第14章|試験14-9大学入試(共通テスト・個別試験)共通テスト英語は80分で5,000語超。文法より「読む体力」の試験

共通テストのリーディングの問題冊子に並ぶ英語は、設問や選択肢まで含めると5,000語を超えます。試験時間は80分。考える時間も入れて、1分あたり60語以上のペースで進まないと、最後まで届きません。並ぶのは、寮の調査結果や図書館のチラシ、部活のニュースレター。一方、個別試験では和訳や英作文が待っています。速さと正確さ、この2つをどう両立させればいいのか。
この節の目次(7項目)
01共通テスト英語の形式
大学入試センターの「令和9年度 出題教科・科目の出題方法等」によると、英語は次の2つです。
| 区分 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|
| リーディング | 80分 | 100点 |
| リスニング | 60分(うち解答30分) | 100点 |
リスニングは、配られたICプレーヤーの作動確認と音量調節の時間を含めて60分、解答は30分です。出題範囲は「英語コミュニケーションⅠ」「英語コミュニケーションⅡ」「論理・表現Ⅰ」。令和9年度の本試験は2027年1月16日・17日です。
令和8年度(2026年1月)の本試験を見ると、リーディングは第1問〜第8問、リスニングは第1問〜第6問でした。リスニングは第1問(28点)と第2問(12点)が2回読み、第3問〜第6問が1回読みです。
リーディングとリスニングの配点の比率(たとえば1:1か、4:1か)は大学ごとに違います。志望校の募集要項で、自分の場合の比率を早めに確かめてください。
ポイント:形式は年度で変わることがある。受験する年度の公式資料と、前年度の本試験の問題を必ず見る。
02共通テストは「場面の中で判断する」試験
問題作成方針には、コミュニケーションの目的や場面、状況に応じて、概要・要点・詳細・書き手や話し手の意図を理解する力を重視すると書かれています。さらに、理解した情報を整理し、何をどう取り上げるかを判断する力も重視するとしています。
令和8年度のリーディングの設定を見ると、方針がそのまま形になっています。
- チームメイトとのメッセージのやりとり
- 大学の寮についての調査結果と、住んでいる学生のコメント
- 部活のニュースレターの下書きと、顧問のコメント
- 図書館のチラシと、申し込み後に届いたメール
- 物語を読んで、発表用のアウトラインを作る
- 複数の意見を読んで、自分の立場を決めて文章を組み立てる
問題冊子の英語を数えると、設問や選択肢を含めて5,000語を超えます。80分で解き切るには、問題を考える時間も含めて1分あたり60語以上のペースで進む必要があります。
だからこそ、対策は「難しい1文を訳す力」だけでは足りません。
- 設問を先に読み、何を探すかを決めてから本文を読む
- 本文に線を引くのは、設問に関係する部分だけ
- 1日1題、時間を計って解き、かかった時間を記録する
03個別試験:和訳と和文英訳
国公立大学の二次試験や私大の一般選抜では、英文和訳、和文英訳、自由英作文、要約や内容説明など、書く問題が出る大学が多くあります。形式は大学ごとに大きく違うので、志望校の過去問で必ず確かめます。
英文和訳は「構造→直訳→日本語らしく」
- It was not until she moved abroad that she realized how little she knew about her own country.
- 構造をつかむ:It was not until A that B(Aして初めてBした)
- 直訳:彼女が外国に引っ越すまで、自分の国についてどれほど少ししか知らないか気づかなかった
- 日本語らしく:外国に引っ越して初めて、彼女は自分の国のことをほとんど知らないと気づいた
採点者は「構造が分かっているか」を見ています。日本語がなめらかでも、構造を取りちがえると点になりません。
和文英訳は「日本語を日本語に訳す」
「日本の夏は年々暑くなっている」をそのまま英語にしようとすると止まります。先に、英語にしやすい日本語に言いかえます。
- 言いかえ:日本の夏は、毎年前より暑くなっている
- 英文:Summers in Japan are getting hotter every year.
知っている文の形に寄せる。これが減点されにくい英作文のコツです。
04共通テストのリスニング練習
リスニングは解答時間30分で、配点はリーディングと同じ100点です。令和8年度の本試験では、第3問以降が1回読みでした。1回で聞き取る力は、直前にまとめて練習しても伸びにくい力です。
練習の4段階
- 過去問の音声を1回聞いて解く(本番と同じ)
- スクリプトを読み、聞き取れなかった部分に線を引く
- 線を引いた部分を、スクリプトを見ながら5回聞く
- スクリプトを見ずに、音声に少し遅れてシャドーイング
図表・条件のある問題
共通テストのリスニングには、話を聞いて「示された条件に最も合うもの」を選ぶ問題や、表などを見ながら聞く問題があります。音声が流れる前の時間に、条件や表の項目を見て、何を聞き取ればよいかを決めておきます。
読み上げの英語
問題作成方針では、リスニングに「多様な話者による現代の標準的な英語」を使うとしています。アメリカ英語だけでなく、さまざまな話し手の英語に普段から触れておくと、本番で戸惑いにくくなります。学習者向けの英語ニュースやポッドキャストを、1日10分でも毎日聞く習慣が力になります。
05個別試験:自由英作文と要約
自由英作文は「立場→理由→具体例→まとめ」
100語前後の意見文なら、次の4つの部分で組み立てます。
- 立場:I agree that high school students should learn how to cook.(高校生は料理を学ぶべきだという意見に賛成です)
- 理由:Cooking teaches them how to take care of their own health.(料理は自分の健康を管理する方法を教えてくれます)
- 具体例:For example, students who can cook are less likely to depend on fast food when they live alone.(たとえば、料理ができる生徒は、一人暮らしをしてもファストフードに頼りにくくなります)
- まとめ:For these reasons, cooking should be part of school education.(これらの理由から、料理は学校教育の一部であるべきです)
使う文法は、自信のあるものに絞ります。難しい構文で1つまちがえるより、確実な文で論理を通す方が点が安定します。
要約・内容説明は「字数の器」を先に作る
「80字以内で説明せよ」なら、答えに入れるべき要素を先に2〜3個書き出し、字数を割り振ってから日本語にします。本文の言葉をそのまま抜き出すと字数オーバーになりやすいので、要素を短い言葉に言いかえます。
書いた答案は、学校の先生に見てもらうのが一番です。自分では、書いてから1日おいて読み直し、主語と動詞の対応、時制、冠詞、単数・複数をチェックします。
06高1〜高3のロードマップ
高1:土台を作る年
- 単語:高校の単語帳を1冊決め、1日20〜30語。翌日・1週間後に「隠して思い出す」
- 文法:教科書と問題集を、まちがえた問題に印をつけて3周
- 音読:教科書の本文を1日10分。意味が分かる英文を、聞いて分かる英文に
高2:量を増やす年
- 長文:1日1題、時間を計る。読み終えたら本文を音読
- リスニング:共通テストの過去問や、学習者向けの英語ニュースを1日10分
- 英作文:週1本、100語の意見文を書いて先生に見てもらう
高3:形式に合わせる年
- 春〜夏:共通テスト形式の問題を週2回、時間どおりに
- 秋:志望校の過去問を始める。和訳・英作文は必ず添削を受ける
- 直前期:共通テストの過去問を本番と同じ時間帯に解き、ペースを体に入れる
1日60分の例(高3の秋)
単語15分、共通テストのリーディング大問1つ20分、リスニング1つ+スクリプト10分、和訳か英作文15分。
07入試の英語は授業を縛るのか
「受験英語は文法と訳ばかりで、使える英語にならない」と言われます。ところが、日本の大学入試と授業の関係を、実際に教室を観察して調べた研究があります。
Watanabe(1996)は、入試を控えた高校の授業での文法訳読法の使われ方を観察しました。その結果、先生の学歴・信念・教えた経験などの要因が、入試の影響よりも大きい場合があることが示されました。試験の形式が、そのまま授業のやり方を決めるわけではない、ということです。
共通テストは、場面の中で情報を読み取り、判断する方向に変わりました。それでも、どう勉強するかを最後に決めるのは、先生と学習者自身です。
- 共通テストの英文を解いたあと、音読して声に出せる英語にする
- 和訳で取った構造を、自分の英作文でも使ってみる
- 自由英作文の意見を、友達や先生に英語で話してみる
同じ受験勉強でも、こうした一手間で、点と使える力の両方が育ちます。
共通テストは速く読む、個別試験は正確に書く
今日からのやり方
- 大学入試センターの公式資料で、受験年度の試験時間と配点を確かめる
- 志望校のリーディングとリスニングの配点比率を募集要項で調べる
- 共通テストの過去問を1題、時間を計って解き、かかった時間を記録する
- 志望校の過去問で、和訳・英作文などの出題形式を確認する
- 英作文を週1本書き、学校の先生に添削してもらう
レベル別:あなたならこうする
中学〜高1の文法に不安があるなら、まず文法問題集を1冊3周し、教科書の本文を毎日音読します。共通テスト形式は、時間を気にせず最後まで読み切る練習から始めます。
共通テストで6〜7割なら、1日1題の時間を計った演習と音読で読む速さを上げます。リスニングは1回読みの問題を中心に、スクリプトでの確認とシャドーイングを。
8割以上なら、個別試験の和訳・英作文・要約に時間を回します。添削を受けた答案から、自分のまちがいの型(時制・冠詞・数)をリストにして見直します。
よくある失敗と対策
共通テストに単独の文法問題はありません。文法は土台として続けつつ、時間を計った長文演習と音読を毎日の中心にします。
1つのまちがいが減点になります。自信のある文の形で、立場・理由・具体例・まとめの論理を通す方が点が安定します。
1回読みの問題は短期間では伸びにくい分野です。高2から1日10分、聞いてスクリプトで確かめる練習を続けます。
1 MIN
志望校の募集要項で、共通テスト英語のリーディングとリスニングの比率を調べる
友だちに出したい、この節の3問
タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。
14-9共通テストのリスニングは全部2回読み?
違います。大学入試センターの方針では、1回読みと2回読みの両方を含みます。令和8年度の本試験では、第1問と第2問が2回、第3問〜第6問は1回でした。配点の6割は1回読みの問題です。
14-9共通テスト英語は、どのレベルを目安に作られている?
大学入試センターの問題作成方針では、CEFRのおおむねA1〜B1レベルを目安に、英文・語彙・課題を作るとしています。1文1文は極端に難しくありません。難しさの正体は分量と時間です。
14-9高校の英語が文法訳読中心なのは、大学入試のせい?
日本の高校の授業を観察した研究では、文法訳読が入試だけで決まっているとは言えず、先生の学歴・信念・経験の影響の方が大きい場合がありました。試験だけが授業を決めるわけではありません。
PRACTICE KIT
この節の実践キット
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原田英語のサイトで練習する
使えるサイト・アプリ
動画で学ぶ
もっと詳しく(コラム)
この節の根拠(研究・公式情報)
英語はリーディング80分・100点、リスニング60分(うち解答30分)・100点。出題範囲は英語コミュニケーションⅠ・Ⅱと論理・表現Ⅰ。
大学入試センター「令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 出題教科・科目の出題方法等」出典を開く ↗目的・場面・状況に応じた理解と、情報を整理し判断する力を重視。CEFRのおおむねA1〜B1を目安に作成し、リスニングは1回読みと2回読みの両方を含む。
大学入試センター「令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」出典を開く ↗令和8年度本試験はリーディング第1〜8問、リスニング第1〜6問。リスニングは第1・2問が2回読み、第3〜6問が1回読みだった。
大学入試センター「令和8年度 本試験の問題」英語(リーディング・リスニング)出典を開く ↗日本の高校の授業観察で、文法訳読の使われ方には、入試の影響より先生の学歴・信念・経験などの要因の方が大きく関わる場合があった。
Watanabe, Y. (1996). Does grammar translation come from the entrance examination? Preliminary findings from classroom-based research. Language Testing, 13(3), 318–333.出典を開く ↗よくある質問
共通テストの過去問は何年分やればいい?
現在の形式に近い年度の本試験と追・再試験を中心に、時間を計って解きます。年数より、1回ごとに時間の使い方を記録し、解き終えた英文を音読して使い倒す方が力になります。
英検などの外部試験は入試で使える?
使えるかどうか、どう使うか(出願資格、得点換算、加点など)は大学ごとに違います。志望校の募集要項で、認められる試験と必要な級・スコア、いつまでに取ったものが有効かを確かめます。
リスニングが苦手で、聞いても分からない
まず共通テストの過去問の音声を、スクリプトを見ながら聞き、意味の分かる英文にします。そのうえで、スクリプトなしで聞く、シャドーイングする、の順に進めます。1日10分を毎日続ける方が、週末にまとめて1時間より効きます。




