
| 段階 | 新しく加える語 |
|---|---|
| 英語コミュニケーションⅠ | 小中で学んだ語に400〜600語程度 |
| 英語コミュニケーションⅡ | さらに700〜950語程度 |
| 英語コミュニケーションⅢ | さらに700〜950語程度 |
高校で合計1800〜2500語程度。小中の2200〜2500語程度と合わせて、4000〜5000語程度です。
この数字には意味があります。英文の何%の語を知っていれば辞書なしで読めるかを調べた研究(Laufer & Ravenhorst-Kalovski, 2010)は、95%の語がわかる「最低ライン」に4000〜5000ワードファミリー、98%の「理想ライン」に約8000ワードファミリーが必要だと示しました。ワードファミリーは、use・used・useful のように形の違う仲間をまとめて1つと数えるので、学校の「語」とは数え方が違います。それでも、高校の英語をきちんと身につけると、英文を自分で読み始める入口に立てる、ということは言えます。
逆に言えば、単語帳を「試験のための暗記」で終わらせるのはもったいない。覚えた語に長文やニュースで何度も出会い直すことで、読める英文の範囲が広がっていきます。
02高1〜高3のロードマップ
| 時期 | 期間 | ゴール | 中心メニュー |
|---|---|---|---|
| 高1 | 最初の1か月 | 中学英語の穴をふさぐ | 中学文法を1日1単元で総復習。単語帳を1冊に決める |
| 高1 | 2〜3か月目 | 1文を正確に読む型を作る | 精読(主語・動詞を見つけて構造をとる)。教科書の音読 |
| 高1 | 1年 | 英検準2級。単語帳1周 | 文法問題集を1冊、3周 |
| 高2 | 1年 | 英検2級。速く読む | 長文を1日1題。やさしい英語の多読。要約を書く |
| 高3 | 4〜8月 | 共通テストの形に慣れる | 過去問・予想問題で時間配分を固める |
| 高3 | 9〜12月 | 個別試験の記述 | 和訳・英作文・要約を書いて添削を受ける |
| 高3 | 1月〜本番 | 仕上げ | 解いた問題の解き直し。音読で英語の感覚を保つ |
高1の最初の1か月に中学英語を見直すのは、遠回りに見えて近道です。高校の文法は中学の文法の上に積み上がっているので、現在完了や関係代名詞があやふやなままだと、高校の長文でつまずきます。
高2は、量と速さの年です。高1で正確に読む型を作ったら、高2はやさしめの英文をたくさん、速く読む練習に重心を移します。共通テストのような「やさしめの英語を大量に」の試験に、そのままつながります。
英検準1級(大学中級程度)は、2級に合格した人が高2〜高3で目指す次の目標です。語彙のレベルが一段上がるので、単語帳を準1級用に切り替えます。
031日のメニュー:高1・高2は45分、高3は90分
高1・高2の平日(合計45分)
| 時間帯 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 通学中 | 単語帳:思い出すテストで100語を速く回す | 10分 |
| 帰宅後 | 文法問題集を1単元。間違えた問題に印 | 10分 |
| 夕食後 | 長文1題か教科書本文:読む→答え合わせ→音読3回 | 15分 |
| 寝る前 | リスニング1題か、ディクテーション3文 | 10分 |
高3の平日(合計90分)
| 時間帯 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 通学中 | 単語・熟語の思い出すテスト | 15分 |
| 放課後 | 長文1〜2題を時間を計って解く | 30分 |
| 夕食前 | リスニング(1回だけ聞いて解く→スクリプトで確認) | 15分 |
| 夕食後 | 英作文か要約を1本書く/過去問の記述 | 20分 |
| 寝る前 | 今日の長文を音読 | 10分 |
部活がある日の30分版:通学の15分で単語、寝る前の15分で音読。長文は週末にまとめて2〜3題。
ポイントは、長文を「解きっぱなし」にしないことです。わからなかった1文を精読し、最後に音読するところまでで1セット。読んだ英文を音で体に入れておくと、次に似た文に出会ったとき、返り読みせずに前から意味がとれるようになります。
04共通テスト:やさしめの英語を、時間内に大量に
大学入試センターの公表資料で、令和9年度(2027年1月実施)の共通テストの英語を確かめると、次のようになっています。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 出題範囲 | 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ、論理・表現Ⅰ |
| リーディング | 80分・100点 |
| リスニング | 100点。解答時間は30分(機器の確認を含めた試験時間は60分) |
| 読み上げ | 1回読みと2回読みの両方の問題がある |
| レベルの目安 | CEFRのおおむねA1〜B1 |
ここから見える対策は3つです。
- 難しい単語より、処理の速さ。 文章のレベルはA1〜B1が目安です。時間内に最後まで読み切れるかどうかが、そのまま点数に響きます。長文は時間を計って解き、1分あたりに読める語数を記録します。
- 1回読みに慣れる。 普段から1回だけ聞いて答える練習をし、そのあとスクリプトで聞き取れなかった部分を確かめます。聞き取れなかった文をディクテーションすると、弱点の音の変化(つながる・消える)が見えます。
- 設問を先に読む。 何を探しながら読む・聞くのかを先に知ると、情報を取りにいく読み方ができます。
高1・高2のうちに過去問を1回分だけ解いておくと、どこに向かって勉強しているのかがはっきりします。
05英検2級・準1級と、個別試験の記述
英検2級は「高校卒業程度」、英検協会の資料ではCEFR B1にあたります。2024年度から、ライティングは「意見を書く問題」と「英文要約」の2題になりました。準1級は「大学中級程度」(B2)で、こちらも要約と意見の2題です。2025年度には、準2級と2級の間に準2級プラス(高校上級程度)が新しくできました。
英検などの外部試験を、出願資格や得点の換算に使う大学もあります。使い方は大学・学部ごとに違い、年度で変わることもあるので、必ず志望校の最新の募集要項で確かめてください。
個別試験の記述問題(下線部和訳・自由英作文・要約など)は、大学によって形がまったく違います。過去問で形を確かめ、書いたものは先生に添削してもらうのが基本です。要約の練習は、短い文章を1文にまとめるところから始めます。
- 原文:Some schools have started to let students use tablets in class. Teachers say students can look up words quickly, but some parents worry that students spend too much time looking at screens.
- 1文要約:Schools are using tablets in class, which helps students look up words but worries some parents about screen time.(授業でタブレットが使われ、語を調べやすくなる一方、画面を見る時間を心配する親もいる)
自分の言葉で言い換える練習は、英検の要約にも、大学の授業にもそのまま生きます。
06高校生のAI・SNSの使い方
高校生の多くは、AIサービスの年齢条件にかかわる年齢です。
- ChatGPT:OpenAI の利用規約では、13歳以上(国によってはそれ以上)が対象で、18歳未満は保護者の許可が必要です。ほかのAIサービスも、利用規約で年齢条件を確かめてから使います。学校がAIの使い方のルールを決めている場合は、それに従います。
- 言語交換アプリ・SNS:知らない大人とつながる仕組みで、年齢の条件もあります。使うなら保護者と規約を確かめ、名前・学校・写真などの個人の情報を出さないことを約束にします。
使ってよい場面では、自分で書いてからAIに見せるのが鉄則です。
- 英作文を自分で書く
- 「文法の間違いを、理由と一緒に指摘して。書き直しは見せないで」と頼む
- 指摘をもとに自分で直す
- 最後に先生の添削も受ける
最初からAIに書かせると、試験本番で書く力が育ちません。AIは「すぐ答えてくれる辞書と添削係」として、自分の頭で考えたあとに使います。
高1で土台、高2で量と速さ、高3で試験の形。英検は2級→準1級
今日からのやり方
- 共通テストの過去問を1回分解き、リーディングとリスニングの点と時間を記録する
- 単語帳を1冊に決め、1日の範囲と復習の日を手帳に書く
- 長文を1日1題、時間を計って解き、そのあと音読を3回する
- 週に1回、英作文か要約を1本書いて先生に見てもらう
- 英検の受験日を決め、準2級→2級→準1級の順に目標を置く
レベル別:あなたならこうする
中学英語に不安がある人は、高1の最初の1か月で中学文法を1日1単元ずつ総復習します。単語帳は中学レベルからでかまいません。英検は3級→準2級の順に受けます。
準2級〜2級の人は、長文を1日1題、時間を計って読み、終わったら音読3回。単語帳は2周目からは思い出すテストだけで回し、2級の要約問題で書く練習を始めます。
2級以上の人は、準1級の語彙と、英語ニュースや教養動画の多読・多聴で量を増やします。個別試験の自由英作文は週2本書き、先生の添削を受けて型を固めます。
よくある失敗と対策
完璧主義だと1周目が終わりません。1日100語を「見て意味が言えるか」だけ確かめて速く回し、何周もするほうが、間をあけた復習になって記憶に残ります。
形式を知らないまま勉強すると、ずれた努力になりがちです。高1・高2のうちに共通テストの過去問を1回分だけ解き、時間と形式を体で知ってから計画を立てます。
答え合わせだけでは読む力は伸びにくいものです。わからなかった文を1文だけ精読し、本文を音読3回するところまでを1セットにします。
1 MIN
共通テストの過去問のリスニングを1問だけ、1回読みで聞いて解いてみる
友だちに出したい、この節の3問
タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。
15-3高校で新しく習う英単語は何語?
学習指導要領では、英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲで合わせて1800〜2500語程度の新語を加えます。小中と合わせると、高校卒業までに4000〜5000語程度に触れる計算です。
15-3共通テスト英語の難しさの目安は?
大学入試センターは、問題の文章や語彙のレベルを、CEFRのおおむねA1〜B1を目安にすると示しています。難しい単語より、やさしめの英語を80分で大量に、正確に読む力が問われます。
15-3英文を辞書なしで読むのに要る単語数は?
研究では、文章の95%の語がわかる『最低ライン』は4000〜5000ワードファミリー、98%の『理想ライン』は約8000とされています。数え方は違いますが、高校卒業時の語数はちょうど最低ラインの桁です。
PRACTICE KIT
この節の実践キット
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原田英語のサイトで練習する
使えるサイト・アプリ
動画で学ぶ
もっと詳しく(コラム)
この節の根拠(研究・公式情報)
英語はリーディング80分・100点、リスニング100点(解答30分)。1回読みと2回読みの問題を含み、CEFRのおおむねA1〜B1レベルを目安に作問するとしている。
独立行政法人大学入試センター(2025)令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等出典を開く ↗英語コミュニケーションⅠで400〜600語程度、Ⅱ・Ⅲでそれぞれ700〜950語程度の新語を加える。授業は英語で行うことを基本とする。
文部科学省(2018)高等学校学習指導要領(平成30年告示)出典を開く ↗読解に必要な語彙の目安として、95%の語がわかる最低ライン(4000〜5000ワードファミリー)と、98%の理想ライン(8000ワードファミリー)を示した。
Laufer, B., & Ravenhorst-Kalovski, G. C. (2010). Lexical threshold revisited: Lexical text coverage, learners' vocabulary size and reading comprehension. Reading in a Foreign Language, 22(1), 15–30.出典を開く ↗文章の98%の語がわかることを条件にすると、書かれた英文には8000〜9000、話された英語には6000〜7000ワードファミリーが必要と推定した。
Nation, I. S. P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening? The Canadian Modern Language Review, 63(1), 59–82.出典を開く ↗2級のライティングは、文章の内容を英語でまとめる「英文要約」と、質問に対する意見を書く英作文の2題で構成されている。
公益財団法人 日本英語検定協会「2級 試験内容」出典を開く ↗よくある質問
共通テストと個別試験、どちらを優先?
高1・高2は両方に共通する土台(単語・文法・精読・音読)が中心なので、分ける必要はありません。高3の夏までに共通テストの形に慣れ、秋からは志望校の個別試験の記述に時間を移すと、両方に無理なく備えられます。
英検は大学入試で使える?
英検などの外部試験の結果を、出願資格や加点、得点の換算に使う大学があります。使い方は大学・学部ごとに違い、年度で変わることもあるので、志望校の最新の募集要項で必ず確かめてください。
部活が忙しくて時間がない
通学の15分を単語、寝る前の15分を音読にあてるだけで1日30分になります。長文は週末にまとめて2〜3題。毎日少しでも触れておき、引退後に一気に量を増やす二段構えにします。




