原田英語の英語大全勉強法ぜんぶ入り

大学生の英語学術的な英文の約1割は、たった570語のファミリーでできている

原田英語6分で読める研究・公式情報 5件第15章の4/7節

大学生の英語のイメージ

350万語の学術的な文章を調べ、よく使う2000語のほかに分野を問わず出てくる語を集めると、570のワードファミリーになりました。この570が、学術的な文章の約10%を占めます。同じ量の小説では、わずか1.4%です。大学に入ると英語の授業は減るのに、TOEIC、留学、IELTS、TOEFLと、英語の用事は増えていきます。どの試験に絞り、どうやって「英語で学ぶ」側へ進めばいいのか。

この節の目次(6項目)
  1. まず目的で分かれる:3つの試験の違い
  2. 4年間のロードマップ
  3. 1日のメニュー:授業期60分、長期休み150分
  4. 「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」へ
  5. 留学を考えたら:準備の順番
  6. AIと英語:添削・会話練習・レポートのルール

01まず目的で分かれる:3つの試験の違い

大学生の英語は、最初に「何に使うか」を決めると、やることがはっきりします。主な3つの試験を、公式情報で比べます。

試験主な使い道形式スコア
TOEIC L&R就職活動、単位認定、社内の基準リスニング約45分100問+リーディング75分100問。マークシート10〜990点
IELTSイギリス・オーストラリアなどへの留学、移住聞く・読む・書く・話すの4技能。Academic と General Training0〜9のバンド(0.5刻み)
TOEFL iBTアメリカをはじめ各国の大学への留学4技能。リーディングとリスニングは、出来に応じて難しさが変わる形式1〜6(0.5刻み)。2年間は0〜120の換算も併記

TOEFL iBT は2026年1月に大きく変わりました。新しいスコアは1〜6の尺度で、CEFRに合わせて作られています。古い教材や体験談には120点満点の話が多いので、教材は新しい形式に対応したものを選んでください。

どの試験が何点必要かは、使う先が決めます。交換留学なら大学の募集要項、海外の大学なら相手の大学の公式ページ、就職なら企業の募集要項です。「とりあえず全部受ける」より、1つに絞って対策するほうが、時間もお金も節約できます。

留学の予定がない人は、TOEIC L&R で聞く・読む力を測りながら、話す・書く練習を別に足すのが現実的です。

024年間のロードマップ

時期期間ゴール中心メニュー
1年前期最初の1か月今の位置を知るTOEIC L&R か学内の英語テストを1回。結果をパートごとに記録
1年前期2〜3か月目毎日の型を作る1日60分(単語・リスニング・リーディング・音読)
1年後期〜1年目的を決め、試験を1つに絞る学術語を毎日10語。英語の講義かオンライン講座を1つ
2年1年目標スコアに届く試験の公式問題で形式に慣れる。話す・書くの練習を週2回
3年1年使う留学・インターン・就職活動で英語を使う
4年1年英語で学ぶ卒業研究の英語文献を読む。英語で要旨を書く

留学する人は、出発から逆算します。 交換留学の学内選考は出発よりかなり前に行われるので、時期を必ず大学の窓口で確かめ、選考の締め切りの時点で必要なスコアを持っておきます。1年生の後期には、行きたいプログラムの条件を調べておきましょう。

就職で TOEIC を使う人は、3年生の就職活動の前に目標点を取っておくと安心です。2年生のうちに一度受けて、伸びしろを確かめます。

どの道でも共通するのは、1年生の最初の3か月で毎日の型を作ることです。授業・サークル・アルバイトで生活が変わる時期に、英語の時間を時間割の中に固定してしまいます。

031日のメニュー:授業期60分、長期休み150分

授業期の平日(合計60分)

時間帯内容時間
通学中単語・学術語の思い出すテスト15分
空きコマリーディング1題(試験の形式か、英語の記事)20分
帰り道リスニング(ポッドキャストか試験の音声)。2回目はシャドーイング20分
寝る前今日読んだ英文を音読5分

長期休みの平日(合計150分)

時間帯内容時間
午前試験の公式問題か模試の半分を、時間を計って解く60分
午後解き直しと、間違えた問題の英文の音読40分
夕方話す練習(オンライン英会話か、1人で2分スピーチを録音)25分
夜書く練習(エッセイか要約を1本)25分

授業期は「減らさずに続ける」、長期休みは「量を上乗せする」が基本です。休み中だけ集中して授業期はゼロ、という形は、記憶の研究から見ても不利です。同じ合計時間なら、間をあけて何回かに分けたほうが長く覚えていられることが、多くの研究で確かめられています(第1章「間隔反復」)。

04「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」へ

大学生にとっていちばん役に立つ単語リストのひとつが、Coxhead(2000)の Academic Word List(学術語リスト) です。350万語の学術的な文章を調べ、よく使う2000語以外で、分野を問わず出てくる語を集めたもので、570のワードファミリーからなります。この570が学術的な文章の約10%を占め、同じ量の小説では1.4%しか出てこないことがわかっています。

つまり、論文や教科書を読むなら、この570を知っているかどうかで見える景色が変わるということです。たとえば次のような語です。

  • The data indicate a significant difference between the two groups.(データは2つのグループの間に大きな差があることを示している)
  • This approach requires a large amount of time.(この方法には多くの時間が必要だ)
  • We need to define the concept clearly.(その概念をはっきり定義する必要がある)

覚え方は、1日10語を例文つきで、思い出すテストと間隔をあけた復習で回します。

英語で学ぶ練習には、次の順番が使えます。

  1. 短い英語の講義を見る:字幕つきの講演や、大学のオンライン講座。1本10〜20分から
  2. 要点を英語で3文書く:何が問題で、何がわかり、なぜ大事か
  3. 英語の論文を読む:要旨(Abstract)→図表→結論の順で全体をつかみ、必要な部分だけ本文を精読する

自分の専攻の英語に毎週ふれていると、その分野でくり返し出てくる専門用語が自然に身についていきます。

05留学を考えたら:準備の順番

留学を考え始めたら、次の順番で調べます。

  1. 大学の留学窓口に行く:協定校、交換留学の条件、学内選考の時期を聞く
  2. 必要な試験とスコアを確かめる:募集要項に書かれた試験の種類と点数。IELTS か TOEFL かはここで決まります
  3. 試験を1つに絞って対策する:公式の練習問題で形式に慣れ、弱い技能に時間を多くあてる
  4. 奨学金を調べる:大学の窓口のほか、アメリカ留学ならフルブライトの日本の窓口や、アメリカ政府の留学情報サイトが公式の情報源になります
  5. 生活と授業の英語を準備する:銀行・住まい・病院の英語、授業での発言、メールの書き方

IELTS を受けるなら、留学には Academic を選びます。スピーキングとリスニングは共通で、リーディングとライティングが学術的な内容になります。

交換留学と語学留学は、目的も必要な英語力も違います。交換留学は相手の大学の授業を現地の学生と一緒に受けるので、出発前に「英語で学ぶ」練習をどれだけしたかが、現地での学びの深さを左右します。

06AIと英語:添削・会話練習・レポートのルール

大学生はAIを英語学習の強い味方にできます。ただし、使い方のルールを先に確かめます。

  • 年齢条件:ChatGPT は利用規約で、18歳未満は保護者の許可が必要です。1年生で18歳になる前の人は注意してください。
  • 大学のルール:レポートや課題でのAIの使い方は、大学・授業ごとにルールが決められていることがあります。シラバスや大学の指針を確かめ、禁止されている場面でAIの文章を提出しないこと。
  • 情報の扱い:研究データや他人の個人情報は入力しません。

学習で役立つ使い方の例です。

  1. 自分で書いた英文エッセイの添削を頼み、「なぜ直したのか」を説明させる
  2. 留学の面接や試験のスピーキングの質問を出してもらい、声で答える練習をする
  3. 読んだ論文の要旨を自分で英語にまとめ、内容のずれを指摘してもらう

どれも「自分で先にやる→AIで確かめる」の順番です。AIに先に答えを出させると、自分の力がどこまでかわからなくなります。

この節の答え

目的で試験を1つに絞り、学術語570で『英語で学ぶ』へ進む

今日からのやり方

  1. TOEIC L&R か学内の英語テストを1回受け、今のスコアを記録する
  2. 就職・留学・研究のどれに使うかを決め、必要な試験と目標スコアを公式で調べる
  3. 1日60分の型を決め、時間割の空きコマと通学時間に固定する
  4. 学術語リストから毎日10語を、例文つきで覚える
  5. 専攻に近い英語の講義かオンライン講座を1つ選び、週1本ずつ進める

レベル別:あなたならこうする

初級 A1〜A2

英検準2級〜2級くらいの人は、まず TOEIC L&R を1回受けて現在地を知り、1日60分の型(単語15分・リスニング20分・リーディング20分・音読5分)を3か月続けます。

中級 B1

TOEIC 600〜800点くらいの人は、目的を決めて試験を1つに絞ります。留学なら IELTS か TOEFL の公式問題で形式に慣れ、学術語570語を例文つきで覚えます。

上級 B2〜

英語で授業を受けられる人は、英語の講義やオンライン講座を1つ修了することを目標に。要約とディスカッションを英語で行い、試験スコアはその延長で取りにいきます。

よくある失敗と対策

目的を決めずに試験を全部受ける

TOEIC・IELTS・TOEFL は形式もスコアも違います。行きたい大学や就職先が求める試験を先に調べ、1つに絞って対策したほうが、時間も受験料も無駄になりません。

長期休みに一気にやり、授業期はゼロ

まとめて学ぶより、間をあけて繰り返すほうが記憶に残ることは多くの研究で確かめられています。授業期も1日20分は続け、休みに量を上乗せします。

英語の勉強を英語の授業だけで済ませる

授業は週に数コマ。自分で毎日触れる時間がないと量が足りません。専攻に近い英語の記事や講義を、週に1本ずつ読む・聞く習慣を作ります。

TODAY
1 MIN

行きたい留学先か就職先の英語スコアの条件を、公式ページで1つ調べる

友だちに出したい、この節の3問

タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。

15-4大学で読む学術的な英文、よく出る「学術語」は何語?

350万語の学術文を調べた研究では、よく使う2000語以外の『学術語』570ファミリーが、学術文の約10%を占めていました。同じ量の小説では1.4%だけ。大学生が優先して覚える価値のある語です。

X で出題する

15-4TOEFL iBT のスコアは今も120点満点?

2026年1月21日から、TOEFL iBT のスコアは1〜6(0.5刻み)の新しい尺度になりました。移行期間の2年間は、0〜120の換算スコアも併記されます。募集要項がどちらの尺度か確かめましょう。

X で出題する

15-4IELTS の Academic と General の違いは?

スピーキングとリスニングは共通で、リーディングとライティングが違います。大学・大学院への留学に使うのは Academic、移住や仕事、学位未満の学習向けが General Training です。

X で出題する

X でポストLINEB!

PRACTICE KIT

この節の実践キット

このサイトで練習する

原田英語のサイトで練習する

使えるサイト・アプリ

動画で学ぶ

公式が案内するTOEFL iBTの受け方TOEFL |How to take TOEFL iBT
改訂版を体験するワークショップの様子TOEFL ETS Japan|【必見】改訂版TOEFL iBTプレ体験ワークショップの様子をお届け!
公式が語るIELTSの試験形式TakeIELTS Official|Understand the IELTS test format: The ultimate guide | TakeIELTS Preparation

もっと詳しく(コラム)

この節の根拠(研究・公式情報)

350万語の学術文から、最頻2000語以外で分野を問わず出る570ワードファミリーを選定。学術文の約10%を占め、同じ量の小説では1.4%だった。

Coxhead, A. (2000). A new academic word list. TESOL Quarterly, 34(2), 213–238.出典を開く ↗

2026年1月21日から、スコアはCEFRに合わせた1〜6(0.5刻み)の尺度になり、移行期間の2年間は0〜120の換算スコアも併記される。

ETS. Understanding Your TOEFL iBT Scores.出典を開く ↗

TOEFL iBT のリーディングとリスニングに、受験者の出来に応じて難しさが変わる多段階の適応型の形式を導入すると発表した。

ETS. TOEFL Transformation Announcement(プレスリリース)出典を開く ↗

スコアは0〜9のバンドで0.5刻み。Academic と General Training はスピーキングとリスニングが共通で、リーディングとライティングが異なる。

IELTS. IELTS scoring in detail / Test types.出典を開く ↗

リスニング約45分100問、リーディング75分100問の計200問、約2時間のマークシート形式。結果は合否ではなく10〜990点のスコアで示される。

一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC Listening & Reading Test 出題形式」出典を開く ↗

よくある質問

TOEICは何点を目標にすればいい?

目標は使い道で決まります。就職先や大学の単位認定、交換留学の条件など、自分が使う場面で求められる点数を公式の募集要項で調べ、そこに少し余裕を足した点を目標にします。

留学しないなら IELTS・TOEFL は不要?

必須ではありません。ただ、4技能を測る試験は、話す・書く力の弱点を知るのに役立ちます。留学の予定がなければ、TOEIC L&R と、スピーキング・ライティングの練習を組み合わせるのが現実的です。

英語の論文が読めない

最初から全文を読まないことです。要旨→図表→結論の順に読んで全体をつかみ、最後に必要な部分だけ本文を精読します。専門用語は分野の中でくり返し出てくるので、読む本数が増えるほど楽になります。